パチンコ驚愕の「怪物」が降臨……「〇〇版権」にハズレなし!?
名作なのにちゃんと見たことがない。
そういう映画は多いはずである。スプラッター映画の金字塔である「13日の金曜日」も私にはそういった映画のひとつで、ある意味「古典」に分類された伝統文化といった認識である。
とはいえ、一応幼少期に1回は通して観たような記憶があり、細かい設定やストーリーの概要は定かではないが、湖のほとりでパリピ学生が次々に殺されていく様に恐怖を覚えたものである。
そんな映画を題材にしたパチンコ『P13日の金曜日』。演出的にはジェイソンから逃げ切れば大当り的なものかと思いきや、がっつり戦って、といっても明確な戦闘シーンはないのだが、ヒロインが先制や反撃をすれば確変突入となるバトルタイプであった。
ホラー映画で最後まで生き残る主人公、いわゆる「ファイナルガール」で、下手をすれば女子高生のように見えるヒロインがジェイソンをめった斬りする勝利シーンはシュールである。そう、本機の本質は「シュール」なのだ。
ヒロインの名前がヒトミとアカネというバリバリの日本名だったり、通常時の最強リーチがいまどき「SPリーチ」という名称だったりとかなりの無茶をしでかしている。
無茶といえば、SPリーチ以外のリーチは図柄の動きがメインとなる「ノーマルリーチ」とヒロインが怖がるだけの「ヒロインリーチ」の2種類。直当りというよりもSPリーチへ発展させることが主になるとはいえ、このコンテンツの浪費感がシュールというほかにない。
そもそもバトルと2回ループが噛み合っていないのが素晴らしい。1回目の確変でジェイソンのバトルに負けても、実は気絶していただけで、ヒロインが立ち上がって逃げるのである。出会ったが最後、ジェイソンと対面した者は必ず殺されるという思い込みをこそ殺すのである。
そして2回目負けた時の「デッドオアアライブ」。なんと液晶右上のランプで展開。ジェイソン置いてきぼりである。しかもこのランプ演出が時代に則さない非常にシンプルなもので、逆に交換が持てるのである。
その2回ループも『Pツインループ花満開』と仕組みを変えてきて、『元祖源さん』タイプに移行したのである。確変の大当り確率が1/100.21なので電サポなしで回す1回目の確変は正直しんどかった。
しかも特図2の始動口がなかなか厳しいポジショニングとなっていて、変動が止まること数知れず。さすがにこの点だけは疑問を感じた次第である。
とはいえ、全体的にはサブカル台として高評価。文字を駆使した演出の妙だったり、電サポ中にペニシリン「ロマンス」をセレクトするセンスなどサブカル味爆発である。後学のために一度は触っておきたいサブカル台なのである。
(文=大森町男)