パチスロ「販売台数わずか400台の激レアマシン」~4号機名機伝説~パル工業の遺作『スフィンクス7』編【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.128】
【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.128】
吸い込み方式ならではの激しい連チャン性でファンを熱狂させた1.5号機『ニューペガサス』を筆頭に、「ペガサス」の名を冠する数々のマシンを輩出した伝説のメーカー、パル工業。
4号機時代に入ると同社は、『ペガサスワープ』シリーズを最後に、代名詞ともいえる「ペガサス」の名を封印して新路線にシフト。1994年暮れの4号機第3弾『C51SP』を皮切りに、共通の仕様を持つマシンを計6機種、立て続けに市場に送り込む。
そして、それらのマシンは例外なく裏モノ化。チェリーの連続が前兆となる『ビガー』や、果てしなく連チャンが続く『バンバンVer.』が市場に蔓延。ファンを熱狂させる。
しかし、やがて一連の不正改造にメーカー自らが関与していたことが発覚し、逮捕者が出るなど大騒動に発展。結果、1996年春にパル工業は会社を解散、業界から撤退してしまう。
過去の栄光にとらわれ、愚直なまでに連チャン性を追い求めた結果、破滅への道を突き進んでしまったパル工業。ところが、騒動が一段落しつつあった同年夏、すっかりお蔵入りするものと思われていた同社最後のマシンが、突如として市場にお目見えする。
高度な文明で栄えた古代エジプトをモチーフにした、その名も「スフィンクス7」である。
~4号機名機伝説~パル工業の遺作『スフィンクス7』
スペックは、連続性を重視してか全設定にわたってBR両ボーナスがバランスよく配分された確率設計が特徴。実際、7枚交換のホールで導入直後に行われた実戦では、速攻&数珠連打が頻発するなど、ハイスペックの実力を遺憾なく発揮してくれた。
…とはいえ、山佐や他メーカーのそれと比べると、一直線型がメインのシンプルな構成。3種類のボーナス絵柄と中・右リールに配された0枚役「コブラ」が一直線に並べばチャンス到来となった。
一方、ビッグ中は従来のマシンと同様、リプレイハズシを駆使することで相当な獲得枚数の上乗せが可能。
手順は、メイン小役が10枚役ベルの1種類であること、また左リールでのハズシポイントにもコマ数の余裕があることから、比較的容易だった。
豊かなスペックに加えて多彩な出目を搭載し、ゲーム面ではなかなかの仕上がりとなっていたパル工業の遺作、『スフィンクス7』。
しかし、会社解散直前に製造されディーラーに卸されたわずか400台弱が販売されただけだったので、市場全体の規模からすれば極めて激レア。多くのファンにとって本作は、まさしく「幻のマシン」となった。
ところが、である。そんなパル工業の遺作が数ヶ月後、意外なかたちで甦る。
広島に産声を上げた日電協非加盟の新規メーカー、マツヤ商会の業界参入第2弾『ラスタJ』。機種名とおり、ド派手なラスタカラーに身を包んだ本作は、筺体をはじめとするハードウェアから役構成やスペックなど基本仕様すべてが、『スフィンクス7』そのものだったのである。
パル工業の遺作としてごく少数だけが市場に登場した『スフィンクス7』と、その仕様をそっくりそのまま引き継いだマツヤ商会の『ラスタJ』。
志半ばで業界撤退を強いられてしまったパル工業関係者たちの、断ち切ることのできぬ強い思いを感じずにはいられない。