パチンコ業界「出玉規制」「倒産ラッシュ」……「激動」の1年を振り返る2017年プレイバック!
パチンコ業界にとって、今後の変化を予感させる「大きな動き」が引き起こされた2017年。そんな激動の1年を、特に話題になった出来事を中心に振り返ってみたい。
激震の出玉規制! 衰退を確実視する声が続出
「遊技人口の大幅な激減も避けられない!?」
警察庁が7月に、ギャンブル依存症対策として発表したパチンコ・パチスロの規則改正案。
今回の規制は、出玉性能の抑制が最大の特徴だ。出玉を現行の3分の2までに抑え、標準的な遊技時間(4時間)で獲得できる出玉の上限は”5万円以下”に制限。もうけの上限を引き下げ「負けを取り戻そう」という思いを抑制することが狙いとなっている。
特に厳しい状況に陥りそうなのはパチスロだ。ART機だけではなく、『ジャグラー』のような射幸性の低いノーマル機にも影響を与える絶望的な中身と言えるだろう。
パチンコも大きな影響を受けるが「変化を遂げる転機になる」との声も存在。その理由として、今回の規制ではパチンコにも「設定」を導入できるという内容が盛り込まれた点が挙げられる。新たな楽しみ方が生まれる可能性に、期待する意見も上がっているようだ。
なお、今回の規制に関しては7~8月にかけてパブリックコメントの募集が実施されていた。合計で1万4838件もの意見が寄せられたにも関わらず、結果として寄せられた意見が反映されることはなく、ほぼ当初案通りの改正となった点に不満の声が続出した。
「熱視線が注がれる「みなし機」撤去問題」
今回の規制に伴う問題として注目を集めるのは「みなし機」の取扱いだ。
みなし機とは、5号機のなかでも6年(検定期間3年、認定期間3年)の検定期間が過ぎている遊技機。検定切れ、認定さえも切れている機種が当てはまる。
現時点で、みなし機が設置されているホールは未だに多い。仮に「みなし機」問題によって「一斉撤去」というような方針が打ち出されれば、店舗数の減少に拍車が掛かることは間違いない。
大手チェーン店などは入れ替えの予算を捻出できるだろうが、資金に余裕のない中小ホールなどは実施することが困難。経営を断念する店舗が増えると考えられる。
「遊技通信」(遊技通信社)によれば「みなし機の行政処分(撤去)」が行われるタイミングは、規則改正が施行される2018年2月1日以降となる様子。営業所が遊技機を入れ替えるまで要する期間を踏まえ、処分の判断をすると報じている。
懸念されている「一斉撤去」が行われるとは考え難く、「徐々に撤去」される可能性が濃厚と言えそうだ。
パチスロ5号機問題に類似?「ホール倒産ラッシュ」が到来か
最盛期には約1万8000店を誇った店舗数は、2017年に1万店を割ったことが判明。ホール倒産件数がハイペースで進行している深刻な状況だ。
企業信用調査などを手がける帝国データバンクが10月10日に発表した「パチンコホール経営業者の倒産動向調査(2017年1~9月)」によると、2017年の倒産件数は9月時点で16件。これは「3年ぶりに前年を上回るペース」となっている。
また、同時期における負債総額は198億1800万円。1月にゲンダイグループが大型倒産(105億)した影響が大きく、4年ぶりに前年(102億5500万円)を上回る厳しい結果であった旨が発表された。
来年2月より出玉規制が強化されることを考えれば、この流れが「加速」することは間違いないだろう。倒産件数が過去最高の水準になった、4号機の終了が生み出した”悪夢”の再来も否定はできない。
「MAX機」撤去の危機に「救世主」出現
短時間で大量出玉の獲得も可能な「パチンコMAX機」が撤去された2017年。強烈な爆発力を求めるユーザーが、大半であったことは間違いない。出玉の瞬発力を失うダメージは想像以上に大きく、多くのパチンコ店が売上の低下を招くことになってしまった。
そのような状況で快進撃を見せたのが「小当たりラッシュ」と「一種二種混合機」である。
新基準機のネックである継続率65%に左右される事なく、出玉を増やせる「小当たりラッシュ」。1月に導入された『CRぱちんこGANTZ』(OK!!)は、新基準機の低評価を一変させた存在と言っても大袈裟ではない。本機によって注目を浴びた小当りラッシュは、現在のパチンコ界における主流となっている。
ST機への搭載では好評を得ることができなかったが、確変ループ機との融合で魅力が爆発。STでは回転数のみとなるが、確変ループならば次回まで継続させることが可能だ。確変中に「ハマればハマるほど出玉が増える」という画期的なシステムは、ユーザーを虜にすることに成功した。
「一種二種混合機」は、デジパチと羽根モノが融合した機種。最大の魅力は「継続率を高められる」点だ。
新基準65%の制約内で「実質80%」という高継続率を実現した『CRぱちんこ魔法少女まどか☆マギカ』(京楽)や、軽めのライトミドルとして登場した『CRフィーバー戦姫絶唱シンフォギア』(SANKYO)は高い稼働を誇っている。新時代に現れた救世主とも表現できるだろう。
この結果を見る限り、多くのユーザーが「新しいゲーム性・スペック」を重要視していることは明白。今後は規制が強化されることになるが、そんな要望に応えることができれば大幅なユーザー離れは防げるのかもしれない。メーカー側の奮闘に期待したいところだ。
絶望…… 5.5号機に続き5.9号機も惨敗が濃厚
数々の規制が加わったパチスロ5.5号機。『押忍! 番長3』(大都技研)や『聖闘士星矢 海皇覚醒』(三洋)など好評を得た機種も登場したが、全体的には惨敗したという印象だ。
パチスロ界を代表する『北斗の拳』や『バジリスク』というビッグコンテンツでさえも成功を収めることはできなかった。そのような状況で「5.9号機」への完全移行を迎えることに落胆した人間は多い。
ART機などに搭載されている「指示機能(アシスト)」が「最大 1500G」となる5.9号機。その出玉性能を問題視する声は多かったが、その不安は的中してしまったと言わざるを得ない。今後も新台の登場は予定されているが、苦戦を強いられる可能性は否定できないだろう。
法改正に伴う「6号機時代」は確実に迫っている。果たしてパチスロ業界は、どのような未来を迎えるのだろうか。
ギャンブル依存症対策や規則改正など、今後の変化を予感させる「大きな動き」が引き起こされた2017年。さらに厳しい時代となる来年は、パチンコ業界にとって非常に重要な年となりそうだ。
(文=編集部)