パチスロ「サウンドだけだが史上初のタイアップ機~スペースバトル&スペーススペクター・前編」【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.51】
東京に移住して最初の夏が過ぎた1991年9月。
連チャン機ブームを巻き起こした『リバティベルⅢ&Ⅳ』や『コンチネンタル』、そして『ワイルドキャッツ』や『セブンボンバー』といった「第1世代」のマシンは軒並み、違法プログラムや攻略法などの発覚によりノーマル化が進んでいた。
暑い夏が終わり、季節は秋へと移ろいでいたのだが、パチスロシーンに関しても同様だったのである。一抹の寂しさを帯びながら、涼しげな風がそこかしこに舞っていた。
そんな初秋のある日のこと。隣町のパチスロ専門店が新台入れ替えをしたというので、てくてく歩いて訪れてみた。
その店は少し前まで、バッキバキの『コンチネンタル』や、5ゲームで連チャンする『リバティベルⅣ』があった店。
『コンチネンタル』はノーマル化しつつも健在だったが、例の「世界全滅打法」でコテンパンにヤラれた『リバティベルⅣ』の姿は無く、代わってそこには、見たこともない奇妙な新台が入っていた。
B級アメリカンコミックのようなパネルデザインが当時としては珍妙しかし斬新だったその新台の名は『スペースバトル』。
関西に本拠を置く老舗メーカー・日活興業(現在のネットの前身)の3-1号機である。
仕様は、ボーナスでのみ出玉を増やすオーソドックスなAタイプ機。しかしながら、BR比率1:3というスペックは、「パチスロはビッグが連チャンしてナンボやろ!!」だった当時の世情からすれば、異様だった。
確かに、ボーナスは頻繁に当る。しかし、そのほとんどは獲得枚数90枚程度のREG。出玉推移は極めて穏やかで、まぁまぁ退屈であった。
だが、このマシンには画期的な要素がふたつ、あった。
ひとつは、BGM。機種名からもおわかりのとおり、本機種は宇宙をテーマというかモチーフにしているのだが…な、なんと。大胆にも、かの世界的有名映画「スターウォーズ」のテーマを採用。
サウンドのみだが、パチスロで初めて有名コンテンツとのタイアップを果たしたのは、何を隠そうこの『スペースバトル』と、兄弟機の『スペーススペクター』だったのである。
さらにもうひとつは…な、なんと。コインを箱に移しやすいよう、下皿にスライドドアが装着されていたのである。
メーカーとしては利便性を考えて装着した、斬新極まりない新機能だった。しかし、脚を組み替えた際、スライドドアの取っ手の部分に膝があたって下皿のコインがこぼれてしまうという難点があり、後にも先にもこれら2機種のみの採用にとどまった。
そもそも、REG比率が圧倒的に高く出玉推移が穏やかでスライドドアを豪快に開けてコインを箱に移す機会もほとんどなかったのだが、やがてこの開閉式下皿が威力を発揮する時がやってくるのであった。
(文=アニマルかつみ)