パチスロ「秘境探索をテーマにした難解リーチ目マシン」~4号機名機伝説~ 『ミステリオ・ウノ』編 【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.130】
アニマルかつみの回胴青春時代Vol.130
パチスロ黎明期の1980年代初頭、高砂電器(→アビリット→コナミアミューズメント)とタッグを組んで業界に参入し、歴史に名を刻む数々の名機を送り出してきた大阪の老舗メーカー、パイオニア。
いまでこそ、「ハナハナ」シリーズなどハイビスカス告知搭載の沖スロで圧倒的なシェアを誇る同社だが、高砂電器との提携を解消して独自路線にシフトした2号機時代中期から4号機時代の初頭までは、不遇の時代が続いた。
1994年にリリースされた4号機第1弾『シティボーイⅡ』は、獲得枚数のバラツキが大きなビッグと独創的な大量リーチ目で、違いのわかるマニアなプレイヤーからは好評を得ることができた。
筺体を一新してリリースされた続編の『ミリオンシティ』シリーズも同様に、いい意味でクセの強いゲーム性がマニア心をくすぐった。が、前作と同様、セールス的にはけして成功したとはいえない状況であった。
変わりゆく時代の中で、どうすれば市場での存在感を高められるか。そう考えた同社は心機一転、続く『パラディ』シリーズで大胆なイメージチェンジ戦略に打って出る。
「密林の楽園」をテーマにした本作、グリーンを基調としたポップでカラフルなパネルデザインはもとより、リールに描かれた絵柄にも柔軟性に富んだ斬新なデザインを採用するなど、「質実剛健だが、どことなく古くさくて垢抜けない」といった従来の同社のマシンのイメージを根底から覆し、大いに話題と注目を集めることとなる。
そして、確かな手応えを感じた同社は、またしても大胆なモチーフを施したマシンをリリースする。「宝探しの大冒険」をテーマにした、その名も『ミステリオ・ウノ』だ。
4号機名機伝説『ミステリオ・ウノ』編
宝のありかを示した古地図仕立てのパネルデザインは、もはやひとつのアート作品。リールに描かれた絵柄も、「謎の海洋生物」や「剣の刺さった7」、「王冠」、「宝石に見立てたチェリー」、「羅針盤」などなど、前作以上にテーマに忠実かつ徹底的である。
インパクト絶大なデザインが目を惹く本作だが、仕様は同社の伝統を受け継ぐスタンダードなAタイプ。スペックも、高確率ビッグをメインにREGで大きく設定差をつけるという、当時の4号機Aタイプでは定番の確率設計だった。
ゲーム面での最大のセールスポイントは、前作以上にマニアック度を増した多種多彩なリーチ目。
基本となるのは、ボーナス絵柄(と右リールのリプレイ絵柄)が一直線に並ぶパターン。それに、『シティボーイⅡ』から受け継がれた特殊半L字型(上・上・中や下・下・中に並ぶ型)が加わる。
以上は、あくまで基本中の基本。むしろそれ以外の変則パターンこそが重要であり、本作の出目演出における最大の醍醐味だった。
ボーナス絵柄が枠内バラバラに停止するもの、ボーナス絵柄が枠上や枠下で一直線や山型・V字型、L字型を形成するもの、枠内にボーナス絵柄がひとつも停止しないもの…「宝探しの大冒険」というテーマに従ってか、とにかく難解かつ独創的なパターンが目白押しだったのである。
最後に、技術介入性についても触れておこう。
ビッグ中は例によって、リプレイハズシによる獲得枚数の上乗せが可能。効果は平均でプラス20枚ほどだったが、配列の都合上、中段テンパイはハズシ不可というハンデを考えると、充分なレベルである。
一方、通常時の小役狙い打法は、最初の実戦では千円あたりプラス4ゲームという凄まじい効果を見せ騒動となったが、あらためてデータを取り直してみると、「ほとんど効果ナシ」という結果に落ち着いた。
とにもかくにも当時は、大胆なデザインとマニアックすぎる出目ばかりに話題と注目が集まった「ミステリオ・ウノ」。
セールス的にはけして大成功とはいかず、また個人的にも縁が無くほとんど触ることもなかったのだが、あらためて打ってみたいと思う1台である。こんど、「ぱち馬鹿っ!!」の倉庫をあさってみることにしよう。
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