パチスロ「掃除屋は見た!! 3号機乱世の舞台裏」【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.50】
第38回でも書いたとおり『コンチネンタル』は、コインセレクタに付けられたCS-90なるパーツから発信される4枚目の信号によって、ビッグの連チャンを誘発させていた。その原理を応用して、簡単にモーニングを仕込むことができたのである。
荒川区にあったP店の『アラジンⅡ』のモーニングセットも、同様に裏モノならではのものだった。
シマの上に上がって天井のガラスを磨いていると、午前2時頃になると必ず、店の奥からスウェット姿の店長さんが眠そうな目をこすりながら、「謎の装置」を手に現れる。雑誌に載っていたのとよく似た、怪しげなボタンやらスイッチの付いた装置だった。
「おーい。ブライドを下ろしてくれ」
そう言いながら店長さんは先のH店の例と同様、次から次へと台のドアを開けて装置をセットしてはボタンを「ピッポッパ」と操作し、「何か」をセットしていった。だいたい、いつも3分から5分程度の早業だった。
裏バージョンの多彩さから「闇の帝王」などと呼ばれていた『アラジンⅡ』。「この店のは、どんなバージョンなんだろう」「ひょっとして、連チャン数とかもセットしていただろうか」などと、よく想像を膨らませたものだ。
余談だが、先のH店では、『リバティベルⅢ』に「11ゲームの台」を仕込むための「SP打ち込み機」が事務所の片隅で埃をかぶっているのも目撃した。
「こ、これは確か、パチスロ必勝ガイドに載ってた、あの…!?」
そんな風に、ひとり興奮したことを、いまでも鮮明に憶えている。
ところで当時は、裏モノ全盛期だったのとともに、様々な機種にセット打法など破壊力ある攻略法が次々と発覚した時代でもあった。
当然のことながら、それらに対処する現場の裏側というのも、いくどとなく目撃している。
前出の第38回では、『コンチネンタル』で世を騒がせた「4枚入れセット」についての話を、現場の店長さんから聞かされたことを書いたが、あとになってから「あの時、バタバタしてたのは、このことだったのか」ということは、よくあった。
件のコンチの店とは別の、水道橋の駅前にあったG店でのことである。2階フロアのパチスロコーナーには、青いパネルの『リバティベルⅢ』が設置されていた。