パチンコ業界「衰退」加速も問題なし? 市場規模さらに減少で「消滅」の可能性は高まるも……
停滞が目立つパチンコ業界に、またもや暗いニュースが舞い込んできた。
矢野経済研究所が、パチンコ関連機器市場に関する調査結果を発表。2016年度のパチンコ関連機器(パチンコ機、パチスロ機、周辺設備機器)の市場規模が、前年度比で11.5%(1,299億円)減少したと「マイナビニュース」は報じている。
パチンコ関連機器市場の約9割を占める遊技機市場は10.2%減の8,821億円。2012年度以降5カ年度連続で減少となったようだ。内訳はパチンコ機が5245億円、パチスロ機が3576億円だという。
パチンコ機とパチスロ機を合わせた遊技機の市場規模は、合算で1兆円を超える時代が続いていた。しかし2015年度には前年度比91.0%(9,827億円)と大幅減。その流れを止めることはできず、2年連続で1兆円の大台を割る事になってしまった。
未だ20兆円を超える市場規模を誇ってはいるが、右肩下がりの傾向が続いているパチンコ業界。平成28年のパチンコ・パチスロ参加人口(推計)は前年比130万人減の940万人と、市場規模だけではなく参加人口も確実に減少している。
また最盛期には約1万8000店を誇った店舗数も、2017年には店舗数が1万店を割ったことも明らかになった。つい先日も、出玉を現行の2/3程度に抑えるなどの「規制強化」の方針が発表されたばかり。業界規模のさらなる縮小は確実視されており、消滅の可能性を示唆する声も上がっている状況だ。
「風営法が改正されることによって、さらに厳しい環境になることは間違いないでしょう。出玉を重要視しているユーザーは多いにも関わらず、今回はパチンコ・パチスロ同時に射幸性を抑えられますからね。遊技人口の減少も覚悟しなければなりません。
現在設置してある台を入れ替えなければならないホールへも影響を与えますね。パチンコであれば1台40万円はしますから。猶予期間がどうなるかで変わってくるとは思いますが、資金に余裕がなければ厳しいですよ。大手チェーン以外は生き残れない可能性もあります」(記者)
警察庁はギャンブル依存症対策の一環として、パチンコ・パチスロの出玉獲得数の上限を現行の2/3程度に規制する改正風営法規則を決定した。「低射幸性営業」や「膨大な入れ替え費用」など、遊技人口や店舗数の減少へ影響を与える決定であることは間違いない。ただ「パチンコ業界の消滅」を否定する声も存在しているようだ。
「『レジャー白書2017』の報告によれば、パチンコ業界は余暇市場全体の約30%を占めていますからね。全体に影響を与える存在ですから、簡単に消滅することはないでしょう。パチンコ業界が、警察の天下り先というのは語るまでもないことですしね。もちろん不安要素は多いですが、完全になくなるとは考えづらいという声も上がっています」(同)
最盛期に比べれば衰退しているものの、現在でも20兆円以上の市場規模を誇る日本最大のレジャー産業。その事実を考慮すれば、突如として消滅する可能性は極めて低いとも言えるだろう。
ただIR推進法成立から浮上したギャンブル依存症への対策として、パチンコ関連業界への規制が強まっていくことは明白。2017年度以降が、さらに厳しい環境になることは間違いなさそうだが……。