パチンコ不気味に笑う「アノ新台」……実はくつろぎのある空間で「心地よい」説!?
熾烈を極めるP機ライトミドル戦線にドーンとやってきたのである。『P笑ゥせぇるすまん ドーンといきまSHOW 199ver.』。ミドルでCRだった兄の遺伝子を受け継ぎ、P機でも不条理な世界線を構築しようという構えである。
ST突入率が100%、ヘソなら6R固定、電チューは4Rと10Rが半々というなかなかのスペックである。継続率こそ約75%とP機の中では物足りない気もするが、ここのところ続いている「出玉」「スピード」至上主義の空気感に疲弊してきている層もいるだろう。
さらに、その代償として背負わされるギャップのリスク。「初当りの半分で」「○○チャレンジ(時短1回+残保留4回)で大当りすれば」といったRUSH獲得のための突破条件は、それが50%、結果は半々だとしても、過酷さ、苦痛としてのしかかってくるシーズンが到来するのである。
ゲームにおいては勝率・クリア率を75%くらいに設定すると良いという統計があるそうで、50%くらいだと、「五分五分」ではなく「2回に1回“しか”勝てない」「倍やらないと勝てない」といった思考に囚われ、満足度が大きく下がるようだ。
こういった状態のパチンカー、実は多いのではないだろうか。この満足できないファンのオアシスが海なのであるが、欠落した私の感性に響くのはマニアックなサブカル台であり、『P笑ゥせぇるすまん ドーンといきまSHOW 199ver.』という新装初日の昼過ぎに行ってもひょっこり座れるような機種なのである。まあ、本機の場合、すでに市場で揉まれた後の純粋な新台であるからではあるが。
とにかく、当たればSTに突入するのである。しかも160回のロングSTをこのスピード狂時代にまあまあ時間をかけて楽しませてくれるのである。北風が身に染みる寒い冬に暖房の効いたホールで、日曜の午後をのんびりパチンコを打つことで費やす贅沢なひとときとなるのである。
演出も最高で、特に注目してほしいのが「ココロのスキマ埋めまSHOW」と「スキマDONE」。
前者は右打ち専用の大当り後のラウンド抽選演出で、BARで喪黒が手にするグラスの中に3つ穴クルーンがあったり、大掛かりなルーレットで抽選したりと原作のイデオロギーを感じさせる「あたおか」演出となっている。
一方の「スキマDONE」は激しい高揚感を味わえるチャンス先読み演出。前段階の「スキマZONE」などで蓄えられた「スキマ」がチャンスアイコンに昇格し、リーチ中にボタンプッシュでチャンスアップがランクアップする小気味の良いデジタルアクションなのである。
モチーフは不穏な世界観を表現する寓話性のあるブラックユーモア作品であるが、そんな尖ったコンテンツのタイアップ機がある種の憩いの場として機能しうる裏テーマのブラックジョークを体現したマシンでもあるのだ。
(文=大森町男)
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