パチンコ「表現やゲーム性の幅」を広げた敏腕…紆余曲折を経た「実力派メーカー」の軌跡
パチンコ・パチスロとゲームは、その親和性の高さによって、主にこちら側からの一方通行であったが、『大工の源さん』をその頂点に、コンテンツの機械化など取引や流通が古くから展開されていた。
そして、パチンコが産業として円熟期を迎え、逆にゲームがかつての勢いを失っていた時期にはむしろゲーム機メーカーからパチンコ業界にアプローチしてきたり、あるいはそれを飲み込むような事態にもなった。セガとサミーが経営統合を発表した時には驚いたものである。
一方、ゲーム業界からの接近として知られるのは「コナミアミューズメント」である。本メーカーはコナミグループにおけるパチスロ・パチンコ事業を担う部門として活動し、『悪魔城ドラキュラ』や『麻雀格闘倶楽部』など、同社コンテンツを中心にパチンコ化し製品販売に着手している。
この「コナミアミューズメント」は、従来よりパチスロメーカーとしてパチスロ事業に参画していた「高砂(電器産業株式会社)」とコナミグループのパチンコ・パチスロ機器製造会社であるKPEの2社が組み合わさったものである。
高砂は昭和31年にラジオやテレビの受信器に取り付ける同調装置、いわゆるチューナーの専用メーカーとして発足し、ゲーム事業へ進出した流れから、昭和52年に今のパチスロの原点となる世界初のマイコン応用大型スロットマシンを開発するなどパチンコ・パチスロ業界に関わっていく。
スロットの認可に尽力した功績や「日本電動式遊技機工業協同組合(日電協)」の初代理事長に当時の代表取締役社長が選ばれるなど、意外に感じるかもしれないが、パチスロ業界では大きな存在感を放つメーカーだったのである。
平成15年に社名を「アビリット」に変更し、その後、『CR海童くん』でパチンコ参入も果たす。ただ、それ以前にもOEMとして『CRデカインカ』『CRナンタ』『CRセブンレイ』『CRけろけろけろっぴ』といった「銀座」の機種を手掛けてきた。
ちなみにOEMとは委託者のブランドで製品を製造することで、アビリットは高い技術レベルも持っていたことがうかがえるのだが、パチスロ5号機の時代に突入すると業績の不振が続き、2011年にコナミの傘下に入ることとなった。
このコナミの完全子会社となるタイミングで社名を高砂電器産業株式会社に戻したのだが、2016年には現在のコナミアミューズメントへ変更。現在の体制が出来上がったのである。
近年では自社グループのブランド力を活かしたコンテンツの他にも『Pゴールドマックス 限界突破!!!!!』や『Pミリオンヴィーナス』など物理抽選を組み込んだ役物内蔵の機種などパチンコにおける表現やゲーム性の幅を広げながら事業を展開し、魅力のあるパチンコ作りに邁進しているのである。
(文=大森町男)
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