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それぞれ全国で何台設置されたのか…【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第87話:パロット】

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ドラゴン広石コラム『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』
ドラゴン広石コラム『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』

ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ

第87話 パロット

 今を遡ること約20年前…平成16年(2004年)の7月1日付けで、回胴式遊技機の新規則が施行されました。この規則に基づいて制作されたのが「パチスロ5号機」であり、円熟期を迎えると後世に名を残す数々の名機を輩出することになるんですが、残念ながら最初期の頃は全く盛り上がりませんでした。

 それもそのはず。当時はパチスロ4号機が現役で稼働しており(とりわけ初代北斗・初代吉宗などのストック機の人気が圧倒していました)、同年1月に実施された4.7号機規制によりパチスロの出玉性能がやや抑制されたとはいえ、それよりも遥かに厳しい新規則に縛られた5号機なんて、どのメーカーさんも積極的に制作しようとは考えませんでした。

 つまり、ホールさんが欲しがらないであろう5号機を作るより、駆け込み需要のある4号機の認可を受けることを優先したわけですね。

 事実、4.7号機としてデビューした「シンドバッドアドベンチャーは榎本加奈子でどうですか」(エレコ・平成16年3月)や「主役は銭形」(平和・平成16年5月)、「鬼武者3」(ロデオ・平成17年3月)や「押忍!番長」(大都技研・平成17年7月)などの機種は、検定切れギリギリまでホールに設置されて多くのプレイヤーに愛されました。

 そんな理由もあって5号機の開発は遅々として進まず、実際に史上初の5号機パチスロが登場するまで、新規則の施行から優に1年以上を費やしたんです。

ビスティの『新世紀エヴァンゲリオン』。搭載された3種類のビッグはそれぞれでフラグが異なるため、4号機のように打ち手の好きな絵柄でビッグを揃えられるわけではない。ビッグ中は小役ゲームとJACゲームが繰り返され、規定枚数を払い出した時点でビッグが終了する仕組みのため、毎ビッグごとに獲得枚数がバラついた。また、設定ごとにベル&スイカの抽選確率が異なるので(本機ではチェリーに設定差はない)、これらを正確にカウントして内部確率に照らせば台の設定を大まかに推測することもできた。(写真は「パチスロ大図鑑2001~2007/ガイドワークス刊」より)
ビスティの『新世紀エヴァンゲリオン』。搭載された3種類のビッグはそれぞれでフラグが異なるため、4号機のように打ち手の好きな絵柄でビッグを揃えられるわけではない。ビッグ中は小役ゲームとJACゲームが繰り返され、規定枚数を払い出した時点でビッグが終了する仕組みのため、毎ビッグごとに獲得枚数がバラついた。また、設定ごとにベル&スイカの抽選確率が異なるので(本機ではチェリーに設定差はない)、これらを正確にカウントして内部確率に照らせば台の設定を大まかに推測することもできた。(写真は「パチスロ大図鑑2001~2007/ガイドワークス刊」より)

 この時に登場した初代『新世紀エヴァンゲリオン』(ビスティ・平成17年9月)は、すでにパチンコ版で大人気を博していたビッグコンテンツだったこともあり、相応のヒットを飛ばしましたが……実は初代エヴァよりも約2ヶ月も早く、ひっそりとデビューした5号機があるんですよ。

今回はそんな機種の昔語りです。

以下、本編。

■パロット『CRP花月伝説R』

 時は平成17年7月、SANKYOさんから史上初の5号機『CRP花月伝説R』が登場しました。

 なんだか矛盾してますよね。導入部分で史上初の5号機パチスロはビスティさんの『新世紀エヴァンゲリオン』だと説明したのに、あらためて史上初の5号機は『CRP花月伝説R』だと書くのは何故なのか? 実はこの『CRP花月伝説R』は、パチスロではなくパロットなんですよ。

 パロットとは、メダルの代わりにパチンコ玉を使って遊技するマシンです。もちろん、内部プログラムはパチスロ5号機の規則に則っていますが、一般的なパチスロと違ってリール窓の下部分にパチンコ玉の払い出し口と上皿があり、上皿が一杯になると下皿に玉が払い出される仕組みでした。それゆえ、CRP花月伝説Rを「史上初の5号機パチスロ」と呼ぶのはちょっとどうなのかな…って私は思うんですよね。

SANKYOから登場した、史上初の5号機『CRP花月伝説R』。メダルの代わりにパチンコ玉を使って遊技する「パロット」で、当初は物めずらしさも手伝って業界誌やパチスロ攻略情報誌で記事になることが多かった。(写真は「CRP花月伝説R」の設置店で配布されたオフィシャルガイドブックより)

