パチンコ店「台数値引き」商法で格差はさらに拡大? 積極的な“共同購入”で業界に明るい未来を
ホール企業10社による共同購買機『PA競女!!!!!!!!-keijo-99Ver.』(豊丸産業)が、当該企業の一部の店舗で9月6日から先行導入されている。なお、導入台数は各社合計で823台を予定しているという。
共同購買を実施するホール企業は「アンダーツリーグループ」「キャビンプラザ」「グランド商事・アドバンス」「合田観光商事」「ダイナム」「ニラク」「マルハン」「ミカドグローバル」「山本ビル」「夢コーポレーション」の10社。
共同購買の目的は、メーカーとホールが連携し、多台数による早期契約・購入を行うことで遊技機の購入費用を抑制し、来店客へのサービス品質を向上させることにあるという。同購買の1社であるダイナムでは「お客様、メーカー様、ホール企業の3者に、それぞれ有益な取り組みとなるため、今後も賛同企業の拡大につなげていく」とした。
先日、このような業界ニュースを見かけたのだが、実はこの10年以上も前に同じような共同購入を企画したグループがあった。
そのグループは、定期的に情報交換や勉強会を開くなどしていたのだが、そこで浮上した案のひとつが“台の共同購入”だった。
遊技機メーカーの値引きの中には、特定の台数を購入することで適用される「台数値引き」というのがある。これは一例だが、4台購入=1万円の値引き、8台購入=3万円の値引き、16台=8万円の値引きという具合で購入台数が増えるほど1台当たりの値引き額が大きくなるというもので、他の業種でもありがちな値引き手法だろう。
しかし小規模店舗となると16台はおろか、4台や8台でも購入が厳しく、結局は台数値引きが適用されないということも珍しくないのだが、これを何とかしたいとの思いから浮上した画期的な案であり、苦肉の策でもあった。
そして各遊技機メーカーに提案・交渉したものの、現実はそう甘くなく、ほとんどのメーカーに断られたそうなのだが、1社だけ賛同してくれたメーカーがあったのだ。
しかし、私のいた法人は対象機種の購入自体を見送り、諸事情で直後にグループを脱会したため、無事に共同購入が実現したのかは定かではないが、この提案を受け入れてくれた某メーカーには感謝しかない。
その10数年後に大手がこういった取り組みを実現したことを知り、すぐに先述した共同購入案を思い出したのだが、このような取り組みは本来、小規模店舗こそ率先して行うべきではないだろうか。
「台数値引き」という大手のみが得をする販売方法を否定するつもりはないが、これでは小規模法人と大手の差は開いていく一方だ。こうした販売方法に対し、歯がゆい思いをしている小規模法人の担当者もいることだろう。
実現するためのハードルは高いかも知れないが、今後を生き残っていくためにも何処か共同購入を企画する法人は出てこないだろうか。もちろんそれに賛同し応えてくれる遊技機メーカーの登場にも期待したい。
(文=オーハナB)
<著者プロフィール>
元ホール店員、店長経験者。パチンコ店の裏側で起きた出来事や、人間関係を題材にしたコラムを担当している。過去に話題になった業界ネタなど、時代背景を感じる記事も作成中。自身の思い入れのあるシリーズの動向にも熱い視線を注ぐ。