「羽根は開閉するもの」との概念を打ち破ったマシン・「斬新なシステム」を採用した名作を製造【SANKYO 羽根モノの軌跡―その6】
SANKYO 羽根モノの軌跡―その6
ヤシの木を模した羽根が玉を拾い、左右に動くVゾーンへ入れば大当り。その後はVゾーンが中央で停止すると共にカーペット役物が降下し、最大5個まで玉が貯留される。
8回開閉後はカーペット役物が上昇して玉を一気に解除。玉がVゾーンへと殺到する勢いはクセになる気持ち良さで、1989年に三共(現SANKYO)が発売した『マジックカーペットI』は、その後、何年も後継機が登場するほどの人気を集めた。
羽根モノというジャンルでも確固たる地位を築いた同社は、翌年1990年2月、「羽根は開閉するもの」との概念を打ち破った『エンタープライズⅠ』をリリース。スクリュー型の羽根は1チャッカー入賞で180度、2チャッカー入賞で360度回転する仕組みで、大当り後は役物中央にある戦艦の舳先が2つに割れ、最大6個の玉が貯留される。
同月に登場した『スウィングⅠ』は、役物全体で大きな振り子時計を表現。Vゾーン手前にある上下する2本の突起物が玉の動きに影響を与え、大当り後はハズレ5カウント後に時計盤が180度回転することで、Vゾーンへ入りやすくなる。また、同月のマシンには縦長役物が印象的な『スナイパーⅠ』もある。
様々なキャラを押し出した羽根モノを製造
3月には、こちらも後の後継機が生まれた『うちのポチⅠ(&Ⅱ)』がデビュー。V入賞のポイントは役物「ポチ」の両耳の動きで、耳が上がった際に玉が奥へと導かれれば、股の間からVゾーンへ高確率で入賞する。
大当り中は16回開閉、もしくはハズレ7カウント後に両耳が上下に作動。玉が後ろへ回り込むのをアシストしてくれるため、高い完走率を誇った。
磁石を使った斬新な貯留。そんなシステムを採用したのが5月に導入を開始した『道路工事Ⅰ(&GP)』だ。文字通り、道路工事を行う作業員はコミカルなだけでなくV入賞のカギも握り、通常時はチャッカー入賞時、腕が上下して玉の動きを管理。大当り中は前進した作業員が、まず手前にあるボード上中央に最大3個まで玉を貯留し、ハズレ3カウントor羽根開放5回後に貯留が解除されると下段のプレスマシンへ磁石によって付着→ハズレ6カウント後or羽根開放11回後に解除される。
7月にはドイツの戦車「レオポルド」をイメージした『レオパードⅠ(&Ⅱ)』、その名の通り、演歌をフィーチャーした『演歌道』がデビュー。8月には巨大タンクが大迫力アクションを演出する『アークタンクⅠ』、チャンスチャッカー入賞後はV入賞まで役物内の赤い汽車が回り続ける『汽車ぽっぽⅡ』のほか、大当り中は10カウントor羽根開放18回後で貯留解除される高継続率&出玉豊富な『タコヤキSP(&DX)』も登場した。
また11月には『ナイトドラゴン(&Ⅶ&GP)』も世に送り出した。