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「新しいリーチ目を発見しました」…〇〇と特定できるハガキが大量に?【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第57話:フィフティーズ】

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第57話 フィフティーズ

 インターネットの発展により、パチンコ&パチスロに関する情報の拡散速度が、雑誌媒体を遥かに凌ぐようになってかなりの年月が経過しました。結果として、西暦2000年代の初頭までは隆盛を極めていた攻略情報誌の斜陽化が進み、今では最盛期の数分の1にまで発行部数や売り上げの規模が縮小しています。

 いずれは攻略情報誌のみならず、紙の媒体そのものが消滅する可能性すらあると思うのですが、これも時代の流れというなら甘んじて受け入れるしかありません。

 とは言え、今を遡ること20年くらい前までは、メーカーさんがパチスロ雑誌の裏表紙に自社機種の広告を出すこともめずらしくありませんでした。つまり、当時は広告としての費用対効果が極めて優秀だったんでしょうね。

 もちろん、雑誌に掲載する新機種の特集記事にしたって(パチスロ必勝ガイドでは機種物と呼びます)、メーカー側にしてみれば「タダで機種の広告を出している」ようなものです。

 だからこそ、創刊から数年間は敵対視されていた我々攻略誌に対する対応も軟化して、筐体写真や絵柄パーツのデータ提供、さらにはショールーム実戦にも協力して頂けるようになりました。ようするに、メーカーさんは攻略情報誌との共存共栄の道を選んだんですね。今回はそんな時代にあったエピソードです。

 以下、本編。

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 時は平成8年(1996年)の7月。当時、私はサミー工業さん(現・Sammyさん)の最新機種『フィフティーズ』の担当ライターを任されていました。

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サミー工業の4号機『フィフティーズ』。ビッグ&REGの両ボーナスのみで出玉を増やすオーソドックスな純Aタイプ機で、総数1000種類以上のリーチ目を搭載した同社初の大量リーチ目マシンだ。(写真は「パチスロ大図鑑1964〜2000/ガイドワークス刊」より)

 当時は山佐さんの大ヒット機種『ニューパルサー』と、ユニバーサル販売さんの『クランキーコンドル』が開拓した大量リーチ目マシンの隆盛期です。それに追随する形でサミーさんもフィフティーズをリリースしたわけですが、本来、サミーさんが得意としているのは、『アラジンⅡ』や『ミスターマジック』に代表されるスベリ系リーチ目マシンで(要はコントロール方式)、完成度の高いテーブル方式で制御された山佐さんやユニバさんの出目演出に比べると、少々見劣りする出来栄えだったのは致し方ありません。

 フィフティーズのリーチ目は、主に7絵柄と娘絵柄の一直線型で、BAR絵柄が絡むとNG目が多いのが特徴でした。良く言えばシンプルでわかりやすい、悪く言うなら単純すぎて面白味に欠ける…と表現すればしっくりくるでしょうか? わかりやすいリーチ目からマニアックな難解リーチ目まで、ファンのニーズに全て応えた山佐さんやユニバさんとは、当時は経験値に差がありすぎました。

 そして、おそらくは単純すぎる出目演出の欠点を、関係者も理解していたのでしょう。同機種の全国デビュー直後から、パチスロ必勝ガイド編集部にはリーチ目の読者投稿が大量に届くようになりました。

「フィフティーズの新しいリーチ目を発見しました」

「新しいリーチ目を発見しました」…〇〇と特定できるハガキが大量に?【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第57話:フィフティーズ】の画像3 ハガキの通信欄には手書きでリーチ目が1個だけ書かれてますが、差出人の名前や住所はどこにも無し。そして筆跡は数種類しかなく、同一人物と特定できるものが多数…って、明らかに情報操作で人気機種に押し上げようとしてるよね。

 後になって知った話ですけど、パチスロ攻略マガジン編集部にも同じ内容の読者投稿が大量に届いていたとのこと。たぶん、当時のパチスロ三大誌の一つであるパチスロファン編集部にも届いてたんじゃないですかね。

 果たして、メーカーの広報関係者が音頭を取ったのか、それとも販社関係の営業マンが仕組んだのか…今となってはどうでもいいことだけど、涙ぐましい努力を讃える以前に、「情報操作はもっと上手くやりなさいよ!」と思わずにいられませんでした。

 スロマガ編集部でも呆れていたらしいです。いやはや、手書きのハガキを何百枚も書いた人たちの苦労が偲ばれます。仮に今のネット社会なら、ボタン一つで簡単にSNSに投稿できるし、筆跡でバレる心配もないのにね。

パチンコ&パチスロは楽しく打ちたいですね

 ところで最近、とある最新機種に関して、演者さんやライターさんが厳しい意見や感想を述べたりすると、SNS警察みたいな人が出てきてX(旧Twitter)で正論を吐いて非難する…みたいなケースが発生してるらしいじゃないですか。

「影響力のある演者がツマらない機種だと断言したら、今後の稼働に悪影響を及ぼしてしまう。あなたはその責任を取れるのか?」「たかだか半日かそこら実戦しただけで、メーカーさんが丹精込めて作り上げた機種を全否定するなんて傲慢だ」「この機種のことが本当に好きで楽しみにしている人も多いのだから、遊技意欲を削ぐような発言はやめろ」「演者なら機種のダメな部分を列挙するのではなく、少しでも良いところを見つけて情報発信しなさい」…等々。いずれも正論だと思います。

 おそらくは、前作までのシリーズ機種をこよなく愛したファン、あるいは原作アニメの熱烈な愛好家が、「お前らはこの機種の本当の良さをわかってないんだよ!」的なノリで発言しているのでしょう。

 いや、私だってこの機種の初代と二代目が大好きで打ち込んだクチですから、その後継機に対して「ク○台」だの「産業○○物」だのといった酷い発言を耳にすると悲しくなります。だけど、プレイヤーにとってパチスロは嗜好品ですから、人それぞれに好き嫌いがあるのは仕方がない…とも思います。もちろん、だからと言って私が「厳しい意見や感想」を支持しているわけじゃありません。

 どうでもいいけど、パチンコ&パチスロは楽しく打ちたいですね。

ドラゴン広石

ドラゴン広石

ドラゴン広石(昭和38年12月生まれ)
平成7年に白夜書房「パチンコ必勝ガイド」編集部の門を叩き、パチスロの知識と経験、目押し力を買われて「パチスロ必勝ガイド」のライターに採用された。リアルタイムで「パチスロ0号機」を遊技した経験を持つ、唯一のパチスロライターである。令和4年現在でライター歴は27年。代表作に「枠上人生」、「浮草家計簿」(連載中)、「回胴絶景」(連載中)など。1日の最大勝ち額~プラス41万3千円(クラブロデオT)、1日の最大負け額~マイナス12万9千円(初代・北斗の拳)。

Twitter:@dragon_hiroishi

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