30代オーバー向け!パチスロ5号機時代を支えた名機をアキバのまこさんが考える
パチスロが5号機と呼ばれて久しい。
そういった印象を受ける人はきっと20代後半以上の方が多いと思う。
そして久しいと口に出せるのは4号機を知っているからこそであり、2005年に登場した5号機の1作目にあたる「パチスロ新世紀エヴァンゲリオン」を知っている事に他ならない。
巷では現在の新基準機と言われる5.5号機、来年には登場が予想される5.9号機と、めまぐるしく移り変わるパチスロ業界に少し疲れた私は、ギャンブルジャーナル編集部の寛大な計らいで少し過去を懐かしむ記事を書かせていただこうと思う。
思えば4号機時代、事実上最後の4号機となった「俺の空」が撤去され、私が通っていたホールも一斉に台を撤去し、空いた隙間を埋めるかのようにベニヤ板を貼り、店内の景観だけはどうにか保っていた。
これが俗に言う「ベニヤ営業」である。
そんな中「北斗の拳SE」の後継機として登場した「北斗の拳2 天覇の章」がユーザー達の心を完全に打ち砕き、沢山の人に「パチスロの引退」を決意させた。
だが北斗の拳2の残した功績はこれだけではなく、北斗シリーズを冠した新作に過度な期待をしたホールが北斗SEのノリで大量導入したが、客付きもからっきしで朝から晩まで同じデモ画面がひと島全部リンクして流れ続けるという自体に至ってしまった。これが致命傷となって閉店に追い込まれたホールも多々あっただろう。
しかしながら北斗シリーズを冠した「北斗の拳2」の販売台数は11万台を超えているという皮肉な側面もあり、販売台数で見れば大ヒットである。(押忍!番長2が約13万台)
5号機に希望の光
前述のように5号機への移り変わりは単刀直入にいうと「地獄」であった。
4号機の射幸性の高さが問題視された事に端を発した規制であったが、むしろこの規制のおかげで人生を滅ぼされた人もきっと居たと思う。
そんな状況下にパチスロ業界を救う一筋の光が差した。
リングにかけろをはじめとした「リプパンハズシRT機」である。
他にもスパイダーマンや仮面ライダーDX、ガッチャマン等の名機もあるが、書ききれない程思い出が詰まっているので今回は割愛させていただく。
では何故、リングにかけろを筆頭としたリプパンハズシ機と呼ばれる台が希望の光になったのか?
この台は各ボーナスすべてにおいてRT(リプレイタイム)が搭載されていて同色BIGならボーナス後に200ゲーム、異色BIG、レギュラーボーナスでも100ゲームのRTが搭載されていた。
その間コインを微増させながら次のボーナスを待つことが出来るというしくみだ。
ここでのキーポイントがリプレイタイムのパンクハズシである。(パンク=RTが消化途中に終了する現象)
RTには終了条件がある。
・ゲーム数を消化する
・ボーナス成立
・青チェリーを獲得する
以上の条件で終了という作りになっているのだが、実はこの青チェリーが約13回転に一回(1/13)の確率で成立する。
この青チェリーを入賞させてしまうと残りゲームがあっても強制的に終了(パンク)してしまう。
しかし目押しを正確に行う事によって意図的に獲得しない(ハズす)ことが可能なのである。
この動作を行う事でRTをゲーム数いっぱいか、ボーナスの成立まで引き延ばす事が可能だった。
それ自体は台の遊戯説明の冊子にも書いてあるような情報だが、青チェリーをハズシてパンクを回避するという「発想」にちょっとした浪漫がある。
型式試験をも欺くメーカーのアイデア
この当時のパチスロの型式試験(遊技機が規則に合致しているかの試験)のルールが「成立した小役は全て奪取する」というルールだったため、例えRT中でも1/13で成立する青チェリーを獲得しなくてはならなかった。
という事は必然的に200GあるRTも強制的に終了となり、通常ゲームに転落してしまう。よって機械割も下がり、難なく試験をクリアすることができただろう。
4号機に比べて「出ない事」が何よりも重要だったこの時代に、それはそれは出ない台を試験に持ち込んでいたことであろう。
「成立した小役は全て奪取する」というルールの裏をかいたメーカーのアイデアで実際の試験結果よりも出玉が出てしまう台になったが、それでも設定6でRTを延命したフル技術介入で、機械割(17500ゲームで120%未満)ギリギリの119%台に収めるところに可愛げすら感じるのであった。
結果それが違法機になることなく、高稼働と人気を呼び込み、5号機市場の盛り上がりに多大な貢献を果たした。
しかし、この裏をかいた方法も長くは続かず「お上」の逆鱗に触れ、後に機械割を最大に引き出す遊戯方法での試験が行われる事となった。
故にハイスペック5号機こと「リプパン機」は開発出来なくなり、既存のリングにかけろ他、スパイダーマン、仮面ライダーDX他が名機として崇められ、昇華されたのであった。
以上の事例から察するに、五号機のルールも始まった当初は穴だらけで、そこに目を付けたメーカーのアイデアと努力によって名機を生み出し、それをまた封じ、またメーカーが裏をかく。
約10年間こんな事を繰り返し、色々ありながら昨今の新基準機に至っている。
しかし約10年前にホールにデビューした「リングにかけろ」が、再認定を受けながら大切に扱われ、国内のどこか16店舗で今日も元気にリールが回っていると考えたら目頭が熱くなる思いだ。
知る事でパチスロが少し楽しくなる
もはや、知っている人は知っている内容だったかも知れないが、供に4号機から5号機への変革の時代を生き、回胴式遊技機ことパチスロを愛する同志として懐かしんでもらえたら幸いである。
私も試験方法や規制の細かい部分まで把握しているわけではないが、少しだけでもパチスロのしくみやルールを知る事で、ただ何も考えずにお金を入れ続けるよりも楽しめる部分が沢山あると思う。
時には出玉に直結するような小ネタもあり、検定内容やルールを知っているからこそ生かせたりする事も稀にあるので、皆様も少しだけ関心を向けてみてはどうだろうか?
そして、ぱちんこパチスロのプロユーザーとしてこの5号機新基準時代に斬新なアイデアで、画期的な台の開発をメーカーには期待したい。
今回はあくまでも現在のパチスロに少しだけ疲れてしまった自分の心を癒すために、寛大な編集部にワガママを言って書かせて頂いたが、好評を頂けるようであれば「2027」のような奇跡の名機や、個人的に大好きな「忍魂」等についても語りたいと思う。
(文=アキバのまこさん)
●アキバのまこさん、まこプロ代表。
ネット番組や映像制作をしつつ平日の昼間から過疎店で快適なパチスロライフを過ごしています。ツイッターアカウントはこちら
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