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機種に歴史あり…仰天した裏話の数々【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第12話:パイオニアの思い出~後編】

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第12話 パイオニアの思い出~後編

 前回は、パイオニアさんのショールームに『ブンブンブン』の取材実戦でお邪魔して、終了後にパイオニア大阪本社の営業本部長であるK氏から、私と編集の内池さん、それにカメラマンのFさんが食事に誘っていただいた話をしました。

 今回は、そのときお酒を飲みながらK部長さんが教えてくださった仰天裏話をいくつか紹介しようと思います。できれば前編を先に読んでから、後編をお楽しみください。

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エピソード① フォーチュンワン

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パイオニアの1号機『フォーチュンワン』。当時、業務提携していた高砂電器産業の『ワンダーセブン』とは異絵柄同配列の兄弟機にあたる。ボーナス抽選は当時としては一般的な吸い込み方式で、特定のゲーム数に到達すると高確率でボーナスを抽選する代わりに、それ以外のゲームにおけるボーナス確率はゼロだった。ビッグボーナスの消化中にも吸い込み+抽選が行われ、そこでボーナスに当選すると1G連が発生する。(写真は「パチスロ大図鑑2001/ガイドワークス刊」より)

 パイオニアの1号機『フォーチュンワン』は、高砂電器の『ワンダーセブン』のOEM製品なのですが、私が若い頃に通ったことがある大分駅前の「二十世紀」というホール(現在は閉店)に、30π仕様のフォーチュンワンとワンダーセブンが設置されてました。こんな仕様機を他の店では見たことがありません。

 当時はなぜこんな機種が存在するんだろう…と不思議に思ったんですけど、K部長さん曰く、もともとフォーチュンワンは沖縄に設置することも想定していたため、台のコインセレクターとホッパーに、25πと30π仕様の2種類を用意していたそうです。

 本土のパチスロでは伝統的に25πが使われていますが、30πを希望するホールさんにはそのリクエストに応えていたとのこと。実際、30πのコインを使うとビッグ1回で下皿が溢れますから、ドル箱を重ねた見栄えの良さを重視する店に設置されたそうです。

 一方、沖縄での設置に関しては、当時の沖縄仕様機はアップライト型しかなく、高砂電器の『フェニックス』が大ヒットしていたため設置を断念したと仰られていました。

 う~ん、機種に歴史あり…ですね。

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エピソード② ムサシ

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パイオニアの2-2号機『ムサシ』。高砂電器産業との業務提携を解消したパイオニアが、初めて自社の開発陣の手によって制作したマシンである。ビッグ成立後の等倍返し処理に欠陥があったため、デビュー直後に、ビッグ絵柄を外しつつムサシ絵柄を抜く、通称「ムサシ抜き」なる攻略法が発覚。後に「盤面押し」や「ホッパーセット」などのゴト手口も発覚して、設置店は壊滅的な被害を受けた。(写真は「パチスロ大図鑑2001/ガイドワークス刊」より)

 ムサシの盤面押しゴト(ドスコイ攻略法とも呼ばれた)とは、左→中と上段ラインに7絵柄をテンパイさせ、右リールの盤面を無理やりリールに押し付けて7絵柄を揃え、その状態で右ストップボタンを押すと、機械側が「ビッグ絵柄が揃った」と認識してビッグボーナスがスタートする…という、完全なゴトネタでした。ただし、ノーマル基板のムサシには通用せず、ターゲットとなったのは闇の商人がRAM領域に「注射」を行った連チャン仕様のムサシのみです。

 このゴトが発覚した当時、ムサシの設置店から凄い勢いで苦情の電話がかかってきたらしく、それに応対したK部長さんは慌てず騒がずこう言い放ったそうです。

「押されて絵柄を揃えられたんなら、引けばいいだけの話でっしゃろ」

 結果、ムサシは全ての設置店においてリールユニットが筐体のレールから外され、どんなに中央パネルを押してもリールに届かない位置まで退げられました。台の見栄えは少々悪くなったけど、盤面押しに対してこれほど有効度の高い対策はありません。この発想には、正直言って驚きました。

 ちなみに、盤面押しゴトが通用したのは、闇の商人が連チャンエキスを注入した裏ムサシのみと前述しました。ならば設置店がパイオニアさんに苦情を言うのは筋違いであり、パイオニアさんも対応する必要すらないと思うんですけどね。たとえ闇の商人によって本来のゲーム性を変えられても、最後まで面倒を見る…というのは、パイオニアさんにとっての親心なんでしょうかねぇ。あとは「お察しください」ということで。

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エピソード③ ムサシⅡ

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パイオニアの3号機『ムサシⅡ』。2-2号機「ムサシ」と筐体のデザイン&絵柄配列はほぼ同じだが、3号機の規定で小役の集中役が禁止されたため、その分をボーナス確率に上乗せした仕様になっている。ただし、全国的に出回ったムサシⅡは、闇の商人によってカスタマイズされた裏モノが大半を占めていた。狂乱の3号機時代の闇に飲まれたマシンである。(写真は「パチスロ大図鑑2001/ガイドワークス刊」より)

 ムサシⅡがヒットしていた年の忘年会を、某ホテルに「株式会社パイオニア」の名で予約したところ、ホテル側のサービスがやたらと良く、フロントマンが「これから先も善きお付き合いをお願いします」と深々と頭を下げて挨拶されたそうです。

 パイオニアさんの幹事が、「もしかして、ホテル側は我々のことを東証一部上場企業のパイオニア株式会社(音響関係のメーカー)と間違えてるんじゃないですかね?」と、おそるおそるK部長さんに訊ねたところ、K部長さんは涼しい顔でこう返したそうな。

「わしらパイオニアで間違いないやろ! 別に大手のパイオニアを騙ったわけじゃなし、勝手に勘違いしたんはホテル側なんやから堂々としてりゃええんや」

 いやはや、さすがはしたたかな大坂商人…って感じですね。

 とまぁ、こんな話を面白おかしく語ってくださったK部長さん。食事会がお開きになったのは深夜1時だったため、自分はタクシーで井荻の賃貸マンションまで帰る羽目になったんですが、K部長さんの話を聞けたことの方が遥かに有益だったので、高額なタクシー料金がかかったけど個人的には満足でした。

 K部長さん、今もお元気ですか?

ドラゴン広石

ドラゴン広石

ドラゴン広石(昭和38年12月生まれ)
平成7年に白夜書房「パチンコ必勝ガイド」編集部の門を叩き、パチスロの知識と経験、目押し力を買われて「パチスロ必勝ガイド」のライターに採用された。リアルタイムで「パチスロ0号機」を遊技した経験を持つ、唯一のパチスロライターである。令和4年現在でライター歴は27年。代表作に「枠上人生」、「浮草家計簿」(連載中)、「回胴絶景」(連載中)など。1日の最大勝ち額~プラス41万3千円(クラブロデオT)、1日の最大負け額~マイナス12万9千円(初代・北斗の拳)。

Twitter:@dragon_hiroishi

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