パチスロ「BIG一撃最大600枚の破壊力!!」~3号機名機伝説『ミラクル』編~【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.46】
非合法に改造された裏モノ連チャン機が蔓延し、全国各地のホールが連チャンの炎に包まれていた1991年の夏。
裏モノに頼ることなく爆発的な出玉を実現する「画期的なシステム」を搭載したマシンが登場した。
尚球社(現・岡崎産業)の3-1号機『ミラクル』は、BIG中の出玉増加システムに史上初の「期待値方式」を採用した画期的なマシン。
1号機以降のパチスロ機のBIGは、基本的に「純増方式」が用いられており、最終的な獲得枚数が360枚程度になるようゲームの進行がプログラムで管理されていた。
一方、『ミラクル』で初めて採用された期待値方式は、10~最大30Gまで5G区切りでブロック分けされた小役ゲームの総ゲーム数を均等な振り分けで抽選することで最終的な獲得枚数が大きく変動。最大の30Gが選択された場合は、なんと605枚もの大量獲得が期待できたのである。
ただし、この期待値方式、設計値どおりの出玉を得るためには、必ず目押しによって15枚役を狙い打つ必要があった。つまりは、プレイヤーの技術介入が必須だったのである。
手順は「逆押しで右リールに黒い塊を狙うだけ」と簡単なものだったが、なんせ当時は「BIG中は得意顔で意気揚々とゲームを消化する」のが常識だった時代。
BIGの消化に戸惑う初心者や中高年層が後を絶たず、つど係員が説明してまわったり、遊技説明を書いて貼り出したりと、ホール側も扱いに苦慮する場面が各地で見られた。
『ミラクル』にはもうひとつ、ハードウェア面で画期的な新機能が搭載されていた。いまでは常識の、ワンプッシュで3枚投入ができる「MAXBET」ボタン。それを史上初めて搭載したマシンは他でもない。この『ミラクル』なのである。
画期的なシステムとプレイヤーの技術介入によって、高い出玉性能を実現した『ミラクル』。しかし、5段階で出玉が大きく変動することが「いたずらに射幸心を煽る」と指摘され、以降は禁止とされてしまう。
結果、翌1992年にリリースされた後続の『チャレンジマン7』では小役ゲームが20Gに固定され、獲得枚数は一律480枚となった。
まぁ、これでも当時としては十二分に大量獲得であり、また『ミラクル』よりも安定性が高いということで、手堅さを求めるプロ指向のプレイヤーには支持された。
ともかく、である。のちの4号機時代、『大花火』や『吉宗』といった大量獲得タイプが人気を博すことになるが、『ミラクル』と後継機の『チャレンジマン7』は、それらの遠い祖先であることは間違いないだろう。
(文=アニマルかつみ)