パチスロ「史上初の4号機は英国生まれ?」~4号機名機伝説~ チェリーバー編Part1【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.67】
前回は、4号機から加わった新機能や3号機との違いなどについて説明させていただいたわけだが、実はもう1点、4号機で新たに認められたことがあった。海外メーカーに対する門戸開放である。
戦後、世界屈指の経済大国へと奇跡の復興を遂げた我が国は、1970年代から自動車や電化製品に代表される工業製品の輸出超過により、欧米諸国と度々、貿易摩擦を起こしていた。
不均衡を是正すべく相手国はつど、自国のモノを送り込むために新たな市場の開放を求めてきたわけだが、1990年代に入り、その対象がついにパチスロ業界にも及んできたのである。
1992年に史上初の4号機としてセンセーショナルに登場した『チェリーバー』が、まさしくその貿易不均衡解消の一環として参入が許可された海外メーカーによるものだった。
つまり『チェリーバー』は、「史上初の4号機にして史上初の海外メーカー製のパチスロ機」ということになるわけだが、しかしそれは、あくまで体裁の上でのことに過ぎなかった。
『チェリーバー』をリリースしたのは、イギリスに本拠を置くエレクトロコイン・オートマティクス社の日本法人、エレクトロコイン・ジャパン社。
本国のエレクトロコイン社は1976年創業の、スロットマシンなどカジノ向けアミューズメントマシンの開発・製造・販売を行う総合企業で、ヨーロッパではそれなりに大きなシェアを持っていたらしい。
とはいうものの、スロットマシンとは似て非なる日本独自のパチスロ機を、おいそれといきなり作れるはずもない。必然的に、日本市場への参入にあたっては、「誰か」の手を借りることになる。「誰か」とは、ほかでもない。パチスロ業界最大手のユニバーサルである。
両者の関係は以前から密接だった。ユニバーサルは古くから、国内向けのパチスロのみならず海外のカジノ向けにスロットマシンを製造・輸出していて、そのヨーロッパにおける販売代理を担っていたのがエレクトロコイン社だった。
厳密にいうと、エレクトロコイン社の社長をつとめるジョン・スタジィデス氏がユニバーサルのヨーロッパ法人の社長を兼任していたのだが、ともかくそういった関係もあって、エレクトロコイン社は日本のパチスロ市場への参入を果たすことができたのである。
実際、『チェリーバー』は、誰がどう見てもユニバーサル製のマシンだった。
トップランプの形状やボタン周りの装飾など細かい部分に違いはあるが、筺体はまんま『コンチネンタル』に代表されるユニバーサル系3号機そのもの。
リールに描かれた絵柄だって、「7」のシェイプが少し鋭くなっただけで、ユニバーサル伝統のデザインを踏襲している。
内部の機構も、基板や電源ボックスの位置が異なるだけで、ホッパーなど各装置は従来からのユニバーサル系マシンのそれと大差ない。
とにかく『チェリーバー』は、販売元こそ新規参入のイギリス系企業だが、実態は完全に国産のパチスロ機だったのである。
実際にどこでどうやって製造されたのかは当時、様々な噂や憶測が飛び交ったのだが…まぁ、余計な話はこれくらいにしておくか。
そんなわけ次回はいよいよ、史上初の4号機パチスロ『チェリーバー』の仕様やスペック、そしてゲーム性について詳解させていただくとしよう。
(文=アニマルかつみ)
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