初代を超えた「現代羽根物」傑作選の一台!ドキドキを紡ぎ出す「多彩な入賞パターン」を実現!!
それがどんなコンテンツであれ、犬をモチーフにしたものはたいていがほのぼのしていたり、感動を呼ぶような内容・イメージとなるのが通常である。ところが、額で相手の顎を叩き割る、喉笛に噛み付いたまま相手を中心に大回転するなど、闘犬から逸脱した殺しに来る技を織り交ぜながら少年漫画誌で血みどろの凄惨なシーンを多発させる犬のマンガがあった。
このマンガから発展した『銀牙伝説WEED』はSANKYOからパチンコ化されているが、くだんの『白い戦士ヤマト』や『銀牙~流れ星銀~』とは版元が異なるためいろいろややこしいっぽい。
ただ、SANKYOの犬モノといえば、真っ先に思い浮かぶのが『うちのポチ』シリーズであろう。愛らしい犬の役物や遊びやすさで人気を博した初代『うちのポチ』。そして、その登場から進化を遂げて四半世紀ぶりに復活した『CRうちのポチーズ』である。
初代は役物の背後から足の間を抜けて大当りする『ロボスキー』が発明した役物機構であったが、最新作では犬役物の下部にローラー型回転体が搭載され、よりゲーム性の幅が広がったのである。
ローラー型回転体をざっくばらんに説明すると『ファインプレー』の逆バージョンで、回転体には無数の磁石が仕込まれ、玉がくっついた場所によってV入賞の期待度が変化するようになっている。
磁石の場所は3種類。一番外側にある青色ポイントは期待薄。それより内側にある緑色ならチャンスとなり、中央に位置した赤色ポイントなら激アツだ。
ただ、赤色に付着しても下段ステージに仕込まれたモグラの貯留にはまらないとV入賞を逃すこともある。逆に緑色ポイントはもちろん、ハズレの可能性の高い青色からでもチャンスはあるので最後までドキドキ感が損なわれないようになっているのである。
特に、緑や青ポイントからV入賞を促す2つの救済ギミックが作り出す玉の動きが秀逸で、ローラー型回転体の直下に設置された左右に動く青い可動片が緑色ポイントからくる玉を中央に寄せる動きをみせたり、下段ステージに搭載された2匹の犬ギミックによる奇跡の玉弾きからのV横入りなど、多彩なイレギュラーパターンを展開させることとなる。
名機継承モノは役物機構に手を加えると「改悪」され、ノスタルジーを裏切るばかりか、もともとのゲーム性や面白さを損ない、看板に傷をつけてしまうことも少なくない。
非常にリスキーで勇気を必要とする試みであるが、本機においては大成功で、私などは初代より面白く完成度が高いと感じるほどである。もはや初代とは違う機種といえるかもしれない。
もちろん、玉が羽根に拾われて直後に発動する犬の耳の動きなど、初代を踏襲する要素もあるが、それに連動するドットアクションなども含め、初代『うちのポチ』を下敷きにするロボスキー機構を用いた現代羽根物のひとつの答えではないだろうか。
(文=大森町男)