パチスロ「大胆なイメチェン戦略が功を奏してヒット」~4号機名機伝説~ 『パラディ』シリーズ編 【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.117】
【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.117】
「ハナハナ」シリーズなど、ハイビスカス告知の沖スロで圧倒的なシェアと人気を誇る大阪の老舗メーカー、パイオニア。
同社はパチスロ黎明期の1980年代初頭、同じく関西の高砂電器(→アビリット→コナミアミューズメント)とタッグを組んで業界に参入。歴史に名を刻む数々の名機を送り出した。
その後、高砂電器との提携を解消して独自路線にシフトし、1994年に4号機第1弾『シティボーイⅡ』をリリース。獲得枚数のバラツキが大きなビッグと独創的な大量リーチ目で、違いのわかるマニアなプレイヤーに人気となる。
翌1995年には、『シティボーイ』シリーズの仕様やゲーム性を踏襲しつつハードウェアを一新した『ミリオンシティEX』と兄弟機の『~RX』をリリース。
これもまた、マニアなプレイヤーたちからは高い評価を得るに至ったわけだが、古風なモチーフもあって、どことなく地味で垢抜けない印象が強く、競争が激化する4号機市場においては苦戦を強いられてしまう
そこで同社は心機一転、続く新シリーズにて大胆なイメージチェンジ戦略を実行する。熱帯のジャングルとそこに住まう動物をモチーフにした、『パラディ』『パラディエンジェル』である。
4号機名機伝説~ 『パラディ』シリーズ編
仕様は、表面上のBR比率1:1のスタンダードなAタイプ。ひときわ目立つキャラ絵柄のオオハシがリプレイなのがユニークである。いまなら間違いなく、ビッグ絵柄になっていただろう。
それらに加えて「パラディエンジェル」では、「中段青花&赤花の一直線型」という新たなパターンも追加。中リールの「BAR付き7」が花の代用として停止するパターンもあった。
また、「中段ベル・チェリー・チェリー」「中段リプレイ・チェリー・チェリー」というマニアックパターンも搭載。出目のバリエーションは、従来よりもはるかに多種多彩なものとなっている。
出目以外で両機種に共通する特徴として、右リール横の「replay」ランプの消灯タイミングによるボーナス判別があった。
通常、リプレイが揃うと次ゲームの全リール停止時にランプが消灯するのだが、リプレイの次ゲームでボーナスが成立すると、レバーオンと同時に消灯するのである。
恐らくこれは、演出として意図的に盛り込まれたものではなく、かつての『トロピカーナ7X』の「遅れ」と同様、プログラム的なバグと思われるが、結果的にこの刹那的な演出は多くのプレイヤーを虜にし、「パラディ」シリーズの人気を決定づける重要な要素となった。
手応えを感じたパイオニアは、その後も野菜のキャラクタをモチーフにした『ベジタンV』や、昆虫のキャラクタを盛り込んだ『ブンブンブン』など、ポップなイメージを前面に押し出したマシンを続々とリリース。シェア拡大に邁進するのであった。