パチスロ「捨て身の覚悟で次々と爆裂化」~4号機名機伝説~パル工業『バンバンバージョン』編 【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.124】
アニマルかつみの回胴青春時代Vol.124
4号機第1弾『ペガサスワープG』と、兄弟機『ペガサスワープR』を最後に、創業当初からの伝統である「ペガサス」の名と訣別。新たな方向性を打ち出した、いまはなき伝説のメーカー・パル工業。
新シリーズの第1弾として1994年暮れにリリースされた『C51SP』は、伝説のSLをモチーフにした大胆なデザインと、当時の純Aタイプ機でもトップクラスの激甘スペックで話題と注目を集める。
そんな『C51SP』と同じ仕様とスペックを搭載して翌95年春にリリースされた『ビガー』は、単なるデザイン違いの兄弟機かと思いきや、ホール導入と同時に爆裂化。「チェリーの連続出現がビッグの前兆」という刺激的すぎるゲーム性と激しい連チャン性で、一大センセーションを巻き起こす。
これら2機種を契機にパル工業は、まるで何かに急き立てられているかのごとく同じ仕様とスペックのマシンを4タイトル、矢継ぎ早に続々と市場に投入。
そして、それらのマシンはいずれも、「バンバンバージョン」なる強烈な裏モノと化し、先の2機種とともに「パル工業の暴れん坊6兄弟」として世間を騒がせることになるのであった。
4号機名機伝説~パル工業『バンバンバージョン』編
それぞれモチーフやデザインは異なるものの、先述のとおり基本的な仕様やスペックは先の『C51SP』や『ビガー』と何ら変わらない。
強いて相違点を挙げるなら、『パワーゴリラ』以降でリール制御に少しだけ手が加えられたり、メイン小役の払い出しが12枚から10枚(ゴリラとアロー)や8枚(ボム)に変更されているくらいか。
さて、件の「バンバンバージョン」であるが、「一度その状態に入るとバンバン当って出っぱなしになる」ことから、当時のパチスロ必勝ガイド誌上に命名された。
その特徴としては、大きくわけて2つ。「リプレイの異常な偏り」と、「100G以内の数珠連チャンが、ひたすらダラダラと続く」ということ。
前者については、前兆と呼ぶには少々曖昧なものだったが、ボーナス成立の直前にリプレイが偏って出現する傾向が多々見られたのである。
一方、連チャン性については、1桁やクレジット内といった早いゲームよりも、2桁台の遅いゲームが主体。ダラダラと、しかし延々と連チャンし続ける様は、在りし日の『ドリームセブンJr.』の「状態Ver.」を彷彿とさせた。
従来の裏モノは、RAM注射や偽造ROM、2枚基板といった様々な方法でインストールされた裏プログラムによって、連チャンを発生させていた。
一方、パル工業の「バンバンバージョン」は、ドアパネルと本体の基板を接続するハーネスケーブルの中に密かに仕込まれたICチップが特定の役判定用乱数を狙い打ちすることによって連チャンを発生させるという、前例の無い方法がとられていたのである。
ともかく、これら一連の不正改造事案にメーカーであるパル工業や関連会社が関与していたことが、当局の捜査により発覚。
関係者が逮捕されるなど大騒動となり、パル工業は責任を取るかたちで自ら日電協を脱退して会社を解散。その歴史に幕を下ろした。