パチスロ「大量獲得ビッグと変則的な出目でマニアに人気」~4号機名機伝説~ 『シティボーイⅡ』編 【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.90】


「ハナハナ」シリーズなど、ハイビスカス告知の沖スロで圧倒的な人気とシェアを誇る大阪の老舗メーカー、パイオニア。

 その歴史は古く、パチスロ黎明期の1980年代初頭に同じく大阪に本拠を置いていた高砂電器(のちのアビリット→現在のコナミアミューズメント)とタッグを組んで業界に参入。

 独自の周期抽選方式による高い連チャン性を誇った1号機『フォーチュンワン』シリーズや、ナチュラルな荒波とスベリがアツい2-1号機『スーパーセブン』など歴史に名を刻む数々の名機を送り出した。

 その後、高砂電器との提携関係を解消。2-2号機『ムサシ』から独自路線を歩み出すが、様々な攻略法やゴトが発覚するなど騒動に見舞われる。

 そんな同社が心機一転、パチスロ新時代に向けて放ったのが、1994年夏リリースの4号機第1弾『シティボーイⅡ』である。

『シティボーイⅡ』


 仕様は、BR2種類のボーナスのみで出玉を増やす、スタンダードなAタイプ。スペックは全設定にわたってビッグに偏った確率配分となっており、様々な営業形態に対応させるためか、確率・機械割ともに低設定域が辛めになっているのが特徴だ。 まぁ、仕様やスペックだけ見れば、当時の4号機Aタイプ機としてはごくごく平凡で、よくも悪くも「フツーの台」だったのだが、実際の出玉特性については、かなり非凡なところがあった。ビッグの獲得枚数のバラツキが、とにかく大きかったのである。

 平均すれば、一般的なAタイプ機よりも少し多めの380から390枚程度に落ち着くのだが、パンク(最大3回あるJACゲームを取り切れない)が頻発する反面、完走すれば500枚を超えることもあるなど、とにかくビッグごとの獲得枚数の差が大きかった。

 原因は、ボーナスイン確率にあった。当時の一般的なAタイプ機はおおむね3分の1程度だったのに対して、本作は5.18分の1と低め。結果、小役ゲームが長引くことで大量獲得が期待できる反面、常にパンクの危険と隣り合わせだったのである。

異常ともいえるビッグの獲得枚数のバラツキに関する当時のパチスロ必勝ガイドの記事

 一方、ゲーム面においては、多彩かつ独自性の強いリーチ目が大きなセールスポイントとなっていた。

 7とBAR、そして右リールの代用絵柄であるチェリーの組み合わせが中段や上段、右下がりなどの一直線に並ぶのが基本パターン。また、山佐のマシンでもよく見られる特定絵柄が山型やV字型に並ぶパターンも有効である。

 しかし、本作の出目演出の真骨頂といえるのは、半L字型や逆L字型などの変則的なパターン。前者は右下がりに、後者は上段に一直線型を形成してもよさそうなのに、なぜか右リールが1コマズレた型になっているのだ。


 その他、マニアックなパターンとして、左→中にリプレイやベルが代用絵柄として停止するパターンや、チェリー付きの7テンパイ型などもあり、けして大量ではないものの多彩かつ独創的なこれらのリーチ目は「シティボーイ目」と名付けられ、出目にうるさいマニアたちを大いに魅了した。 いまでこそ、愚直なまでに王道かつ安定路線を歩み続けるパイオニアだが、4号機時代の当初は、他社がやらないことに果敢に挑むなど常に独創的かつ画期的な開発姿勢で、業界内から一目置かれた存在であった。社名の通り、新時代のパチスロを開拓する者だったのである。

(文=アニマルかつみ)
〈著者プロフィール〉
兵庫県尼崎市出身。1992年春にパチスロ必勝ガイドのライターとなり、以来30年にわたってメディア人の立場から業界の変遷を見つめてきた大ベテラン。ぱちんこ・パチスロの歴史に関しては誰にも負けない博識を持つ。最近ではYouTube動画チャンネル「ぱち馬鹿」のメンバーとして、各種企画の制作や出演、生配信などにも精を出している。ライター稼業のかたわら、ロックバンドのベースプレイヤーとしても活動中。愛猫家。昭和レトロ好き。
■Twitter(@anikatsu213):ANI-Katsu(アニマルかつみ)

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