「近代パチスロの礎」となった「伝説のマシン」を振り返る…【アニマルかつみの回胴青春時代Vol. 05】
高度成長期真っ直中の昭和39年、海外からやってきたスロットマシンにストップボタンを取り付け、日本独自の新たな遊技機として誕生したパチスロの始祖「オリンピアマシン」だったが、ゲーム性が単調なのもあって、昭和40年代の終盤になるとブームはすっかり下火になっていた。
一方、ギャンブル機としてのスロットマシンは闇カジノなどアンダーグラウンドな世界では依然として根強い人気があり、度々摘発を受けるなど社会問題となっていた。
「このままでは、日本のスロットマシンに未来はない。なんとかせな、アカン」
そんな風に現状を打破せんと考えた一派が、オリンピアマシンに代わる新たな合法スロットマシンの開発に乗り出すこととなった。
中心となったのは、大阪でゲーム機のリースやメンテナンスをしていた角野博光という人物。のちにメーカー団体の日電協の立ち上げにも関わるなど業界に多大なる功績を遺し、「近代パチスロの父」と崇められることとなる伝説の偉人である。
角野氏は、当時最先端だった米バリー社のスロットマシンを扱っていて、「これをなんとか、風営法認定機にできないか」と考え、アメリカの本社に日本向けマシンの製作を打診する。しかし、「市場の小さな東洋の島国のために、わざわざそんなものを造ることはできない」と拒否をされる。
「しゃあない。ほな、ワシらで作ったろうやないか」
角野氏は一念発起し、バリー社のパーツを使って仲間の技術者たちと自前で新たなマシンを開発・製作することとなった。
作っては警察に持ち込み、ダメ出しを食らってはまた作り直す。そんな風に度重なる折衝と試行錯誤を繰り返すこと2年と余月、昭和51年にようやく警察の許可を取り付け、新たな風営法認定スロットマシンが世に出ることとなった。近代パチスロの礎となった伝説のマシン、「ジェミニ」である。
先のオリンピアマシンが、19世紀末に考案された古い機構を使っていたのに対し、ジェミニは前述のとおり当時最新のバリー社のメカを使用。筐体も大きなアップライト型で、オリンピアマシンよりもゴージャスなものだった。
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