シーソー役物を経て「天国」か「地獄」へ…20年後にはリメイク機も登場【西陣、羽根モノの軌跡―その6】
西陣、羽根モノの軌跡―その6
千代の富士が大相撲史上初の1,000勝を達成し、任天堂がスーパーファミコンを発売した1990年。パチンコでは国家公安委員会規制の改正、いわゆる“新要件”が施行され、羽根モノは継続が「8回」から実質「15回」まで引き上げられ、電チュー(電動チューリップ)の搭載も認められた。
販売台数16万台を記録した『レッドライオン』をはじめ、数々の羽根モノを創出した西陣は翌1991年の1月、新要件機として『ニューモンロー』をリリース。左肩入賞で電チューがオープン→ここに玉が入れば羽根が2回開放される…といったゲーム性で、インパクトある役物も手伝って、瞬く間に大ヒットへと結び付いた。
また同年、同社は玉持ちを良くする「どすこいチャッカー」を採用した『ニューふんどし大将』、磁石付きの回転体が特徴的な『ニューコスモウォーカーP-3』、上下する右のポケットへの入賞で大当りへと繋がる『火の玉ボーイ』、V入賞時にデジタルで継続回数が決められる『ペタンゴ星人P-2』、中央に鎮座するカッパの頭上にVゾーンがある『カッパブギ』なども製造。
1992年には、止め打ちでV入賞率をアップさせられる『ニューカバ丸くんP-2』、「パカラ」と書かれた可動板が馬の口にあるVゾーンへの入賞をアシストする『ダービーキング』、1個貯留ながらも継続率は高めの『ビヨヨンマンJr.』、大当り中は選手が両手でアーチを作ってV入賞をサポートする『熱血ジュードー部』などを世に送り出した。
まさに天国と地獄を味わえるゲーム性の名作も
1993年には、『レッドライオン』のリメイク機『キングスライオン』、デジタルに「B」が止まれば継続率が高まる『パックンザウルス』、馬にキックされればV入賞のチャンスを迎える『ジャジャ馬キング』、迫力ある貯留解除が魅力の『獅子舞SVA』などを発売。いずれも各種役物を中心に、仕掛けを凝らしたマシンばかりだ。
そんな中、1995年にデビューした『ヘブンブリッジ』は、まさに天国と地獄を味わえるゲーム性。羽根に拾われた玉がシーソー役物によって左側の地獄ゾーンへ引き込まれたらハズレ、天国ゾーンへ流れて天使役物のくぼみに入れば大当りで、最高継続回数はデジタルで表示される。
ちなみに、この『ヘブンブリッジ』は、2015年に『CRAヘブンブリッジ DX2』としてリメイクされている。近年、こういったリメイク機の登場に期待するファンも多かっただけに、2023年に同社が発表した廃業は、非常に残念でならない。