パチスロ「回胴乱世を象徴する闇の帝王」~3号機名機伝説『アラジンⅡ』編~【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.41】
怒濤のごときビッグ連打で一世を風靡した『コンチネンタル』と、その対抗馬として登場した『ワイルドキャッツ』と『セブンボンバー』。
裏モノ連チャン機の第1世代にあたる以上の3機種は、不正改造と裏プログラムの仕組みが明らかになったことで業界内で問題となり、急速にノーマル化が進行していった。
が、すでに市場は「連チャンせずはパチスロにあらず」といったムードに支配されていて、そんなニーズに応えるべく続々と新興勢力が登場。未曾有の裏モノ連チャン機ブームが巻き起こるのであった。
そんな狂乱の時代を象徴した1台が、サミー工業の3-1号機『アラジンⅡ』である。
本作は元々、2号機時代に一撃必殺の爆裂集中役「アラジンチャンス」で社会現象的ブームを巻き起こした『アラジン』の後継機として登場。仕様は先代と同様、集中役での大量獲得に重きを置いたA‐Cタイプである。
主役のアラジンチャンスの当選確率は先代の2倍にアップして入りやすくなったが、3号機の規定によりパンク確率も大幅アップ。先代と比べ、破壊力は大幅にダウンしてしまった。
これにはファンはもとより、ホールも失望。結果、市場のニーズに応えるべく「闇の商人」たちの手によって、次々とチューンナップされてゆくことになる。
裏モノ化したアラジンⅡには様々なバージョンがあったが、当時の攻略情報誌が解析した代表的な3つのバージョンを紹介しよう。
その① アラチャン消滅Ver.
ROMの正規プログラムでの抽選結果はすべて破棄され、RAMに注射された貯金プログラムでボーナスとその連チャンを抽選。
正規プログラムで当選したビッグは成立ゲームで揃えないと消滅。同様にアラチャンも成立→即、消滅となる。
本来のゲーム性を完全に無視したとんでもないバージョンだったわけだが、毎ゲーム777を目押しして正規プログラムで成立ビッグを取れば、その分丸儲けすることができた。
その② ビッグ&アラチャン貯金Ver.
偽造ROMに書き込まれた貯金プログラムで連チャンを抽選。正規プログラムで当選したビッグとアラチャンを貯金し、まとめて放出することで連チャンが発生する。
設定変更時に「ノーマル」「貯金」「ワンチャンス」「モーニング」の4種類のモードを自在に選択することができた。
その③ 妖怪七変化Ver.
文字通り、7種類のモードを自在に選択できる多機能バージョン。
「モーニング」+「連チャン」をセットすれば朝から大爆発、「イブニング」+「連チャン」をセットすれば仕事帰りのサラリーマンで賑わう夕方から夜に出玉を見せられる…といった風に、ホールが自在に出玉をコントロールすることができた。
以上の3つのバージョンは、市場に出回っていた裏アラジンⅡのほんの一部。
末期には、ポケットコンピュータと専用の打ち込み機を使って、貯金目標数や放出タイミング、放出時の確率などを事細かに設定できるバージョンも登場。
他を圧倒するバージョンの多彩さから、いつの頃からか「闇の帝王」なる称号を授かり、攻略情報誌の誌面を賑わすのであった。
(文=アニマルかつみ)