パチスロ「衝撃!! 基板の裏にもう1枚の基板が…!?」~3号機名機伝説『アポロン』編~【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.48】
最新の3号機はもとより、不人気で早々に消え去ってしまった2号機のマイナー機さえもが裏モノ化して市場に返り咲いた、1990年代初頭のパチスロ狂乱の時代。
慣れとは恐ろしいものである。ありとあらゆるパチスロ機が次から次へとひっくり返るものだから、ホールもユーザーも感覚や思考が麻痺してしまい、もはや、ちょっとやそっとのことでは驚かされることもなくなっていた。
ところが、である。とある1台のマシンに仕組まれた大胆かつ巧妙なカラクリには、誰もが口を大きく開けて驚き、そして呆れた。
ギリシャ神話に登場する芸能・芸術を司る神の名を冠した『アポロン』は、北電子の3-2号機として1990年秋に登場。
純白をペースに華麗な装飾が施されたパネルデザインは、いい意味で野暮ったい意匠が主流だった当時としては非常に斬新なもの。見た目だけで十二分な集客力を持っていた。
しかし、当時の時勢が、清楚な装いの純白の神を真っ黒に染めた。「闇の商人」たちの手によって、爆裂裏モノへと変貌されられてしまったのである。
「明らかに出方がおかしい」
本機種に関する不穏な噂が流れ始めたのは、デビューから1年近くが経った頃のこと。思っていたほど設置が伸びなかった中、都内の某チェーン店に突如として大量導入されたのだが、それが「真っ黒」な挙動を示した。
「ハマっては連チャンを繰り返す。しかも、連チャンは大半が5連チャンワンセット」
そんな、好不調がハッキリとした挙動に、当初から貯金方式を採用していることが疑われた。
やがて、疑惑の実機を入手した攻略情報誌が、全ての疑問を解決する。と同時に、想像だにしなかった驚愕の事実が明らかとなった。
当時、裏プログラムを仕込む手法としては、RAMへの注射が主流だった。突然の手入れなどに対して、即座に証拠を隠滅できたからだ。
が、このいわゆる5連ワンセットVer.な『アポロン』は違った。
なんと。正規の基板の裏側の正面から見えない位置にもう1枚、基板が仕込まれていたのである。
正面から見える封印が施された正規の基板は完全なるダミー。裏側の基板が、ボーナスの抽選から台の動作に至るすべてを司っていた。
「これがホントの裏基板」といったところであるが、いったいどこの誰が、こんな大胆なことをしてくれたのだろう。
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