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激アツのモーニング争奪戦… グリンピース名物「1シマモーニング」ではまさかの出来事も?【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第18話:モーニング】

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第18話 モーニング

 パチンコ店の「朝の並び」は、その店が「勝ちやすいかどうか」を測る一つの物差しになります。つまり、開店前に多くのお客さんが並んでいる店ほど、優秀台(ボーダーライン以上回るパチンコ)や高設定台(パチスロ)が多い店と判断できるんです。まぁ、現在は旧イベ日(広告宣伝規制より前にあったイベント日)などの特別な日だけ朝の競争率が激しいホールや、いわゆる「さらし屋さん」を雇って隠れイベントを仕込むようなホールもあるため、必ずしも朝の並びが多い店がイコール優良店とは限らないわけですが、少なくとも誰も並んでいないホールより期待できるのは間違いありません。

 ところで、歴史を振り返ると平成8年頃までは大半のホールが、朝イチは客で溢れ返っていました。もちろん、後に店側が大々的に煽って社会問題にもなった「集客イベント」なんてものはまだ存在しない時代です。この頃にイベントと呼べたものは、年に数回ある新台入替だけでした。今は2週間に1回くらいのペースで新装を行うホールが多いため(新機種のリリース間隔がそうなっているから仕方がない)、新台入替といっても「新機種のお披露目会」みたいな意味合いしか持たなかったり、客付きが良い内に機械台を回収しようとボーダーマイナス5回転のパチンコを並べたり、パチスロに設定1しか投入しない店もチラホラあったりしますが、昔は(特に昭和の時代は)常連のお客さんに新台で成功体験を味わってもらうため、開店時刻を夕方5時半とか6時に設定して、ほんの2時間くらいで1日分の出玉を一気に放出したものでした。大袈裟に言えば、台さえ取れればほぼ確実に勝利が約束される…そう、昭和の新装は本当に「出血大サービス」だったんですよ。

 だけど、イベントのない平常営業であれ、パチスロのシマだけは朝イチから多くのお客さんでごった返してました。その理由は「モーニング」。当時は開店時にビッグフラグが成立している台を何台か用意しているのが普通で(もちろん店側の仕込み)、それを目当てに多くの客が朝イチから並んでいたわけです。モーニングに当たれば投資はわずか千円で済みますし、ビッグ後に即流しすれば5500円くらいになったので(7枚交換の場合)、時間に余裕のある大学生やスロプロは、こぞって朝イチのモーニング争奪戦に参加したものでした。う~ん、美味しいなぁ。

 とは言え、店側は朝の稼働を上げるために行っているサービスなので、モーニングだけを抜き逃げされては商売にならない。それで、モーニングのカニ歩きを禁止したり、開店から1時間は交換できないルールを導入しました。その結果、ビッグ終了後にいきなり食事札を入れて休憩を取ったり、台の前でジャンプやマガジンを読みながら時間を潰す若者客が急増。そこまでするか…っていう気もしますが、モーニングを仕込むと一時的にパチスロのシマの割数がとんでもなく上昇するので、その分を回収するためモーニング台には設定1を投入するのが普通だったから仕方がない。打てば飲まれるとわかっているから、若者客はわずかな浮きを守って撤退しようとするわけです。

 これじゃあイカン! モーニング台がビッグ後に放置される状況を憂いて、それに一石を投じたのが今は亡き新宿グリンピースさんでした。同店では「モーニング台=低設定台」という常識をぶち破り、特定機種の1シマ全てにモーニングを投入するという革命を起こしたのです。これこそが、グリンピース名物「ストレートモーニング」。もちろん、設定の高低に関係なく1列全てにモーニングを入れているため、グリンピースでモーニングを食い逃げする客は他店に比べてかなり少なかった。実際、ビッグ後に即ヤメした台が後で猛爆したりすると、その台を捨てた客は同じ行動を取りにくくなります。そうしたプレイヤーの心理を逆手に取った、見事な営業スタイルだったと私は思います、ええ。

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写真は在りし日の「新宿グリンピース本店」。かつては「パチスロのデパート」や「レア台の聖地」と呼ばれ親しまれたが、多くのプレイヤーに惜しまれつつ令和4年1月31日をもって営業を終了した(写真は閉店の1週間前に私・広石が撮影)。

新宿グリンピースで『スーパーバニーガール』を実戦

 さて、私が初めて新宿グリンピースさんで実戦したのは、平成7年の年末でした。この当時の私はガイドスタッフになったばかりで、まだデータ取り以外の原稿書きの仕事はほとんど頂戴できておらず、必然的にスロを打って生活費を稼がなきゃならなかったんです。それで、噂に聞くグリンピースはどれほどのものだろうと思って新宿に行くと、新宿駅は東南口の改札を出て階段から店を見下ろした瞬間にすげぇ驚きました。まだ朝の7時前なのに、もう何人もお客さんが並んでるじゃん!

