パチスロ「単チェリーと月星ラクダ」が築く「ドル箱の山」!! ~2号機名機伝説「アラジン」編~【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.20】
ハード・ソフト両面において様々な新機軸が盛り込まれ、飛躍的な進歩を遂げたパチスロ2号機。
とりわけ、従来からのボーナス役に次ぐ新たな出玉増加機能として許可された、小役やシングルボーナスの「集中役」は画期的であった。
多くのマシンで集中役は、ゲームの流れにちょっとしたアクセントをつけるための脇役として、あくまでも控えめに存在していた。
たとえば、8枚小役が60ゲームの間高確率で揃い続けて、160枚程度のメダルが獲得できる。自分も含め当時のプレイヤーは、「ボーナスじゃないのにメダルが増える。ちょっと、お得だね」と受け止めていた。
まぁ、第11回で取り上げた『チャレンジマン』の「ジャンボフルーツ」のような特異な例もあったが、基本的に小役の集中役は規定の上で継続ゲーム数が決められていたため、脇役の域を脱し得ないものだったのである。
だが、シングルボーナスの集中役となると、話が変わる。継続ゲーム数の規定はなく、終了条件はビッグ成立あるいはパンク(終了)フラグ成立のいずれか。ゆえに、その可能性は未知数、まさに無限大であった。
そんな、シングルボーナスの集中役を主役に据えることで破壊的かつ驚異的な出玉性能を実現、一大センセーションを巻き起こしたのが、サミー工業が開発・製造しニイガタ電子精機の2-2号機として1989年夏にリリースされた『アラジン』である。
秋の風が頬に心地よい、ちょうど今頃の季節だったか。まだ雑誌などにも詳しい情報が載っていない頃、たまたま近所の店の新装でこのマシンと出くわした。
何の知識もなかったが、とにかく新台である。好奇心に駆られて打ち始めた。すると、ほどなく月星やラクダが揃いはじめ、アラビア音階の効果音とともに、またたくまに下皿にメダルがあふれた。
ふと台上を見上げると、なにやら呼び出しランプが「ちかちか」と点滅している。すると、パンチの効いた店員がやってきて月星とラクダの絵が描かれたフダを刺し、「兄ちゃん、ラッキーやな」と肩を叩いた。周囲の客の熱い視線が、背中に刺さった。