パチスロでは初となる「キャラクター・タイアップマシン」~4号機名機伝説~山佐『ピンクパンサー』編【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.127】
1993年春にリリースした4号機第1弾『ニューパルサー』が累計販売台数23万という史上空前のメガヒットを記録し、4号機市場におけるイニシアチブを完全に掌握した山佐。
続く第2弾『ダイバーズXX』も「ニューパル人気」の追い風もあって好セールスを記録するが、第3弾の『セブンリーグ』は「A-A-cタイプ」と称する特殊な仕様とスペックが仇となり、残念ながら不振に終わってしまう。
が、そんなことなどものともせず、再び山佐はシーンを賑わすことになる力作を送り出す。世界的に有名な映画のキャラクタをモチーフにしたパチスロでは初のタイアップ機、『ピンクパンサー』である。
濃淡2パターンのピンクを基調としたパネルには、お馴染みのキャラクタが描かれ、ビッグ絵柄には主人公のピンクパンサー、リプレイ絵柄にはクルーゾー警部が用いられるなど、原作の世界観が忠実に再現された本作。
しかし、仕様自体は『ニューパルサー』や『ダイバーズXX』をそっくりそのまま受け継ぐ、きわめてオーソドックスなAタイプとなっており、役構成や払い出しは前2作となんら変わらない。
低設定ほどビッグに偏ったスペックも同様。前2作と比較してみると、ビッグは「ダイバーズXX」と同じで、REGが低設定域で少し辛くなっている程度だ。
ゲーム面での最大のセールスポイントは、ほかでもない。緻密なテーブル制御が繰り出す、山佐伝統の「大量リーチ目」である。その総数は、当時のパチスロ必勝ガイドの解析によると、なんと「1383」。代表的なパターンを、ご紹介しておこう。
例によって基本となるのは、ボーナス絵柄の組み合わせが特定のラインに並ぶ、いわゆる「山佐型」。
しかし、ボーナス絵柄の配置変更によって誕生した、左リール中段「パンサー」からのパターンが原作のそれと同様、なかなかのクセものだった。
一目見てそれとわかる一直線型よりも、それを避けたかのようにボーナス絵柄が変則的に並ぶパターンが多々あったのである。
一方、ボーナスフラグ成立後の「チェリー付きリーチ目」については、『ニューパルサー』と同様、左→右でボーナス絵柄がハサめば問答無用で鉄板となったが、ハサミ目にはならないパターンも多く、これもまた原作の主人公のように、なかなかのクセものだった。
その他、2リール確定目や小役ハズレ目を含め、各リールにボーナス絵柄が停止しない一見すると難解なパターン(いわゆる代用絵柄停止型)も多く存在し、そこがまたマニアの探求心をくすぐった。
技術介入要素についても触れておこう。
出玉性能に関わる部分については前2作を完全踏襲する本作、ビッグ中は例によってリプレイハズシを駆使することで、相応の出玉上乗せが可能。
しかし、要所要所で正確無比なビタ押しが要求されるため、難易度は激高。にもかかわらず肝心の効果は実戦値でプラス10枚ちょっとと、ほとんど自己満足レベルだった。
一方、通常時は例によって高低2種類ある小役確率を切り替え、払い戻し率を一定に保つ小役補正システムを搭載。
しかし、その効きがかなり甘かったようで、実戦では打ち方によって千円あたり2ゲーム近い差がついた。まぁ、あくまでも実戦上の値なので、ちょっとデキすぎな感じも否めないが…。
なお、小役補正システムの要となる差枚数カウンターの減算値が、設定1~4,5,6で異なるため、所定の手順を踏むことで高設定台を見抜くことが可能だった。
パチスロ史上初のタイアップ機という話題性はもとより、山佐のマシンとしての高い完成度が評価されヒットとなった『ピンクパンサー』。
その遺伝子は、1999年にリリースされた同社初のCT機『ピンクパンサー3』、そして20年あまりの沈黙をやぶって昨年春にリリースされたシリーズ第3作『ピンクパンサーSP』へと受け継がれ、好評を博すのであった。