パチスロ「一部地域で激アツな爆裂台と化したパチスロ初の中華マシン」～4号機名機伝説～ 『九龍』＆『神龍2』編　【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.98】

　2号機から3号機の時代、社会現象的なヒットとなった名機「アラジン」を筆頭に、集中役を搭載したA‐C機を連発。集中役にこだわるメーカーとして名を馳せたサミー工業（現・Sammy）。

　そんな伝統にのっとり、初の4号機『スーパーヘビーメタルA』と兄弟機の「R」「X」は、集中役を搭載したA‐Cタイプで登場する。

　しかし、4号機の規定ではパンク確率の下限が3号機の倍にまで引き上げられるなど、集中役に対する規制が大幅に強化されたため、もはや在りし日の一撃大量獲得は期待できなくなっていた。

　そこで4号機第4弾となるマシンは方向を転換。同社としては2-2号機『キューティーフルーツS』以来となる純Aタイプ仕様でのリリースとなった。

　パチスロでは初となる中華風のモチーフがユニークな、その名も『九龍（クーロン）』である。

『九龍（クーロン）』

　赤を基調としたパネルデザインはもとより、REG絵柄には中国料理店などでよく見かける「喜」の文字を2つ並べた「双喜」マークを採用。

　また小役絵柄には「龍」と「鳳凰」を、そしてリプレイならびにJAC絵柄には中国で縁起のよい果物とされる「桃」を採用するなど、徹底したムード作りがなされている。
　スペックは、幅広い営業形態（交換率）を想定してのことだろうか、BR両ボーナスとも設定間格差が非常に大きくなっているのが特徴。とりわけ、最低設定の1は確率・機械割ともに鬼のように辛い。「まさか、『コンチ』のように連チャン上乗せ分を勘定に…!?」

　そんな風に、誰もがあらぬ妄想を抱いたりもしたのだが、ホールで見せた挙動は至ってノーマル。ある意味、期待を裏切られた格好となった。

　そんな『九龍』の登場から数ヶ月後。パネルのカラーをエメラルドグリーン基調に変更した兄弟機『神龍2』がリリースされる。
　当時の4号機でよく見られた「単なる色違いVer.」と思いきや、設定1～5のビッグ確率が大幅にアップ。

　加えて新たにボーナス告知機能を搭載。全リール停止後、トップランプ中央が点灯すればボーナス確定となるなど、様々なバージョンアップが加えられていた。

　しかし、何よりも驚かされたのは、純然たるノーマル機だった前作とは対照的に、中部地区を中心にホールデビューするや否や、「どこかの悪い人たち」の手によって連チャンVer.へと変貌させられたこと。

　しかも、「チェリーの連続出現がボーナスの前兆となる」という、なんともソソりまくりな特徴をそなえていたのである。
　チェリー前兆には明確な法則性があり、中段単チェリーが4連続したあと、中段2連チェリーが出現すれば次ゲームでボーナスフラグが成立。

　なお、ボーナス初当り時は必ず、中段単チェリー4連続のあとにリプレイが1回揃い、次ゲームで中段2連チェリーが出現するというパターンを経由する。
　ちなみに、このチェリー連前兆には出現するゲームに明確な偏りがあり、中段単チェリー4連続で終わってしまうフェイク後の100ゲーム間はチェリー連が発生しないという特徴も。

　肝心の連チャン性は、いうまでもなく超強力。連チャンゾーンは40G以内だが、101～250Gでの引き戻すことも多々あり、勢いに乗れば浅いハマリで速攻連打を引き当てることで一撃大量獲得することができた。

　連チャン性が強力ということで、その帳尻合わせとして通常時の小役をカット。ノーマルの「九龍」と比較すると、かなりコイン持ちが悪くなっていました。

　ところが、どういうわけかビッグ中の小役カットは見られず、前作もそうだったのだがリプレイハズシが対フリー打ちに比べ平均40枚強のプラスと激烈に効果的。
　当時の中部地方は8枚交換が主流だったののだが、ゾーン狙いとリプレイハズシを駆使することで、まず負けることはなかった。

「こんな面白くてオイシイ裏モノ、なかなかな無いぜ」と、パチスロ必勝ガイドの編集部内にも1週間ほど遠征してブッコ抜きまくった者もいたりしたが、仕事が忙しかったりして機会に恵まれなかった自分は、誌面に掲載された実戦記を恨めしく思いながら読むしかなかった。いま思っても、本当に無念でならない。

（文＝アニマルかつみ）
〈著者プロフィール〉
兵庫県尼崎市出身。1992年春にパチスロ必勝ガイドのライターとなり、以来30年にわたってメディア人の立場から業界の変遷を見つめてきた大ベテラン。ぱちんこ・パチスロの歴史に関しては誰にも負けない博識を持つ。最近ではYouTube動画チャンネル「ぱち馬鹿」のメンバーとして、各種企画の制作や出演、生配信などにも精を出している。ライター稼業のかたわら、ロックバンドのベースプレイヤーとしても活動中。愛猫家。昭和レトロ好き。
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