パチスロ「パネルを押して無理矢理7を揃える」と…!? ~2号機名機伝説「ムサシ」編~【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.30】
前にも何度か書いたと思うが、自分は東京へ拠点を移した当初、バンドメンバーから紹介された、深夜のパチンコ店を専門とした掃除屋のアルバイトをしていた。
一般の客の立場では垣間見ることのできない、パチンコ店の「深夜の秘め事」も幾度となく目撃をした。
仕事はキツかったが、パチンコやパチスロを趣味とする者にとっては、それはもう天職のようなアルバイトだったのである。
世田谷は下北沢の現場を訪れた時のことだった。道具を抱えて地下のパチスロコーナーに降りてゆくと、ある1台のマシンが目に止まった。
その名は『ムサシ』。関西に本拠を置く老舗メーカー、パイオニアの2-2号機である。
同社は、0号機の時代から同じく在阪の老舗、高砂電器(のちにアビリット→現在のコナミアミューズメント)と業務提携を結び、数々のヒット作を世に送り出してきた。
が、どういう経緯があったのか提携を解消して独自路線に踏み出した。その記念すべき1作目となるのが、この『ムサシ』だったのである。
仕様は、2号機としては定番ともいえるフルーツ(小役の集中役)を搭載したAタイプ。
まぁ、良くも悪くもオーソドックスでこれといったウリに乏しい地味なマシンだったのだが、ひょんなことから情報誌の誌面を大いに賑わすことになる。そう、攻略法だ。
最初に発覚したのは、ビッグ成立後に小役を抜く、その名も「ムサシ抜き」。
4号機以前のマシンの多くには「等倍返し」といって、ボーナス成立から入賞までの間、特定の小役の確率がアップしてコインロスを最小限に抑えるという、打ち手にとってありがたい機能が備わっていた。
本作の場合、ビッグが成立すると機種名を記した「MUSASHI」の出現率がアップするようになっていたのだが、この処理に不具合があって、1枚掛けでボーナスをハズしながら特定箇所を狙うことで、文字通り自在に「抜けた」のだ。
ホール側としては、「1枚掛け禁止」の貼り紙を掲げて監視を強化することで一応の対策にはなったが、前回取り上げた『サファリラリー』の「BAR→7変換」と同様、こっそりやろうと思えばいくらでもできただろう。
結果、そうこうしているうちに多くが裏モノ化し、そのついでに等倍返しの不具合も解消させることで攻略法は封じられてしまった。
ところが、である。こんどは、荒技も過ぎる攻略法…というか、完全にゴト行為ともとれる事案が発覚した。
なんと、パネルを「ぎゅーっ」と押して内側をリールユニットに接触させて777を無理矢理揃える、というのである。
まぁ、一般的にはただ777が揃っただけではビッグは始まらない。プログラム的にフラグの成否を判断するのが最優先だからだ。