パチスロ「『0枚役』を駆使した独創的な出目演出が魅力」~4号機名機伝説~ 尚球社『ラッキーチャンス』&『ハットトリック』編【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.113】
4号機名機伝説~ 尚球社『ラッキーチャンス』&『ハットトリック』編
1980年、山佐とタッグを組み史上初となる箱型スロット『パチスロパルサー』を世に送り出し、回胴界に大革命を巻き起こした関西の老舗メーカー、尚球社(現・岡崎産業)。
その後も同社は、ビッグ成立まで延々とコインを吐き続ける爆裂集中役「ジャンボフルーツ」で一世を風靡した2号機『チャレンジマン』や、期待値方式の採用でビッグ一撃最大600枚もの大量出玉を実現した3号機『ミラクル』などなど、革新的な仕様とゲーム性を持つマシンをリリースし、話題と注目を集める。
1993年秋にリリースされた4号機第1弾『ジャックポットⅡ』は、連チャン期待度の高いハイスペックと多彩な出目で人気を博したが、左ボタン連打による狙い打ち攻略が発覚。対策機『ジャックポットⅡA』への改修など、対応に追われることとなる。
そんな尚球社が起死回生を目指して1995年にリリースしたマシン2作を、今回はご紹介するとしよう。
仕様は、前作『ジャックポット』シリーズを踏襲するオーソドックスなAタイプだが、BR両ボーナスとも絵柄のバリエーションが3種類ずつに増えたのが特徴。「ボーナス絵柄テンパイ+右リールのチェリー」でREGとなる点が、当時としては斬新だった。
当時のパチスロ必勝ガイドの実戦では、50ゲーム以内のボーナス出現率が33.6%を記録するなど、ハイスペックの実力を遺憾なく発揮してくれた。
まぁ、当時はいまと違って7~8枚の低交換率が主流の時代。なおかつ導入直後となれば、「高設定ならではの挙動」といった方が正しいか。
ゲーム面での最大のセールスポイントは、信頼度100%の鉄板リーチ目をあえて廃し、ファジーなチャンス目をメインとした出目演出。
ボーナス絵柄のハサミ目とともに0枚役の「オレンジボーイ」が揃ったり、チェリー付きのボーナス絵柄ハサミ目、あるいは特定の2連チェリーが頻発すればボーナスのチャンス到来、といった寸法である。
先述のとおり、基本仕様は絵柄が変わっただけで完全踏襲。スペックも、高交換率営業に配慮してかBR両ボーナスともにややダウンしているが、基本的な路線は変わっていない。
が、そんなことよりも本作の最大の特徴として挙げられるのは、出目演出が大幅に変更されたこと。『ラッキーチャンス』が曖昧なチャンス目主体だったのに対し、こちらは安心確実な鉄板リーチ目がメインとなっているのだ。
基本となるのは、ボーナス絵柄のハサミ目プラス0枚役「ボール」揃い型。ボーナス絵柄がハサんで、同時に左→中に「ボール」がテンパイするパターンも鉄板となる。
ちなみに左→右のハサミ打ちの場合、ボーナス絵柄のハサミ目と「ボール」がダブルテンパイすると2リール確定、ボーナス絵柄のハサミ目と「ボール」、さらにリプレイやホーンがトリプルテンパイの形になると小役ハズレ目となった。なお、ボーナス絵柄の一直線型はいずれも、信頼度「?」%なチャンス目だった。
どちらのマシンも、セールス的にはお世辞にも大成功したとは言えなかったが、違いのわかるマニアなプレイヤーたちに支持され、そこそこの人気を獲得。攻略法の発覚により短命に終わった歴代のマシンの仇を取ることは、なんとかできたようだ。