パチスロ「ノーボーナスで8千枚」?【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第96話:アニマル】
その昔、怒涛のボーナス連打と底なしの特大ハマリで、多くのプレイヤーを虜にしつつも震撼させた「伝説の連チャン機」がありました。その名は『アニマル』。今はなき、アークテクニコから登場した2-1号機です。
ここまで95話分のコラムを読み返してみて、未だアニマルに殆ど触れていないことに気づきましたので、今回は遅ればせながらアニマルの昔語りをお届けしたいと思います。
以下、本編。
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■第96話 アニマル
パチスロに限らず、いわゆる「伝説」と呼ばれる存在になるには特定の条件があります。その条件とは、ズバリ「不幸な最期」です。
歴史上の有名な人物を例に挙げると、たとえば源平合戦における源義経(九郎判官義経)は、異母兄である源頼朝の命に従い各地を転戦して最大の功労者となりましたが、平氏打倒の後に頼朝の不興を買って対立し、最後は奥州平泉で藤原泰衡に攻められて自刃しました(衣川の戦い)。
また、戦国時代の三英傑の一人として知られる織田信長(上総介三郎平朝臣信長)は、天下布武の旗のもと天下取りにあと一歩の状況にまで上り詰めますが、明智光秀の謀反に遭って本能寺で自刃したと伝えられています(本能寺の変)。
他にも多くの例がありますが、源義経も織田信長も「不幸な最期」を迎えていなければ、現在に伝わるような「伝説」にはなっていないだろう…と私は考えます。
でもって、アニマルが迎えた不幸な最期とは「基板改修」でした。ご存知の方も多いと思いますが、アニマルは「枚数吸い込み方式+一発抽選」でボーナスの大連チャンを演出しており、これは2号機の規定で義務付けられた「完全確率方式の役抽選」に反する違法プログラムだったんです。
具体的に説明すると、ボーナス終了後および設定変更後のAゾーンでは、吸い込み予定枚数(2~35枚)がセットされ、そこに到達した時点でボーナスを抽選(59.7%~64.3%)を行うのだけど、これに漏れた場合は例外なくボーナス無抽選のBゾーン(最大800枚)へと進み、予定されたIN枚数に到達するまで出目の羅列が繰り返されるんです。
また、Bゾーンの終了時には約50%の確率でCゾーンへと進み、継続25Gのフルーツゲームがスタートします。フルーツ消化後は再び約50%の確率でフルーツ抽選を行い、最終的にはAゾーンに戻る仕組みでした。
ただし、フルーツに入らないかぎりゾーンの区切りは判別できないため、運悪く全ての抽選を延々と外し続けると、3千枚以上も吸い込んでノーボーナス…な~んていう、身の毛も弥立つ恐ろしい状況に遭遇する可能性もありました。そう、この一連のプログラムがアニマルの大連チャン&ハマリの正体だったんです。
もちろん、これは随分と後になって判明した事実であり、アニマルのデビュー当時は「ひたすら突っ込んで連チャンを待つ」という、ハイリスク&ハイリターンの勝負を余儀なくされました。
当然、打ち手は誰もこの台が完全確率方式だなんて信じてません。なにしろアニマルを輩出したアークテクニコは、悪名高き東京パブコの後身ですから(巨額脱税事件などが有名)、業界に詳しい人はみんな「絶対に何か悪さをしてるぞ!」という陰口を叩いていたと聞きます。
結局、後にその違法プログラムが発覚して、基板改修を余儀なくされたんですよね。だけど不思議なことに「検定取消処分」は受けませんでした。おそらくですけど、何かしら見えざる力が働いたんでしょうね、ええ。
■ノーボーナスで「8千枚」?
そして、私の地元にアニマルが設置されたのは昭和63年の7月27日でした。
当時、私は大分県別府市にあるL店に通っていました。新装初日は「正午開店」につき、顔馴染みのプロ連中と一緒に並んで無事にアニマルを確保したんですが、打ち始めてすぐに台の異常性に気づきました。
直近までL店に設置されていたのは東京パブコの1.5号機『ニューポート』です。一見してわかる通り、絵柄は小役&ボーナスともアニマルに継承されており、その類似性だけを根拠に、アニマルもニューポートと同じく「穏やかな出玉推移のマシン」だと思ったんですけどね。
後になって考えてみればとんでもない勘違いでした。そう、例えて言うなら「羽根モノだと信じて座ったパチンコが実は一発台だった」くらいの衝撃…と説明すればご理解いただけるでしょうか(第50話参照)。
ニューポートの天井は最大400枚。つまり、現金で8千円投資すれば何らかのボーナスが出てくるんですが(BR比率は1対2)、今日、新台で導入されたばかりのアニマルは1万円入れても2万円入れてもウンともスンとも言わない。
なのに、いきなり小役が連続して揃うようになったと思ったら、それだけで優にビッグ1回分以上の出玉を吐き出し、それを抜けたら今度はビッグ&REGが混ぜこぜに連チャンして一撃千枚オーバー…っていったい何なんだよ、この出方は!
向こうの方では、たまに見かける常連客のおじさんが、小役の集中だけで赤箱(約3千2百枚は入る大きなドル箱)を2つ足元に積んでおり、周囲の客はその姿に触発されて鼻息も荒く己の台をぶん回しています。てゆーか、ノーボーナスで6千枚も出るのって、どう考えても変じゃね?
この時は、店側が客寄せのために何か仕込んだものと思ったんですが、午後3時を過ぎた頃になって、店長がおじさんを台からひっぺがして「故障台」の札を入れました。
おじさんは不満げな顔をしているかと思いきや、意外なことにニッコニコの恵比寿顔。そりゃそうか。ボーナスを1回も引かずに8千枚近く出てるだけでも異常なのに、出玉を没収されることもなく、普通に特殊景品に交換できるっていうんですからね。
当時のL店は「7枚交換無制限」。仮に最初からフルーツに入っていたのだとしたら、千円の投資で10万円以上も勝ったんだから文句を言ったらバチが当たります。
ちなみに、この台は本当に壊れていたんだ…ということを、後になって知りました。前述したように、最初は店側が仕込んだのだろうと思ったんですが、どうやらフルーツのループ抽選(50%)を無条件でパスする基板だったようで、なおかつフルーツ中のボーナス抽選(200分の1)にも不具合があったことから、件のような状況が発生したらしいです。
■「昔の機種はとっても危険」というお話
この頃、わりと仲良くしていたバイトの店員さんに聞いた話ですが、あの日、店長が販社の営業を呼びつけて怒鳴ってる声が事務所の廊下まで響いたそうな。当初、電話を受けた営業さんは「心配しなくても大丈夫ですから」と答えたそうです。
そりゃあ、フルーツの仕様を理解していれば、誰だってそう説明します。だけど、残念ながら基板そのものが壊れていたらそうはいきません。
いったい、どういう経緯で不具合のある基板が紛れ込んだのか不明ですけど、当時は関係者の誰かが小遣い稼ぎのためにセット基板を仕込むゴトもあったらしいし、もしかすると…ってイケナイ妄想でした、スミマセン。まぁ、あまりにも露骨な出方なので「偶然セットがかかった」という線は薄いと思いますけどね。
というわけで、今回のコラムは「昔の機種はとっても危険」というお話でした。
ちなみに、予期せぬラッキーに遭遇して恵比寿顔だったおじさんは、翌日から3日間でアニマルに計10万円も溶かしたそうな。めでたくなし、めでたくなし。
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