パチスロ界の「レジェンド」が苦戦!? 夢のような「好待遇」に惹かれるも…【アニマルかつみの回胴青春時代Vol. 03】
しばらくすると再びの配置換えがあり、こんどはデスクワークを命ぜられた。と言っても、もちろん事務作業ではない。各種基板類の取り付けやハーネス類の配線をするのである。いわば、パチスロ台の脳や心臓、血管を構築するわけだ。
元々、こういった小手先の作業は得意分野だったので、時間を忘れて没頭できて楽しかったのだが、午後2時頃になるときまって眠気が襲ってきて、それを振り払うのに本当に苦労させられた。
原因は、お昼に支給される弁当。「まぁ、のり弁とかしゃけ弁の類だろ」と思っていたのだが、ところがどっこい、高級料亭の仕出し弁当のような本格的なものだったのだ。
絢爛豪華でボリュームも満点。元々、大食いではなかった自分は、「パチスロメーカーって、そんなにも儲かっているのか」と考えつつも、お昼のあとはいつも満腹のお腹を抱え、襲い来る睡魔と闘っていたのである。
眠気を助長させたものがもう一点。デスクワークしているすぐ後ろ、試打セクションから流れてくる大当り時のBGMだ。
「ポ、ポン、ポン、ポ、ポン、ポン…♪」
柔らかであたたかな電子音が奏でる、ショパンの名作「ノクターン」。これが、さながら子守歌のような効果を発揮し、もう眠いのなんの。意識を失い机に顔を埋めてしまうこと、しきりであった。
まぁ、ともかく。肉体的にハードだった最初の2週間が過ぎてからは、仕事そのものは楽というか安泰だったパル工業でのアルバイトだったが、残念ながら長続きすることはなかった。
ちょうどその頃、バンドで自主制作のレコードを出すことになり、バイトと平行してスタジオでのレコーディング作業に勤しんでいたのだが、それが一段落したあたりで体調を崩し、入院することになってしまったのである。