パチンコ「新規メーカー」が誕生させた「超強力連チャン」……「羽根物」と若かりし頃のしょっぱい記憶【羽根物・名機列伝】
これが強力であった。役物確率が1/10(見た目)での20回転時短である。当然、台の調整にもよるが、時短連チャン率がすこぶる高く、この性能によって「甘い台」と認識されていたし、私自身もだいぶ勝たせてもらった記憶がある。
このように遊技機のメーカーとしては新興で、新規参入してきたaaa(エース電研)ではあるが、初めての羽根物で完成度の高いマシンを作り出した。そんなエース電研に私は苦い思い出があり、その名を聞くといつも当時の恐怖がフラッシュバックするのである。
新機種の取材・撮影を寝坊によってすっぽかしてしまったのである。虫の知らせか、寝ているにもかかわらず何かとてつもなく悪い予感に襲われ、飛び起きると同時に時計を確認すると取材予定時間がとっくに過ぎていた。
血の気が引いて、取材に同行してもらう予定だったカメラマンに連絡を取ると半ギレで「もう帰った」と言われる始末。その後すぐにエース電研の担当者に謝罪をかねた説明の電話を入れるも用事で席を外していると受付の方にあしらわれたのである。
結局その日は担当者と連絡がつかずじまい。次の新機種の取材まで謝罪の機会は訪れず、ようやく迎えた対面の時に吐きそうになるほど緊張しながら現地ヘ向かい、まともに担当者の顔を見ることもできないまま「申し訳ありませんでした」と謝ったのである。
出禁でもおかしくない案件に「こんなことは初めてだ」と軽口で雰囲気をやわらかくしていただいた担当者の度量に感謝し、器の大きさに恩義を感じる以外なかったのである。
(文=大森 町男)