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「一撃数千発」の大量出玉も日常茶飯事だったパチンコ名機【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第82話:スーパーアレパチ】

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ドラゴン広石コラム『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』
ドラゴン広石コラム『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』

ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』

第82話 スーパーアレパチ

 今を遡ること三十数年前、一般的に「アレパチ」と呼ばれるジャンルのパチンコ機が、一大ムーブメントを巻き起こしました。ようするに、藤商事さんの「アレジン」および「エキサイト」の2機種ですね。

 これらは初当り確率こそ厳しいものの、狭き関門を突破して大当りを射止めたなら必ず連チャンモードに突入して(正確に言えば連チャンモード滞在中にのみ大当りが発生する)、一撃でドル箱の山を築く爆発力がありました。ゆえに、打ち手にしてみれば投資が膨らみがちとなり、当時は「どこかの誰かがアレジンで大きな借金をこさえて失踪した」なんていう話を聞くことも多かった。

 まぁ、パチンコ&パチスロといった庶民の小博打は、成功体験を契機にどっぷりとハマるように出来てますから、ビギナーズラックが本当に「幸運」かどうかは、その後、自身がどれだけ節度を守って付き合えるか…にかかってるんじゃないですかね。

 そう、リカバリーサポート・ネットワークの謳い文句にもある通り、パチンコ&パチスロは適度に楽しむ遊びなのです。

 ちなみに、前述したアレパチという名称は「アレンジボールパチンコ」の略なのですが、これは太陽電子(現・タイヨーエレック)さんの登録商標につき、正確な表現を尊ぶパチンコ情報誌ではアレジン&エキサイトを必ず「アレンジ」と表記します。

 もちろん、アレパチは新要件移行時に消滅した過去のジャンルであり、プレイヤーの側からすればどうでもいい話なので、頭の片隅に留め置く必要すらありませんけどね。

 ところで、私と同じ時代を生きてきたパチンコ打ちの皆さんは、例外なくアレジン&エキサイトにハマった経験があると思うのですが、実を言うと私個人が最も好きなアレパチはそのどちらでもないんです。

 そんなわけで、今回はアレパチの昔語りをお届けします。

 以下、本編。

「一撃数千発」の大量出玉も日常茶飯事だった名機

 時は平成4年(1992年)、太陽電子さんから『スーパーアレパチ』が全国デビューを飾りました。もともと太陽電子さんは数多くのアレンジボール機(下部ポケット入球により役物内のランプで役が成立するとメダルで配当を行うゲーム機)を開発したメーカーさんとして有名でしたが、平成3年にヒットした藤商事さんの「アレキング」(アレンジボール連チャン機の元祖とも呼べる機種で、内部プログラムは後に登場した大一さんの「ダイナマイト」とほぼ同じ)に触発されたのか、翌年になって内部システムの全く異なるアレパチをリリースしました。それが『スーパーアレパチ』だったんです。

太陽電子の『スーパーアレパチ』。天・天下・左肩の3カ所に、いわゆるラスカル役物の開放チャッカーが用意されており、ラスカル中央部に入球すると中央の1桁デジタルが始動する。その際、デジタルに「7」が出たなら大当り(右打ちで14Rを消化。大当り出玉は最大で約2千個)、デジタル「3」は中当り(右打ちで2Rを消化)。他の数字はいずれも小当り(右打ちで1R消化)となる。大当り後はデジタルに「7」が出る確率が高く、一撃数千発の大量出玉も日常茶飯事だった。
太陽電子の『スーパーアレパチ』。天・天下・左肩の3カ所に、いわゆるラスカル役物の開放チャッカーが用意されており、ラスカル中央部に入球すると中央の1桁デジタルが始動する。その際、デジタルに「7」が出たなら大当り(右打ちで14Rを消化。大当り出玉は最大で約2千個)、デジタル「3」は中当り(右打ちで2Rを消化)。他の数字はいずれも小当り(右打ちで1R消化)となる。大当り後はデジタルに「7」が出る確率が高く、一撃数千発の大量出玉も日常茶飯事だった。

 スーパーアレパチの大当り抽選は、「前回停止出目を元に次回停止出目を決定する」という特殊なもので、大当りまでのプロセスは以下のようになります。

①まずはデジタルに「0~2」が出るまで回す。
②次にデジタルに「3」を出す。
③次に「7」が出たなら大当り。

 わけがわからないよ…って、キュゥべえのように思った方も多いでしょう。実はスーパーアレパチには出目移行に偏りがあるんです。前回出目が「4・5・6・8・9」の場合は「3」および「7」にはほぼ移行せず、それ以外の出目には均等に移行しました。

 そして、「0・1・2」が出たなら好機到来。次は「7」を除く出目が均等に出現し、「3」が出た次の回転では「7」が出る大チャンスとなるんです。

 それぞれの確率をネットで調べたところ、「3」→「7」は約11%、「7」→「7」は約60%とありましたが、私の記憶では「3」→「7」の割合がもっと高かったような気がするんですよ。いや、これで正しいのかも知れませんけどね。なので、この数字はあくまで不確定情報ということで。

 でもって、この機種には「巻き戻し攻略」と呼ばれる小ワザがありました。本機はアレパチにつき、玉を16個打ち出すと入球がリセットされるんですが、場合によっては賞球をフルに取れないケースもあります。

 特にデジタルに「7」が出た回転では、当該ラウンドも大当りにカウントされるため、10個以上も打ち出して大当りすると、ほぼ1ラウンド分の権利を失ってしまうんです。また、右の電チューに玉を多く取られすぎて、下ポケットの数字が上手く点灯しないケースも出てきます。そんな時、簡単な手順でカウンターを巻き戻すことが可能でした。

