パチンコ「惜別企画~私が愛した平成初頭の西陣の名機たち」【アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.015】
すでに各メディアで大々的に報じられているので、皆さんご存じのことと思うが。かつて、平和やSANKYOと並んで「桐生三大メーカー」と呼ばれた老舗パチンコメーカー・西陣が3月1日、廃業というかたちでその歴史に自ら幕を下ろすことを発表した。
過去にも書いたとおり、実家近くのホームグランドJ店ではハネモノの『マッハシュート13』をよく打っていたし、J店が輪番休業の日は駅向こうの姉妹店Mの『ちんどんショー』で遊んでみたりと、西陣のマシンには何かと思い出深い。時代の流れとはいえ、廃業の発表は残念極まりない。
そんなわけで今回は趣向を変えて、惜別企画。個人的に思い出深い平成初頭の西陣のマシンについて、振り返ってみたいと思う。
■ファンキー7
平成元年秋にリリースされたデジパチ。カラフルなデジタル表示部や派手なサウンドなど時代の先端を行くゲーム演出で人気を博した。
デジタル自体は赤と緑の2色の7セグLEDなのだが、それを納める楕円形の黄色いケースにもツブツブのLEDが敷き詰められており、リーチがかかるとメインデジタルとともに激しくフラッシュし期待を煽ってくれた。それがもう、美しいのなんの…。
また本作は、デジパチとしては初めて「ワープルート」を搭載したマシンとしても歴史に名を刻んでいる。
天横から飛び込んだ玉はデジタル裏のワープルートを通ってデジタル下部のステージからヘソチャッカー上部に落ちるのだが、ネカセやステージのクセで入賞率はずいぶんと違った。天横によく飛び込み、なおかつステージのクセがいい台を見つけたらもう、時間が許す限りというか気が済むまで勝負したものである。
大当り確率は240分の1。当時は保留玉連チャン機が大ブームとなっていたが、連チャンを発生させるシステムは特には搭載されていなかった。
■ももたろう
お馴染みの昔話をモチーフにした、平成元年春リリースのハネモノ。役モノ上部の桃がハネとなっており、「バカッ」と割れるように開く様がコミカルだった。
役モノ内にはターンテーブル型の回転体があり、大当りになると前半は左回りに、後半は右回りしながら磁石の作用で玉を貯留する。
回転体上に貯留された玉が、かすかな振動で「ぷるぷる」と震える様が、これまたコミカルというか可愛くて、ほのぼのしたBGMもあって大当り中は朗らかな気持ちにさせられたものである。
本作の他にも、当時の西陣のハネモノには『スペースドーム』や『RX-5』、『スペースファイヤー11』、『ハワイアンドリーム』などなど、回転体を上手く使ったハネモノが多く、個人的にどれも大好きだった。
■ジャスティ
法改正による新体制への移行を目前に控えた平成2年に登場し、スリル満点のゲーム性とスピーディーな大人気となった一発台の名機。
天下横からの流れた玉はまず、役モノ上部のカマボコ状の板を登って「IN」と記された穴に入賞し、直下の1つ穴クルーンで少し間を持たせたのち、役モノ下部手前のステージに落ちる。
ステージには手前にアウト穴が2つ空いていて、そこからこぼれることも多々あるのだが、中央に刻まれたレールに乗って回転体にアプローチできればチャンス到来。
回転体には3つの穴があり、赤い縁取りの穴に入れば見事、大当り。あとはハンドルを目一杯右に回すだけで、電動チューリップの連動により玉がモリモリ増えてゆく…という寸法である。
個人的に一発台は、大当りまでの暇な時間がどうも苦手だったのだが、本作の場合は回転体による振分けの前に上部のカマボコと下部ステージという2つのハードルがあるため、比較的退屈することなくプレイを楽しめたところが好きだった。
■タキシード
平成4年にリリースされた新要件の一般電役機。『ファンキー7』と同じカラフルなデジタル表示部が大きな特徴で、なおかつそれこそが個人的に本作に惚れ込んだ最大の要因でもあった。
大当りになると、右打ちしてまずは右肩のチューリップに玉を入賞させ、あとは電動チューリップの連動によって出玉を増やす…というのがゲームの流れなのだが、大当り中も玉が右からヘソへ流れ、デジタルが回るところが大きなミソ。
元々、大当り確率が195分の1と高かったこともあり、自力連チャンが相当な頻度で発生したのである。
大当り確率が高いのに1回の大当りで得られる出玉は、当時の一般的なデジパチ(2400発)よりも多く、さらには大当り中の自力連チャンも期待できる。好きにならない理由など、あろうはずもなかろう
しかし当時は、旧要件機の一発台に代わって登場した権利モノがデジパチと並んで主流となっており、一般電役というジャンル自体がマイナーな存在だった。本作も例外ではなく、近場での設置は西武池袋線東長崎駅のJ店くらいで、本作を打つためだけによくこの店には通った。
以上、各ジャンルごとにそれぞれ、マイベストをご紹介させていただいたのだが、他にも思い出深い西陣のマシンは枚挙にいとまがない。機会があれば、またあらためて取り上げてみたいと思う。
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