パチスロ「抜きも抜いたり3千枚」出入り禁止を言い渡されるも…【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第14話:リノ】
第14話『リノ』
前回はサファリラリーの攻略法を実践して、リアルに痛い目に遭ったエピソードを紹介しました。
当時は破壊的な攻略法が発覚しても長持ちはせず、一般のプレイヤーが知る頃には対策されて使えなくなっていることが大半でした。その最大の原因は、情報伝達のメインがパチンコ&パチスロ攻略誌という紙のメディアだったこと。なにしろ紙の雑誌は、読者さんの手元に届くまで何段階もの工程を辿りますからね。
取材→ラフ作成→文字量を決定→ライティング→頁デザイン→校閲→校了→下版→印刷→製本→問屋→配本→小売(コンビニ・書店など)→読者さん
ざっと数えてもこれだけの工程があります。さらに、記事の作成を下請けの編プロに外注するような場合もあって、DTPによるパソコン処理が主流の現在でも、取材から配本まで最低2週間はかかるんです。
そして、写植がメインの時代には1ヶ月近くかかることも特にめずらしくありませんでした。そりゃあ、そんなに時間が経てば、攻略法をすっぱ抜いた雑誌が読者さんの手元に届く頃には終わっちゃってますわな。
でもって、私はガイドのライターになる前は、攻略誌の人たちって雑誌が発売される前に自分たちでしこたま抜いて私腹を肥やしてるんだろうなぁ…なんていう失礼な考えを抱いたりしてたんですが、実際にその立場に立って「そんなことは絶対にない」ということを知りました。
「全てが終わる前」に知ることだけはできたんです。だけど…
たとえば、解析人に依頼した機種の解析資料が上がってきたとします。その資料の全てを閲覧できるのは担当編集だけ。担当ライターは記事にする一部の数値のみ教えて貰うことができますが(記事を執筆するために必要不可欠だから)、解析の全容は決して教えて貰えません。
記事の内容にしても、担当以外の編集は初校が上がった校閲時にしか知ることはできず、担当以外のライターに至っては発売日に一般の読者さんと同じタイミングで知るのが普通です。
実際、サミー系機種のコピー打法が発覚した際にも、ガイド編集部はひたすら沈黙を守ったため、自分たちに具体的な情報は一切流れてきませんでした。もっとも、フリーのパチスロライターはそれぞれ独自のコネクションというか情報網を持っていますから、横の繋がりで「全てが終わる前」に知ることだけはできたんです。だけど、稼ぎまくるなんてことは残された時間的に不可能でした。
さて、少しばかり話が横道に逸れましたが、今回は終わったはずの攻略法が復活したエピソードを紹介しようと思います。機種は3号機時代の名機『リノ』です。
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現在、リノの機種名は山佐に継承されています。まぁ、荒波のストック機だった4号機のスーパーリノも、ゼロボを用いた5号機のリノも、初代の3号機とは似ても似つかぬ内部システムなんですが…。というか、初代が違法な裏モノだったのに対し、山佐版はいずれも合法機なので、デザインだけ似ている別物と考えるのが正解です。
でもって、初代・リノにはボーナス成立後の当倍返し処理に欠陥があって、ボーナス絵柄を揃えずに小役を抜けば出玉率が100%を超えたんですよ。う~ん、美味しい!
だけど、これはすぐに対策されます。対策と言っても、裏プログラムの追加注射で当倍返し処理を消すだけ。リノはもともとRAM領域に違法プログラムを書き込むことで小役落ち連チャンを実現していた機種ですから、当倍返し処理を消すなんて簡単です。
当時、多くの機種が注射によって裏モノ化しましたが、その理由はガサ入れが入った時に一瞬で裏プログラムを飛ばせるからです。つまり、証拠が何も残らない。有名な裏モノの中には二枚基板やハーネスを使った機種もありますが、これらは違法機種という確たる証拠が残るため、導入するのは店側にとってリスキーでした。
閑話休題。平成4年の初夏から秋にかけて、警察庁の指導により全機種全台の基板改修・封印作業が行われました。どういうことかと言うと、あまりにも連チャン機がブイブイ言わしてる状況が非常にけしからんと。そんな感じでパチスロ業界を監督する警察庁がお怒りになり、全国46の都道府県に設置されている全てのパチスロ機の基板改修作業を行ったんです(当時は三重県にパチスロの設置はなし)。世の中にある全ての裏モノを撲滅させようと意気込んでね。
もちろん、全てが手作業ですから、時間もカネもかかります。一説によると数十億円の費用がかかったらしいんですが、お上の意に反して裏モノは滅びませんでした。いや、基板を改修して再封印を施したその瞬間はノーマルに戻ったんでしょうけどね。
私は仕事に向かう途中で運転する車の窓越しに、お店の駐車場に何台ものパトカーとワゴン車が停まっているのを見ました。ああ、これでリノの小役落ち連チャンも消えるのか…と残念に思う気持ちが半分。あと半分は、だったら小役抜き攻略が復活するかも知れないと思う期待感でした。
そして、期待感を胸に週末に朝から打ちに行ってみると…何のことはない、リノはこれまで通り元気に連チャンしてるやん! つまり、一瞬だけノーマルに戻ったけれど、闇の商人の手によってすぐに再注射されたってことだよね。な~んだ、つまらん。
そうは思ったんですが、初ボーナスを引いた時に一応は試してみました。まずは左リール枠内にチェリーを押して「7・コイン・レモン」を止め(チェリーをかわす制御で簡単に停止する)、次にハサミ打ちでコインとレモンのダブルテンパイを作る。注射で小役抜きが対策されたリノの場合、ボーナス成立後に小役が一切落ちなくなるから、ダブルテンパイは絶対に出現しません。なのに、綺麗にテンパイしちゃったのよねぇ。
おそらく、闇の商人が再注射の際に見落としたのか、それとも他に理由があるのか…。よくわからないけど、とりあえず抜けるモノは抜いときましょうと、下皿が半分になるまで小役を抜いてビッグを揃えました。いや、小役落ちはどうなのかと思ってね。結果、ビッグ終了後に条件を満たしたのに連チャンはなし。つまり、この台は純正ノーマルだ!
そして、上手くいくと調子に乗る、自分の悪いクセが出ました。次に成立したボーナスは残念無念のREG。ただし、それはコイン落ちver.の場合です。ノーマルのリノならビッグもバケも関係ない…というか、バケの方が小役を抜きやすいと判明しました。ビッグだとハサミ打ちで小役を狙う際に慎重に狙う必要があるけど(ボーナス優先制御につき7絵柄がテンパイして小役を取りこぼす)、バケなら右に7を狙うだけで小役成立時には必ずレモンの単独テンパイ(レモン確定)またはダブルテンパイするのよね。
結果、抜きも抜いたり3千枚。今だったらホルコンが異常出玉を感知して、すぐに店員さんが飛んでくるでしょうけど、この日は4時間近く野放し状態でした。てゆーか、手動補給の店でボーナスも引かずにコイン補給を取ってんのに、早く気づけよと。
その後、店長さんに出入り禁止を言い渡されたけど、手荒な目には遭わなかったし、出玉を没収されることもありませんでした。時系列は前後するけど、前回のコラムで紹介したサファリラリーのエピソードとはエラい違いだよね。
あれから三十数年…このホールは違う店名になり、この時の店長さんも(当時すでに還暦前のお爺ちゃんだった)お店を退職されているでしょう。今から考えると、随分と寛大な店長さんだったんだね。
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