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あの時代は「違法行為」に手を染める店も…3台に1台くらいの割合で「一斉に大当り」が?【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第19話:イブニング】

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あの時代は「違法行為」に手を染める店も…3台に1台くらいの割合で「一斉に大当り」が?【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第19話:イブニング】の画像1

第19話 イブニング

 前回はパチ屋の「モーニング」に関する昔話をしましたが、今回は「イブニング」の昔話をしてみようと思います。

 イブニングを直訳すると「午後」ですが、実際にホールでそのサービスが実施されるのは夕方、もしくは夜になってからが大半でした。そして、サービスの対象となるのは言うまでもなくパチンコの連チャン機。1990年代に大ヒットした、いわゆる「連チャンデジパチ」の中には滞在中の「モード」によって大当り確率が変動する機種があり、その代表的な例が平和さんから登場した『綱取物語』です。

あの時代は「違法行為」に手を染める店も…3台に1台くらいの割合で「一斉に大当り」が?【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第19話:イブニング】の画像2
数珠つなぎ連チャン機として有名な平和の『綱取物語』。当時のデジパチは保留玉連チャン機が人気を博していたが、保留消化後にも連チャンを期待できる綱取を好むプレイヤーも多かった。(写真は「パチンコ必勝ガイドClassic vol.3」より)

 具体的に説明しましょう。平和の『綱取物語』は3種類のモードで連チャンとハマリを演出しており、「通常モード」に滞在中は247分の1で大当りを抽選します。さらに、「天国モード」に昇格した場合は約37分の1という高確率で大当りが発生するんですが、運悪く「地獄モード」に転落すると約988分の1にまでダウンしちゃう。正直、地獄に落ちた台で大当りを引くのは至難の業でした。

 大当り発生時のモード移行割合はご覧の通り。

通常モード(6分の2=約33.3%)
天国モード(6分の3=50%)
地獄モード(6分の1=約16.7%)

 これが滞在モードに関係なく発生した大当りごとに行われます。ただし、モード移行するには条件があって、Vゾーンに4連続入賞させねばなりません。正確に言うなら、Vゾーンに4連続で入賞する度にモード移行するため、大当り中はひたすらモード移行を繰り返して最後に滞在していたモードが天国ならラッキー…って感じでした。

 つまり、天国モードを狙い撃つことは不可能なんですが、大当りの度に2分の1で天国に移行するため、通常モードに滞在中の自力も含めて、結構な割合で速攻連チャンが発生するんです。

 ただ、この仕組みだと地獄モードに転落する台が時間の経過とともに増えていきます。前述したように地獄モードで大当りを引くのは困難なため、同システムがプレイヤーの間で周知されると、ハマリ台は誰も打たずに放置されちゃいます。

 そこで、店側が考案したのが表題の「イブニングサービス」。どういうことかというと、午後3時とか午後7時とかに、希望者の台の電源をオンオフするんです。当時のパチンコにはバックアップ機能がないため、電源を一旦切って入れ直すだけでモードも初期化されて通常モードから再スタートします。

 つまり、朝イチと同じ条件で勝負できるのよ。仕事帰りのサラリーマンにとって、ノーリスクで綱取物語を打てる最高のサービスでした。綱取物語の朝イチ出目「十両・金星・小結」は、地獄モードのリスクがない至高の出目だったんですよ、ええ。

 …とまぁ、ここまでは50代以上のパチンカーなら誰でも知ってる話ですが、ここからはあまり知られていない闇の話をしましょう。

あの頃は「違法行為」に手を染める店も??

 綱取物語がデビューしたのは1993年ですが、実はそれより前にも「イブニング」なる名称のサービスが(局地的には)あったんです。時系列を少し遡り、舞台は1987年の9月に飛びます。

 この頃、私は大分県中津市の土木建築業の会社で現場作業員みたいなことをやっていました。法学部を卒業して土建屋の現場作業員になった経緯は置いといて、ある日の終業後、会社の寮の先輩からパチンコに誘われたんです。以下は先輩と私の会話。

「今からイブニングを取りに行くぞ。暇なら●店に付き合えや」

「えっ、なんですかイブニングって…」

「知らんのか? ●店では夜7時になったらセブン機(デジパチのこと)の3台に1台がフィーバーするんだよ。だから5分前から打ち始めるのがコツさ」

あの時代は「違法行為」に手を染める店も…3台に1台くらいの割合で「一斉に大当り」が?【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第19話:イブニング】の画像3

 いわゆる「遠隔操作」ですね。今じゃ考えられないことですけど、当時は実際にこういう違法行為が行われていたんですよ。…と言うのも、この頃はいわゆる「1300発機(10カウント×10ラウンド×13個賞球の射幸性の低い機種)」の末期であり、デジパチの客付きを向上させる目的で、違法行為に手を染める店もあったんです。

 一般的に「遠隔」と聞くと悪いイメージを持つ打ち手が圧倒的多数でしょうが、ここで言う遠隔とは「大当り抽選でハズレと判定された台を無理やりアタリに書き換える」という仕組みで、プレイヤー側が損をする類のモノではありません。

 まぁ、中には通常時の大当り確率をゼロにするような遠隔もあったかも知れませんが、それをやったら確実に客を飛ばしてしまう。店側は客を付ける目的で遠隔を行うので、そんな本末転倒な行為を行うことはないんです。

 ただ、システムそのものがさほど精巧には出来ておらず、時には客が打っていない台がいきなり大当りする怪現象も起きたそうです(こういうシステムは闇の業者が店側のリクエストに応じて作っていたそうな)。隣の台を打っていた人はさぞかし驚いたでしょうね(笑)。

 ちなみに、シマの状況を観察した限りでは明らかに「クロ」。確かに先輩が言った通り、デジパチの3台に1台くらいの割合で一斉に大当りしてました。ただ、いかに30年以上も前の話とはいえ、非常にデリケートな内容なので店名は伏せさせて頂きます。

 というわけで、これでイブニングの話はおしまい。昔は本当になんでもアリでした。

シマが「異様な雰囲気」で盛り上がっている…

 さて、ここからは別のエピソード。

 先輩の車で●店に到着したのが午後7時の直前。エンジンを切るなりドアロックもせずに店に駆け込む先輩の後ろ姿を見ながらゆっくりと店に入ると、先輩の姿を探す前にパチスロのシマが目に入りました。

 あれは…トロピカーナ7だ。いや、別にトロピがめずらしいわけじゃありません。そんなのあちこちの店に設置されてますからね。ただ、シマが異様な雰囲気で盛り上がっているのよ。打っているのは一見してプロとわかる連中で、しかも全員が頭上にドル箱を重ねているんです。まさにお祭り状態。

 こ、これはいったい…。(次回につづく)

ドラゴン広石

ドラゴン広石

ドラゴン広石(昭和38年12月生まれ)
平成7年に白夜書房「パチンコ必勝ガイド」編集部の門を叩き、パチスロの知識と経験、目押し力を買われて「パチスロ必勝ガイド」のライターに採用された。リアルタイムで「パチスロ0号機」を遊技した経験を持つ、唯一のパチスロライターである。令和4年現在でライター歴は27年。代表作に「枠上人生」、「浮草家計簿」(連載中)、「回胴絶景」(連載中)など。1日の最大勝ち額~プラス41万3千円(クラブロデオT)、1日の最大負け額~マイナス12万9千円(初代・北斗の拳)。

Twitter:@dragon_hiroishi

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