 慌てて列の最後尾にくっつくと、時間を経るごとにどんどん列が伸びていきます。てゆーか、みんなよくこの寒空の下で何時間も並んでいるよね。かつて、ガイドの91時間バトル(VSニューパルサー)で朝早くから並んだ先輩のコホさんが、寒さに堪えきれずウイスキーをチビチビやりながら待っていたら、開店時刻には完全に出来上がってフラフラになりながら実戦した…な~んて武勇伝を聞いたりしましたが、この店の常連さんって朝の台取りに命をかけてんのかよ!

 そんなことを考えている内にいよいよ開店時刻。当時のパチ屋の開店は今のようにお行儀の良い整列入場じゃなく、入口の扉が開いたらヨーイドンの弱肉強食だったので、押し合いへし合い目の前にあった『スーパーバニーガール』を必死で確保しました。

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オリンピアの2-2号機『スーパーバニーガール』。通常時のコイン持ちを極限まで削ぎ落とし、その分を全てビッグ、REG、フルーツに割り振った超強力な「自力連チャン誘発マシン」として多くのプレイヤーに愛された。当時はビッグボーナス絵柄が7でREG絵柄にBARを採用するマシンが多かったが、スーバニはSUPERをビッグ絵柄としていた部分に特徴がある。左リールの「中段単チェリー」は超美麗的リーチ目(BR共通)として有名だ。(写真は「パチスロ大図鑑2001/ガイドワークス刊」より)

 台取り合戦の喧騒が収まるのを待って周囲を観察すると、隣の台が1Gでビッグ、そのまた隣の台も、その向こうの台も1Gでビッグを揃えています。なるほど、これが噂に聞くグリンピース名物の1シマモーニングなんだね。だとしたら、同じシマにある自分の台にもモーニングが入ってんじゃね? そう期待しながら慎重に左リールを目押しすると、通称ス・チェ・バ(スーパー・チェリー・バニー)の1確目が降臨!

 この瞬間はすげぇ感動したんですけどね。

 えーと…私の台だけバケが揃ったのはなぜ?

 なんかすげぇ恥ずかしいというか、居たたまれない気持ちになったんですけど、あの天下に名高いグリンピースさんがやることだから、もしかして…と思って続行すると、バケ分の出玉でビッグを引き、そのまま終日打って約3千枚のコインを頂戴したのよ。これって今で言う「高設定示唆」だったのかな? そう思ったんですけど、新宿グリンピース本店さんが閉店する直前に店長の「どくまむし」さんにその疑問をぶつけたところ(ガイドの企画で座談会を行いました)、返ってきた答えは…。

「当時は私の入社前ですが、先輩に聞いた話によると、目押しが苦手な社員がいて、稀にBR判別をミスることもあったようです。いわゆるヒューマンエラーですね(笑)」

 なるほど、グリンピースは手打ちでモーニングを仕込んでいたから、そういうミスもたまにはあったってことですか。つまり、私の台だけバケだったのは、たまたま高設定台に仕込みミスが重なっただけってことなのね。

 な~んだ、つまらん。高設定の示唆だと思ってた方が、話のネタとしては面白くて良かったような気がするよねぇ…。正直、聞かなきゃ良かったと後悔しましたよ(笑)。

 さてさて、そんな悲喜こもごもの思い出が多いグリンピースさんですが、最後に残った池袋西口店さんが令和5年1月29日(日)の営業終了をもって閉店します。このコラムを書いているのは1月23日につき、最後のお別れに行こうかとも考えたのですが、今さら何かを打ったところで良い思い出を壊すだけと判断して諦めました。

 ともあれ、経営会社の株式会社ニュートンさんは別事業の業績が好調なので(カラオケのパセラなど)、いずれパチスロ業界が盛り上がってきた時には再び参入…な~んてコトがあるかも知れません。

 あればいいなぁ…と思いつつ、今回のコラムはこれにてお開きとさせて頂きます。

ドラゴン広石

ドラゴン広石

ドラゴン広石(昭和38年12月生まれ)
平成7年に白夜書房「パチンコ必勝ガイド」編集部の門を叩き、パチスロの知識と経験、目押し力を買われて「パチスロ必勝ガイド」のライターに採用された。リアルタイムで「パチスロ0号機」を遊技した経験を持つ、唯一のパチスロライターである。令和4年現在でライター歴は27年。代表作に「枠上人生」、「浮草家計簿」(連載中)、「回胴絶景」(連載中)など。1日の最大勝ち額~プラス41万3千円(クラブロデオT)、1日の最大負け額~マイナス12万9千円(初代・北斗の拳)。

Twitter:@dragon_hiroishi

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