パチスロ「オリンピア初の大量リーチ目搭載マシン」~4号機名機伝説~ 『プレイガールクイーンⅡ』編 【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.99】
2号機時代、『バニーガール』、『スーパーバニーガール』の2機種を立て続けに大ヒットさせ、大手メーカーの仲間入りを果たしたオリンピア。
1994年初頭にリリースした4号機第1弾『プレイガールV』は、同社初となるシングルボーナスの集中役を搭載したA‐C機として登場し、話題と注目を集めた。
ところが、ごくごく限られたエリアだったが、「どこかの悪い人たち」によってカスタマイズされた裏バージョンが出現。その中には、体感器を使った狙い打ち攻略が効くものもあり、プロ・アマを問わず「効く台」を探して奔走する者が続出する。
そんな風に『プレイガールV』が本来のものとは異なるバージョンと攻略法で世間を騒がせていた同年秋に登場したのが、後継となるシリーズ第2弾『プレイガールクイーンⅡ』である。
『プレイガールクイーンⅡ』
スペックは、全設定を通して非常に高い数値が奢られたビッグをメインとした確率配分。集中役は全設定共通の4096分の1と低く抑えられており、「ビッグ偏向型のAタイプにオマケとして集中役が付いた」といったところだろうか。
集中役についても、パンク確率が82分の1から90分の1と非常に高く設定されているため、長打による大量獲得は夢のまた夢であった。
技術介入要素については、ビッグ中のリプレイハズシが効果的。10枚役メインだが、当時のパチスロ必勝ガイドの検証では、テキトーに消化するのと比べて30枚もの獲得枚数上乗せが期待できた。
手順は、中リールを適当に止めて停止型に応じて成立役を判断し、ベル奪取とハズシを使い分けるという簡単なもの。
ビッグ偏向スペックなだけに、やるとやらないとでは最終的な出玉に大差が生じることは言うまでもなかったが、当時はまだ技術介入至上主義時代が幕を開ける前。実践する者は一握りのマニアなプレイヤーだけだった。もったいない話である。
名門メーカーであるオリンピアとて例外ではなく、本作にも『ニューパルサー』への対抗策が盛り込まれていた。ほかでもない,同社初となる「大量リーチ目」である。
リーチ目の基本は、特定絵柄の一直線型。7やBARといったボーナス絵柄、各リールのプラム、中・右リールのチェリーがリーチ目を構成する絵柄に指定されており、それらが一直線に並ぶと5ライン有効のリーチ目となった。
仕組み自体は、『イヴX』や『フリッパー3』といったユニバーサル系マシンと同様、引き込み制御による一直線型オンリー。
しかし、代用絵柄を多用することで、あたかもテーブル方式を駆使しているかのような複雑かつ多彩な出目演出を可能とした。なかなかのアイデアといえるだろう。
オリンピアはその後、純Aタイプ路線にシフト。本作で確立した同社オリジナルの大量リーチ目は、『ビーチガール』や『ブルーマリーンⅡ』といった後続のマシンに継承されてゆき、機種を重ねるごとに成熟度を増してゆくのであった。
(文=アニマルかつみ)
〈著者プロフィール〉
兵庫県尼崎市出身。1992年春にパチスロ必勝ガイドのライターとなり、以来30年にわたってメディア人の立場から業界の変遷を見つめてきた大ベテラン。ぱちんこ・パチスロの歴史に関しては誰にも負けない博識を持つ。最近ではYouTube動画チャンネル「ぱち馬鹿」のメンバーとして、各種企画の制作や出演、生配信などにも精を出している。ライター稼業のかたわら、ロックバンドのベースプレイヤーとしても活動中。愛猫家。昭和レトロ好き。
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