パチンコホール「出玉規制」で”日本脱却”間近か…… カジノだけではない「パチンコ海外進出」生き残りを掛けた戦略手段
今年に入り、パチンコ店の廃業ペースが加速し続けている。1月の廃業数は62店舗、2月には56店舗と2カ月間あまりで「100件」を超える状況だ。
店舗数は2月末時点で9583件。このままのペースで廃業が続けば、今年中には9000店舗を割ることになる。相次ぐ出玉規制が及ぼす影響はホールにとって脅威であることが見て取れる。
ただ、規制が本格化する前に早々と店を畳むケースも存在している。新潟県上越地方のニュースメディア「上越タウンジャーナル」が2017年、新潟県を中心にホール経営を行う三井企画・三井慶昭社長に閉店した背景について話を伺っている。
昭和48年に創業した同社は、新潟県2番目となるパチンコ店をオープン。翌年には2店舗目も開店し、地元では知られる存在となった。パチスロブームが起きていた2000年頃には、上越市の売上ランキングでトップを争っていたほど人気ホールだったという。
しかし昨年2月末、同社は経営する「ミスターパチンコ藤巻店」「シルクロード上越店」の2店舗を同時に閉店。藤巻店は赤字経営が10年以上続いており「閉めざるを得なかった」とのことだ。
三井氏はこの他に、これからのパチンコ業界について指摘。「大衆娯楽から逸脱したパチンコ機の射幸性の高さが客減りを招いた要因」「これからも業界は衰退していく」と同誌で語っている。
赤字経営も閉店を決めた理由の1つではあるが、パチンコ業界の将来を懸念し閉店を決めた三井氏。現在経営する6店舗も採算が合わなければ手放す覚悟はあるとのことだが……。
三井氏はパチンコ業界から撤退するつもりは一切ないようだ。それは、業界全体が着々と取り掛かる「日本から脱却する手段」があるから。
「パチンコの海外進出ですね。三井氏はすでに東南アジアでパチンコ店を開店し2店目を準備中だそうです。アジアに日本の文化を勢力的に広げていくことが目標だそうで。
このような動きは、その他パチンコ店も行っているんです。関西を中心に展開する『ベラジオ』はグアムにパチンコ店をすでにオープン。また、パチンコ店『夢屋』を展開する夢コーポレーション会長松田泰秀氏の個人会社『ピーコス社』は、フィリピン・マニラに開店させていますね。カジノ進出が目立ちがちですが、海外にパチンコ店をオープンさせる事例は数多いです」(記者)
日本国内の市場縮小を踏まえ、「生き残り戦略」として海外進出を図るパチンコ業界。大手パチンコ店「ベガスベガス」「ダイナム」といったホールのカジノ進出が相次ぐなか、あえて日本独自の文化「パチンコ」を進出させるという考えもあるのだ。
日本が誇るカルチャー「アニメ」とのタイアップ機が目立つだけに、この組み合わせが合致すれば「パチンコ」が海外で支持を得られる可能性は大いにあるだろう。
(文=編集部)