パチスロ「翼を失った紺碧天馬」 ~2号機名機伝説「ペガサスラビット」&「F-1」編~【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.23】
本連載の第2回でも書いたとおり、自分は二十歳の頃に短期間だが、大阪にあったパチスロメーカー、パル工業で組み立てのアルバイトをしていたことがある。
いろいろあって同社は、1996年に会社を解散して業界から撤退してしまったのだが、自分が働いていたのは1985年の新風営法施行と1号機体制への移行を機に同社が業界参入を果たした直後。
処女作である『ペガサス』は、天井吸い込み方式ならではの荒波と激しい連チャン性で、とりわけ荒い勝負を好む関西や中国四国、九州地方で人気を博していた。
そして1987年にリリースした1.5号機『ニューペガサス』は販路拡大などもあって全国的なシェアと人気を獲得。新参メーカーながらも業界での確固たる地位を築き上げるに至ったのである。
が、その栄華は長くは続かなかった。1988年の規則改正によってパチスロは2号機時代に移行したのだが、新規則によりボーナス抽選の方法がランダム確率抽選方式に一本化され、それ以外の天井吸い込み方式などは一切禁止となってしまった。
これは、パル工業にとっては大きなダメージだった。なぜなら、「ペガサスといえば連チャン機」という絶対的ともいえるイメージが、プレイヤーの間にもホールの間にも定着してしまっていたからである。
結果、吸い込み方式による連チャン性という伝家の宝刀を奪われたパル工業はその後、苦難の道を歩むことになるわけだが、そんな不遇の時代の幕開けとともにリリースされた2台のマシンをご紹介したい。
1988年にリリースされた2-1号機『ペガサスラビット』は、BR両ボーナスをメインにフルーツ(小役の集中役)が付加された、初期の2号機では比較的オーソドックスな仕様のマシン。
シングルボーナスも搭載されているが、高砂電器の『ウィンクル』などと同様に単にゲームのアクセントとして存在しているに過ぎず、その集中役はない。
REG絵柄には、伝統の「ペガサス」に加えて機種名にちなんだ「ウサギ」が採用された点が目新しい。これによって表面上のBR比は1:2となったわけだが、実際の確率配分もそれに近いものとなっていた。
全設定において合成確率が高く、機械割も非常に甘めでスペック的には優秀なマシンだった。ダブルテンパイ小役ハズレ型をメインとするリーチ目も、シンプルながらもツボを押さえた面白いもので、なにげに自分は好きだった。
しかし、いくら合成確率が高かろうが、吸い込み方式を採用した元祖ペガサスのような激しい連チャンを期待するのは無理な話。地元関西ではそこそこ導入されたものの、短命に終わってしまった。