シマを「お祭り状態」にした〝激アツ”パチスロの思い出【濱マモルののほほんコラムVol.244～激甘ナマズ～】

濱マモルののほほんコラムVol.244～激甘ナマズ～

　家族で食事をしながら、なにかのテレビ番組を見ていた時のことだった。「ナマズの英訳は？」との問題。すぐさま「キャットフィッシュ」と答えたのは、アタシと中2の息子だった。

「おとうちゃん、英語が苦手なのに、よく知ってたね」。生き物にやたらと詳しい息子は、自分も英語の成績が散々なことを棚に上げて、生意気にも、こう感心しやがったが、高校生の頃、英語のマークテストでぶっちぎりの最下位、偏差値27という成績を叩き出して先生に「全問、同じ数字を塗っても、もう少しマシな点数が取れただろう」と驚かれたアタシでも、キャットフィッシュくらいは知っている。なぜなら4号機時代、同名のパチスロがあったからだ。

　ユニオンマシーナリの新規参入第1弾である『キャットフィッシュS』は、可愛らしいナマズがパネルに描かれた、チャンス予告がメインのボーナスタイプ。「アースクエイク」と呼ばれるフラッシュの発生はボーナスチャンスで、ナマズともう1つ、なにかよくわからないピンクの魚との組み合わせによるリーチ目は、中々に味わい深かった。

　当時は、アニマルかつみ兄さんとガル憎先輩の「THE MAD PACHI-SLOT BROTHER’S」の音源制作及びプロモーションを担当させていただいていた。外資系レコードショップでのインストアイベント、今は無くなってしまったTOKYO FMの渋谷スペイン坂スタジオでの公開収録など、あらゆる企画を実施したが、結局、「パチスロ好きが一番集まるパチンコ屋さんで販促イベントをしたらいいんじゃね？」との考えに至り、現在で言うところの来店取材のようなものを始めた。

　これが予想以上に好評で、北は札幌、南は沖縄まであちこちと巡った中、その日は北関東の某店へ。ここでホールの店長さんに勧められたのが、新台で導入したという『キャットフィッシュS』だった。

しっかりと打てば、負けることなどほぼ皆無。

　お二人による出玉対決。アタシは後ろで見守りつつも、聞けば裏モノとのことなので、その仕様を探っていたところ、ほどなくして我々は驚愕の事実に気付いてしまった。

　連チャンはビッグ・REGの混合で50G以内がメイン。爆発力こそ高くはないものの、通常時の小役目押しと、ビッグ中のリプレイハズシが効きまくりなのである。

　ベースは不明だが、千円で50G以上プレイできることもあれば、大量獲得機ではないのにビッグ1回で500枚近く獲得できることも。その上、500G付近には超当りやすいゾーン、端的に言えば強めの仮天井もあるのだから、しっかりと打てば、負けることなどほぼ皆無なのである。実際、シマはお祭り状態だった。

「これは打たねば！」。地元に帰ると早速、ネットワークを駆使して設置店をピックアップした。当時はサラリーマンだったこともあり、ちょくちょく仕事をサボっては打ちまくっていたが、やはりめちゃくちゃに甘すぎるからか、どのホールも設置期間はごくわずか。撤去される都度、別の設置店を探しては小金を稼いたところ、初入店のホールで見知らぬおじさんに挨拶をされた。

　恩と恨みは忘れないが、人の顔と名前を覚えるのは苦手だ。「はて？ 誰だろう」。仕事で繋がりのある人か。それとも、どこかの飲み屋で泥酔時に意気投合した人か。脳内を巻き戻しながら淡々と小役を狙っていると、ふとしたタイミングで顔と記憶が一致した。

　そのおじさんは数日前、別の『キャットフィッシュS』設置店でも見かけた。要するに、アタシと同じく設置店を渡り歩いていたわけで、よくよくシマの面子を見ると、こちらも見覚えのある顔ばかり。みんな、考えることは同じか。あの時ばかりは、思わず吹き出してしまった。

　SNSが普及していない時代だからこその笑い話。「今だったら一瞬で軍団に占拠されちゃうんだろうなぁ」などと回想していると、テレビでは次の問題が出題されていた。「ウーパールーパーの正式名称は？」。瞬時に「メキシコサラマンダー」と答えた息子に勝ち誇られてしまったが、仕方ない、ウーパールーパーがモチーフのパチスロはないからね。