パチスロ1号機は「簡単に設定を変更できる」仕様ではなかった【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第93話:設定変更】
■第93話 設定変更
唐突ですけど、パチmax!読者の皆さんは「パチスロの設定変更」をどのようにして行うのかご存知ですか? 家スロ用に中古で実機を購入された経験のある方なら、今さらと思うような問いかけでしょうが、とりあえず具体的な手順を紹介します。
①台の電源を落として設定変更キーを右に回す
②電源を入れて現在の設定を確認する(小窓に表示)
③設定変更ボタンを押して新しい設定を決める
④レバーを叩いた後に設定変更キーを左に戻す
えっ、たったそれだけ? そうなんです。たったこれだけなんです。こんなに簡単だと、セキュリティに不安を感じるかも知れませんが、どこのホールさんでも設定変更キーは厳重に保管されていますし、設定を管理する責任者や店長さん以外は触れないのが普通ですから、さほど心配する必要はありません。
ちなみに、新台パチスロのドアキーは実機がホールに納入される際に、全てその店舗さん用の独自キーに交換されます。つまり、違う店のドアキーを持ってきても、台の扉を開くことすらできないんですね。一般ユーザーに市販されている中古機は、いわゆる「共通キー」と呼ばれる鍵に付け替えられて販売されているのです。
■お店側にとってAT機は全リセするのがベスト
話が少し横道にそれたので元に戻します。設定変更の手順は上記の4工程と、さほど面倒臭くはありません。なので、熟練した店長さんなら1台あたり十数秒で設定変更の作業を終えてしまうでしょう。
しかも、同一設定の打ち直し(リセット)の場合、前述した③の工程が不要になりますから、仮にAT機の設置台数が100台あったとしても、おそらくは30分かそこらで全台をリセットできると思います。
だからせめて、強い日くらいは全リセして欲しい…な~んて話をしたいわけじゃありません。
いや、もちろん打ち手にとって全リセが理想ですよ。実際、リセット時に特典(天井短縮や高確スタートなど)のあるAT機は多いですし、朝イチからやる気満々で打ち始めて短縮天井を超えたりしたら、すげぇ嫌な気分になりますからね。
結局、お客さんからの信頼を失墜させないためにも、お店側にとってAT機は全リセするのがベストです。
だけどね、設定変更の手順がこれほど簡略化されたのは2号機になってからで、それ以前のパチスロは凄く大変な手順を踏んで設定変更を行なっていました。
■1号機『ワンダーセブン』の設定変更手順
次に紹介するのは、私の地元にあった某スロゲーセン(現在は閉店)の店長さんに教えていただいた、高砂電器産業の1号機『ワンダーセブン』の設定変更手順です。
①台の電源を落とす
②ホッパー再スタートボタンを押しながら電源を入れる
③1メダルランプが点灯したら再度電源を落とす
④調整用ジグをカウントSW部に差し込んで電源を入れる
⑤1メダルランプが点灯したら調整用ジグを抜く
⑥ホッパー再スタートSWを押して設定を決める
⑦レバーを叩いて配当デジタルが消えたら変更完了
現在のパチスロの設定変更手順に比べて、かなり変更作業の工程が多いことに気づかれたと思います。
と言うのも、この手順の中で①~③は現在の設定をオールクリアするための作業であり、当時のパチスロは設定を一旦初期化しなければ新しい設定を打てなかったみたいです。また、この工程の中で「調整用ジグ」と呼ばれているものが、現在でいう「設定変更キー」に該当するものと思われます。
私はあくまで手順を口頭で教えていただいただけで、実際に変更しているのを見せて貰ったわけではありません。
従って、この手順が本当に正しいのか、そもそもワンダーセブンの設定変更手順なのかどうかすら怪しいのですが(曖昧な記憶ですみません。手順が正しいかどうかご存知の方は、当コラムをリポストした私のXアカウントに投稿をいただけると有り難いです)、一つだけ確実なことは、パチスロ1号機は設定変更に大きな労力を費やすため、現在のように簡単に設定を変更できる仕様ではなかったのです。
そんな理由により、昭和60年の新風営法施行によって誕生した1号機は、据え置きメインで営業する店が多かったと聞きます。設定を変更するタイミングは店それぞれですが、朝イチに「前日の優秀台」に座れば結構な割合で高設定にありつけました。
ただし、当然のことながら当時はゲーム数カウンターも大当り回数の表示器もありません。ビッグを引く度に店員さんが台上の札をめくるシステムの店はありましたが、こうした手動による表示の信頼度が低かったのは言うまでもないでしょう。
だって、仕事帰りに打ちに来たお客さんは、大当り回数が少ない台に座ろうとしないから、隙を見て店員さんが札を余計にめくるようなドイヒーな店もあったんです(つまり、大当り回数の水増し)。
当時のスロプロは、常に店内にいて(自分が打たなくても)出玉状況を観察するスキルが必要でした。二十歳の頃の私にパチスロを教えてくれた師匠も、食事休憩を取らず常にホールの状況に気を配っていました。私も見よう見まねで立ち回ったため、当時はそこそこのプラス収支を上げてたんですよね。
というわけで、次回は1号機時代のエピソードをお届けします。
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