昔の「パチスロ必勝ガイド」はどのように実戦データを採取していたのか?【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第62話:パチスロのデータ取り】
第62話 パチスロのデータ取り
前回のコラムは「パチンコのデータ取り」というテーマで書いたのですが、じゃあ広石さんの本業であるパチスロのデータ取りはどうだったの…という質問をとある読者さんから頂戴しましてね。
この際だから、昔の「パチスロ必勝ガイド」はどのように実戦データを採取していたのか、またどのような苦労があったのか詳しく説明しようと思います。
データ取りの基本項目は現在も変わりません。つまり、91時間バトルでよく見る、投資金額、ボーナスの種類(場合によっては時間も)、最終獲得枚数などを採取すれば最低限の実戦データにはなります。
ただし、91時間バトルの実戦データはあくまで「必要最低限の要素」を採取しているに過ぎません。機種物の頁に掲載する実戦データの場合は、さらに多くの採取要素がありましてね。
すなわち、通常時およびビッグ中の小役出現率の採取です。私がガイドに入った当時は、たとえば6人で新機種を実戦するような場合、スタッフを2班に分けて、内3人は「通常時・ビッグ中ともフリー打ちのデータを採取」、残りの3人が「通常時はDDT打法で消化・ビッグ中はリプレイハズシ」という縛りで実戦しました。
明らかに損をする打ち方を強いられた前者は当然のことながら勝率が低く、フル攻略でプレイする後者は仮に低設定に座っても良い勝負ができたんですよ。
私は目押し力を買われてガイドスタッフに採用されたこともあり、幸いにして多くのデータ取りでフル攻略を担当したんですが、フリー打ちばかりを担当させられた実戦人は、口にこそ出さないものの大きな不満を感じていただろうと思います。
それもあって、後に大量獲得タイプが登場した際に、ビッグ中に目押しが必須の機種でフリー打ちで消化するのはあまりにも実戦人の負担が大きい、なおかつ比較対象としてのフリー打ちサンプルは数本もあれば十分…という理由により、とりあえず各実戦人がビッグを1本ずつフリー打ちで消化して、あとは全てリプレイハズシを実践するように改められました。
以上を踏まえた上で、私が実際に採取した「当時の実戦データ」を見ていきましょう。
注目して頂きたいのは、「本日の小役データ」と表記された写真です。この日は通常時の小役データ採取を2千Gで終えていますが、もちろん場合によっては丸1日採取するケースもあります(全出目採取)。
また、ビッグ中もご覧のように成立役の回数を正確にカウントして、各台ごとに平均純増枚数を算出しました。当時は「純粋なハズレ」と「リプレイハズシに伴うハズレ」を一緒くたにカウントしてましたが、後にJACインのナビが発動する機種が登場して以降は、両者を別々にチェックするように改められました。
そうそう、「コインを積む」というのは、出現小役を数える際の工夫です。当時は「勝ち勝ちくん」なんていう便利な小役カウントアイテムはまだなく、通常時のゲーム数を表示するデータカウンターすらない時代です。
従って、実戦中は頭の中で常に正確にゲーム数をカウントしつつ、小役が揃ったらコインを台上に積んでいました。当時は7枚交換が主流でしたから、手持ちコインがまだあるのに(カウント用に積んでいて使えないから)買い足すのは交換ギャップで確実に損をするし、かなり複雑な気分だったのは否定しませんが、これも仕事だと割り切ると不思議なことに何も感じなくなりました。ようするに、感覚が麻痺したってことでしょうね。
ちなみに、先輩ショッカーの中には台の上に数十枚もコインを積む猛者もいましたが、私はコインの山が崩れたりすると怖いので(当然、最初から数え直し)、基本的に100G刻みでリセットしていました。これなら、カウント用のコインが底をついて買い足すリスクも最小限に抑えられますからね。
それにしても今は便利な世の中になったものです。今はどのホールも最新のデータカウンターが標準装備されており、総ゲーム数・AT中のゲーム数・ボーナス回数・ボーナス出現率・スランプグラフ等がボタン1つでパパッと見られるんですから。昔は消化ゲーム数のカウントすら難儀したってのにね。まさに文明の利器だと思います。
平成の初期くらいまでゲーム数カウンターは存在せず、台上には呼び出しランプがあるだけでした。私がガイドに入った平成7年当時は、こういうタイプの呼び出しランプがかなり多かったように記憶しています。
今や文明の利器のお陰でデータ取りも凄く楽になったけど、時には古き良き時代にタイムスリップしたいと思う今日この頃なのです。