「レジェンド」と「パチスロ」出会いは「意外な形」!?【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.02】
「あの、バンドやってて髪が長いんですけど」
無駄足にならないよう予め断りを入れると、電話の相手は笑いながらこう返した。
「ウチは工場やさかい、ちゃんと働いてくれさえすれば格好なんか関係ない。とりあえず、履歴書持って来てくれるか」
「ほっ」と胸を撫でおろし、さっそくその日の夕方に、大阪北摂は吹田市にあるその会社に面接に向かった。
地下鉄御堂筋線を江坂で降り、てくてく歩くこと15分。工業団地の一角に、パチスロメーカー「パル工業」はあった。
町工場然とした建物の2階にある事務所を訪ねると、四十半ばくらいのちょいと強面のお偉いさんが面接に応じてくれた。
「ウチは出来たばかりの小さい会社なんやけど、パチスロがいまブームでな。えらい忙しいんや。さっそく、明日から来てくれるか」
わずか10分程度の面接で、あっけなく採用が決まった。まるで夢のような展開に、足取りも軽く事務所からの階段を降りる。
帰り際、工場の建物を振り返ると、道路に面した搬出口で若い従業員たちが額に汗しながら、大きな段ボール箱をトラックに積み込んでいた。
段ボール箱には、羽根の生えた青い馬のイラストと「PEGASUS」の文字が記されていた。