アニマルかつみの「ぱちパチ偉人伝」第1回 秋山宏一(元・パチスロ必勝ガイド攻略ライター)前編
「黎明期の必勝ガイドで活躍した伝説の誌上プロ」
突然だが、パチmax編集部のご厚意で、またしても新たな不定期連載を始めさせていただくことになった。
タイトルは「ぱちパチ偉人伝」。文字通り、パチンコ・パチスロに関わる様々な人物にスポットをあてるという趣旨である。
ではさっそく、記念すべき1人目の「ぱちパチ偉人」をご紹介させていただこう。
1980年代から90年代初頭、創刊間もないパチンコ・パチスロ両必勝ガイドで、攻略ライター兼誌上プロとして活躍。読者からの圧倒的な支持を受け、同誌を攻略情報誌の分野でナンバーワンの座に押し上げるなど多大なる功績を残した、「秋山プロ」こと秋山宏一氏だ。
私事を述べると、自分がこの世界に入るきっかけを与えてくれたのが、他でもない。この秋山氏なのである。
秋山氏と出会ってなかったら、アニマルかつみというパチスロライターは存在していなかっただろう。そういっても過言ではないほど、自分にとっては重要な人物なのだ。
その辺りのエピソードなどについては追々、ゆっくり綴らせていただくとして、まずは氏の略歴から。
1968年、東京に生まれ茨城の片田舎で育った秋山氏がパチンコやパチスロに目覚めたのは、十代半ばの頃。当時はパチンコ・パチスロに関する情報メディアは皆無に等しく、攻略法の類いは、いわゆる「プロ」といわれる限られた一部の人たちの間で密かに流通するのみだった。
が、元々理数系が得意で数字に強かった秋山少年は、学業そっちのけで研究に没頭。デジパチ攻略に成功する。
当時のデジパチは、いまのようなランダムに当りフラグを抽選するのではなく、「前回の出目に特定の値をプラスして、その結果がゾロ目なら大当たり」という、「係数方式」というシステムを採用していた。
なので、停止出目の移行法則を見切り、ストップボタン(当時のデジパチにはデジタルを停止させるためのボタンが装備されていた)を操作するなどして、ゾロ目の出現率を高めることができたのである。
一方、パチスロの方はというと、ユニバーサルなどは早くから現在と同様のランダム抽選方式を採用していたが、他の多くのメーカーは周期抽選や天井吸い込み方式を採用。周期を狙った「ウロツキ」や、他人がハマってヤメた台すなわち天井に近い台を狙う「ハイエナ」が流行った。
ただ、前述のとおり当時は、解析情報などを掲載した攻略情報誌も無かった時代。そこで秋山氏は、アルバイトの給料を突っ込むなどして研究に明け暮れ、自力でオリンピアの1.5号機『ニュースターダストⅡ』の天井を発見したのだという。
そんな感じで、早くからパチンコ・パチスロ攻略に目覚めてしまった秋山氏は、やがて自らの研究成果を発表する場を求め、創刊間もないパチンコ必勝ガイドの編集部の門戸を叩く。結果、アルバイトとして登用されるのだが、あろうことかわずか1週間でクビになってしまう。
どうやら秋山氏は、編集者と攻略ライターの仕事を混同していて、「昼間はずっとパチンコを打って、夜になったら編集部に戻って研究成果を報告すればいい」と、自身の中で解釈していたらしい。
なぜクビになったかも理解できぬまま、編集部を去ることになった秋山氏。ところが、ある人物が助け船を出したことで、氏の人生は大きく変わった。
「石橋プロ」こと、石橋達也氏。デジパチにおける必勝理論の基本中の基本である「ボーダー理論」を確立・提唱した、伝説の攻略ライターである。
「兄ちゃん、なんでクビになったんや。ちょっと、話きかせてや」
そんな風に石橋氏に声をかけられた秋山氏は、1週間の間、なにをやっていたかを事細かに打ち明けた。
当時、パチンコの世界では、豊丸の『ドンスペシャルB』やSANKYOの『フィーバーレクサス』シリーズといった、デジパチの「保留玉連チャン機」がブームになっていて、必勝ガイドをはじめとする攻略情報誌はこぞって、連チャン発生メカニズムの解明、さらには連チャン誘発打法の開発に苦心していた。
結果、電源立ち上げからメモリーを一度も点灯させることなく大当りさせると高確率で連チャンが発生することが判明。「朝イチ単発回し攻略法」が確立される。
しかし、秋山氏は「それ以外にも、連チャンを誘発する方法があるんじゃないか」と思い、件の1週間、ただひたすら様々な打ち方を試していたというのである。
秋山氏の研究熱心な姿勢に感銘を受けた石橋氏は、編集長の末井昭氏にもう一度チャンスを与えてあげるよう直談判。結果、フリーの攻略ライターとして、必勝ガイドに関わることとなった。
当初は、裏方としてパチンコ・パチスロの研究・攻略に没頭する日々を送っていた秋山氏。が、たまたまある企画で誌面に出たことがきっかけで、やがて彼は必勝ガイドを代表する重要なキーパーソンとなるのであった。(次回、中編につづく)
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