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パチスロ「高設定の情報」だだ洩れの危機!? スタッフの目を盗み出す驚愕の手口とは…

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 数百台~千台クラスの遊技台を提供するパチンコ店。店舗や機材といったあらゆる設備に、ゴト行為などを未然に防ぐための厳重なセキュリティ機能が施されているのは皆さんもご存じかともいます。

 パチンコ台に搭載されているものといえば「磁気センサー」や「振動検知機能」が有名でしょうか。これらは、磁石やドツキによって玉の動きを意図的に変える不正行為が行われた際に、エラーや警告音が発生し直ぐに分かるようになっているのです。

 パチスロ台においても似たようなセキュリティ機能が存在。ホールによっては不正電波によるゴト行為を認知するために、「電波センサー」を筐体内に取り付けているケースもございます。

 この他にも、自店舗で使用しているメダルのデザインをセレクターに記憶させる「他店メダル防止機能」というものも存在します。これは他店舗のメダルを投入するとエラーが発生するというもの。大量の他店メダルを持ち込んで投資せずに出玉を獲得しようとする不届き者が多いので、この機能は大いに役立っていることでしょう。

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 遊技台の他にも、パチンコ店には様々なセキュリティ機能が用いられております。その一つが夜間時のセンサー機能。警備会社に管理を依頼しているホールは多く、スタッフが退勤した後はあちこちでセンサーが発動しています。そこで動作を感知すると、すぐに発報して警備スタッフが駆けつけるという仕組みです。

 このセンサーが極めて高性能となっており、私が勤めていたホールでは島上に設置していたバルーンが揺らいだだけで発報するといったケースもございました。また、ネズミが走り回って警報が発動し、警備スタッフの方々を困らせたという珍事件も起きたことがございます。

 このように、パチンコ店には不正行為を防ぐための非常に厳重なセキュリティ機能が備わっているわけですが…これ以外にも気を付けなければいけない要素が存在するのです。

 その一つが「情報漏洩」となります。特に注意すべきはパチスロ。勝ち負けに大きく影響する「設定」は、外部へ漏れることのないように細心の注意が払われているケースが多いかと思います。

 実際、私が勤めていたホールもこの部分はデリケートに扱われておりました。まず大前提として設定変更を行う人物は1人のみ。休みの日以外は基本的に店長だけで作業が行われていたのです。

 開店前の早いタイミングで行われることが多かったですが、この間は基本的に他のスタッフはパチスロコーナーに踏み入ってはいけません。そうしなければ、店長がどの台を設定変更したか丸わかりとなってしまうからです。

 このように、「万全の態勢」でホール営業が行われていたわけですが…。

 実は過去に「情報漏洩」を目的とした“とんでもない事件”が起きたことがございました。まさか「高設定の情報」をリークされる危機が…!?

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 あれは数年前のことです。当時ホール店員として働いていた私には、入社して間もない後輩「T君」がおりました。

 新人とはいっても、過去に別のパチンコ店に勤めていた経験者。教えることは自店の細かなルールくらいで、遊技台のトラブルや接客などは問題なくこなしていたのです。

 私は教育係を任されており、T君と同じシフトで勤務しておりました。早番専門での雇用ということで、私は遅番のない毎日を快適に過ごしていたのでした。

 明るくて親しみやすい性格で、私の教えることには逐一メモをとるというマジメぶり。私が指導してきた新人はメモを取らずに何度も同じことを注意せざるを得ない状況が多かったので、その実直な姿勢に好印象を抱いていたのです。

 そんなT君が入社してから2週間が経った頃でしょうか。私は「ある異変」に気付きました。

 その異変とは、開店前の準備作業の際に「必ず決まった時間にトイレへ行く」というもの。台のメンテナンスが終わってパチンココーナーの最終点検を行うタイミングで「お手洗い行ってきます」と言ってその場から離れるようになったのでした。

 これが2~3日程度なら単なる偶然といえますが、5連勤すべて同じタイミングというのはどう考えても不自然です。気になった私は、気づかれないようにトイレへ行ってみました。

 しかし、そこにはT君の姿が見当たりません。戻ってきた際に聞いてみると、どうやら事務所のトイレを使っていたようです。「開店前にお客様が使うトイレを汚したくないので」とのことでした。

 ただ、そのタイミングはまだ清掃パートさんがトイレを綺麗にする前の段階。その旨を伝えると「いや…事務所のトイレでいいですよ」と歯切れの悪い返事が返ってきました。

 気になった私は、その時間に事務所で作業しているホール責任者に聞いてみることに。すると「確かに事務所のトイレを利用しにくる」との答えが返ってきました。「5連勤すべて同じタイミングって変じゃないですか?」と伺うと「きっと体のリズムが規則正しいんじゃない?」といった感じで、全く気にしていなかったのです。

 確かに、そういう人もいるかもしれません。私も「気にしすぎかな」と、忘れようとしたのですが…。

 その矢先。“あることがキッカケ”で、衝撃の事実が発覚する事となったのです。

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 それは店長が休みの日の出来事でした。この日はホール責任者がパチスロの設定変更を担当していたのですが、T君は「この日だけ」いつものタイミングでトイレへ行かなかったのです。

 トイレに行ったのは、ホール責任者が開店前の作業を終えて設定変更を行うタイミング。「まさか!?」と嫌な予感がした私は、本来では足を踏み入れてはいけないパチスロコーナーを確認しに行きました。

 しかし、そこにはT君の姿が見当たりません。「おい!設定変更中に入って来るな!」とホール責任者に怒られつつ、急いでその場を離れたのです。

「自分の思い過ごしか…」とモヤモヤした気持ちを抱えながらパチンココーナーの開店作業を進めていたのですが、しばらく経ってもT君は戻って来ません。胸騒ぎがした私は、彼がいるであろう事務所を確認しにいきました。

 するとそこには設定変更している台をカメラで確認し、その台番をメモしているT君の姿があったのです!

 私は「おい!何をしているんだ!」と怒号を浴びせつつ、そのメモ帳を取り上げました。そして速やかにホール責任者へ報告。「君がそんなことをするなんて…」とショックを隠せない様子でした。

 その後の対応はホール責任者へ任せて、私は開店準備へと戻りました。ちなみに、この日を境に、彼の姿を見ることはなく…その後、どのような結末を迎えたのかは把握しておりません。

 T君の目的は何だったのか。とりあえず開店前の準備作業の際にトイレへ行っていた理由は、事務所が手薄になり「設定変更している台をメモできるチャンスを伺っていた」ということで間違いないでしょう。店長の休日に絶好のチャンスが訪れた…それで実行してしまったということだと思います。

 設定変更を確認して、仲間にリセット台の情報をリークしようとしたのでしょうか。その目的は分かりませんが、なんにせよ情報漏洩を未然に防げたのでホッとしたことを覚えております。

 今回の件で、設定に関わる情報がだだ洩れとなる危険性が問題視され、スタッフの出勤前に設定変更が行われるようになったのは申し上げるまでもございません。好印象を抱いていた後輩が起こした事件だけに、苦い記憶として残っております。

(文=ミリオン銀次)

<著者プロフィール>
 ホール店員・雀荘店員といった職種を経験。それらを活かし、ライターとして活動中。特に力を入れているのはパチンコ・パチスロ分野で、自身の遊技体験やホール店員時代のエピソードを中心にしたコラムを執筆している。パチンコ・パチスロ歴は10年以上で「打ちたい台をトコトン打つ」がモットー。結果として、目も当てられない大敗を多く経験。「悲惨なエピソードも明るく紹介したい」といった拘りを持つ。

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