 手順は次の通り。まずはハンドルのプラスチック部分を数回引っ張ってカラ打ちする。そうするとレールに何個か玉が溜まり、次に金属部分(アース部分)を触ってチョロ打ちすると、それだけでカウンターを巻き戻せるんです。こうすれば、ほぼ確実に14R分の出玉を獲得できますから、不運なラウンドロストを回避できるんですよ。

 ちなみに、この攻略法を駆使すれば小当りや中当りでも賞球を獲得できますが、電チューの開放時間が一瞬なので時間と労力に見合いません。むしろ、小当りや中当りの配当は捨てて大当りを目指した方が効率が良いので、私を含む多くのプレイヤーは左打ちで消化してました。

 まぁ、今だったらシコシコと右打ちを頑張って初期投資を抑えることに精を出すでしょうが、この当時はそんな面倒はやってられなかったのよね。

私の右手を掴んで強引に右に捻った?

 そしてこの頃、私は主に別府市のB店でスーパーアレパチを打ってたんですが、ある時、久しぶりに大分市の竹町商店街にあるW店に行ったところ、知らぬ間にスーパーアレパチが1列16台も導入されていました。

 それで、試し打ちのつもりで適当な空き台に座って打ち始めると、ラッキーなことに2千円かそこらで「7」を引いたんです。上皿の右端にあるカウンターの数字を見ると、当該ラウンドで打ち出せるのは残り3個。だったら巻き戻さなきゃ…と思ってカチャカチャとカラ打ちしてたら、背中から誰かが私の右手を掴んで強引に右に捻ったんです。驚いて振り返ると若い女性店員さんでした。

「お客さん、電動ハンドルはこうやって右に回すだけでいいんですよ」

 あーなるほど…と思いました。カラ打ちする際の仕草は、手打ち式のハンドルを操作する仕草に似ています。つまり、この女性店員さんは私が今のパチンコを知らない初心者だと勘違いして、迷惑なことに1R分の出玉を取りこぼしてくれたわけだ。

 まぁ、良かれと考えての行動でしょうし、下手なことを言うと店の奥から主任クラスの怖い店員さんが出て来かねないので、私は女性店員さんにお礼を述べて打ちっぱで大当りを消化しました。目を付けられたらロクなことになりませんからね。

 結局、この日はそこそこ勝ったのだけど、デジタルの回転率が期待したほどではなかったため、この店に腰を据えるのは諦めて翌日からB店に戻りました。少なくともB店はカウンターの巻き戻しを黙認してくれてるし、知り合いも多いから周囲の気配をコソコソと窺いながら打つ必要がありませんのでね。

 そうそう、そういえばB店のスーパーアレパチでも、ちょっとしたアクシデントがありました。デジタルに「7」が出て大当りしたのだけど、盤面に残っていた玉が羽根に引っかかったので呼び出しボタンを押すと、やってきた店員さんが何を考えたのか玉をはずして役物の中央に入れようとしやがったんですよ。

 まぁ、サービスのつもりだったんでしょうね。当時は釘や役物に玉が引っかかった場合、サービスでスタートチャッカーに入れてくれるのが普通でしたから。

 だけど、私は大慌てで店員さんを制止しました。そんなことをしたらせっかくの大当りがパンクしちゃう! てゆーか、機種の仕様を知らないのかよ? 採用して日の浅いバイト店員さんなのだとしても、上司の店員さんはちゃんと教えといて欲しいよね。

 その時はそう思ったのですが、後になって凄く後悔しました。というのも、スーパーアレパチには「発狂モード」と呼ばれる特殊な状態があり、開放チャッカーを通過させずに役物中央に入球すると連チャンプログラムが飛んで、以後は電源オフまでデジタル抽選が均等になるらしいんですよ(ただし、そういう状況に至った経験がないので真偽は不明)。

 つまり、大当り確率が10分の1にアップするため、大変なプロセスを経て大当りさせるのに比べれば遥かに楽に勝てるはずでした。あの店員さんがラスカル役物の中央に玉を入れようとした瞬間、私はパンクによる出玉喪失が頭をよぎって制止しましたが、もう少し頭の回転が早ければ「発狂モード」を体現できたのに…。嗚呼、後悔先に立たず。

 ちなみに、スーパーアレパチにはラスカル役物の開放チャッカーが3個ありますが、左肩のチャッカーを通過すると、次回の1回転のみデジタル抽選が均等になります(これは何度も経験しています)。

 要は1回転限定の発狂モードってわけですね。ゆえに、大当りの可能性が低い出目が表示されてる際に左肩を通過するのは大歓迎ですが、「7」が表示されてる際に通過すると連チャンが終了するので、多くの設置店では左肩に入りにくい釘調整を行ってました。

 いろいろあったけど、スーパーアレパチは本当に良い台でした。

ドラゴン広石

ドラゴン広石

ドラゴン広石(昭和38年12月生まれ)
平成7年に白夜書房「パチンコ必勝ガイド」編集部の門を叩き、パチスロの知識と経験、目押し力を買われて「パチスロ必勝ガイド」のライターに採用された。リアルタイムで「パチスロ0号機」を遊技した経験を持つ、唯一のパチスロライターである。令和4年現在でライター歴は27年。代表作に「枠上人生」、「浮草家計簿」(連載中)、「回胴絶景」(連載中)など。1日の最大勝ち額~プラス41万3千円(クラブロデオT)、1日の最大負け額~マイナス12万9千円(初代・北斗の拳)。

Twitter:@dragon_hiroishi

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