SANKYOから登場した、史上初の5号機『CRP花月伝説R』。メダルの代わりにパチンコ玉を使って遊技する「パロット」で、当初は物めずらしさも手伝って業界誌やパチスロ攻略情報誌で記事になることが多かった。(写真は「CRP花月伝説R」の設置店で配布されたオフィシャルガイドブックより)
SANKYOから登場した、史上初の5号機『CRP花月伝説R』。メダルの代わりにパチンコ玉を使って遊技する「パロット」で、当初は物めずらしさも手伝って業界誌やパチスロ攻略情報誌で記事になることが多かった。(写真は「CRP花月伝説R」の設置店で配布されたオフィシャルガイドブックより)

 ちなみに、この機種はカードリーダー対応機ですから、遊技する際にはパチンコのCR機と同じように台間ユニットにお金を投入し、玉貸しボタンを押すだけで上皿に玉が装填されます。

 しかる後に上皿の右端にある赤いボタン(MAX BETボタン)を押下すると15個の玉がマシン内部に投入され、青いボタン(スタートボタン)を押すことでリールが回り、あとはパチスロと同じようにストップボタンで各リールを止めるだけ。このとき、有効ライン上に小役絵柄が揃えば配当が行われ、「七七七」または「猪鹿蝶」が入賞すればビッグボーナスがスタート(後者は消化後に100GのRTに突入)。七テンパイを蝶で受けた場合にはレギュラーボーナスとなります。

 文章で説明するとわかりにくいかも知れませんが、パチンコ玉を使って遊技するパチスロという話題性はありますし、私もパチスロライターの端くれとして話のネタに一度は打っておかなくちゃね!

 そんな義務感にかられてプライベートで打ちに行きましたよ。向かった先は、江古田駅の近くにあるH店です。当時、私は沼袋に住んでおり、江古田までバス1本で行けるのでH店のメール会員になっていました。それで、7月19日の新装で導入されたと知り、ガイドの原稿書きが一段落した7月21日に意気揚々とH店に向かったんです。

 ところが、2階フロアにあるパチスロのシマを隅から隅まで探したのに、CRP花月伝説Rの姿はどこにもありません。それで不安になって店員さんに尋ねたところ、「ああ、その機種なら1階奥のパチンコのシマに設置されてますよ」という返事でした。

 まぁ、考えてみれば当然の話ですよね。現在のスマパチのように「単体で遊技が完結」する仕組みならパチスロのシマに設置することも可能でしょうが、パロットを設置するにはパチンコ玉の循環システムが必要不可欠につき、必然的にパチンコのシマに導入することになります。

■とにかく無茶苦茶に操作性が悪い…

 なるほど…と合点がいったので教えられたシマに向かったところ、CRP花月伝説Rが4台設置されていましたが先客は誰もいません。まだ新装3日目だってのに、いきなり客が飛んでるのはどういうことなんだろう?

 その謎はすぐに解決しました。とにかく無茶苦茶に操作性が悪いのよ。上皿の形状にやや問題があるのか頻繁に玉が引っかかって、その度に左手で玉を均さなきゃなりません。

 パチンコ玉投入部分の近くに2本のレールがあって、玉が引っかかるのを緩和してくれてはいるんですけど、それでもプレイのリズムを度々崩されて嫌になります。さらに、普段の癖でスタートレバーを叩こうとして、何度も左手を空振りすることしきり。

 その昔、「マフィアX」という超エゲツない裏モノのデータ取りで、オールボタン式の筐体に慣れるまで頻繁にレバーのある位置を空振りした苦い記憶が蘇りました。てゆーか、SANKYOさんはパチスロ製造のノウハウがあるはずなのに(過去にダイドーブランドで「メイクエ」という機種をリリースした実績があります)、どうしてこんな操作性に難のある筐体を使用したのか不思議でなりませんでした。

 それでも頑張って打ち続けたんですが、投資8Kでようやくビッグを引くも出玉は1600個くらい。この機種は「払い出し個数が2326個以上」でビッグボーナスが終了するため、差し引き1600個くらいになるのは当然なのですが(メダルに換算して約320枚)、当時はまだ4号機Aタイプの出玉感覚(ビッグ1回で約400枚を獲得)が残っていたため、なんだかすごくショボいように感じちゃったんですよ。

 というのも、当時のホールは非等価営業がかなり残っていました。多かったのは3.0円交換ですかね。それに対して、パチスロは等価営業が圧倒的多数。つまり、パロットは見た目も中身もパチスロでありながら、交換ギャップの点においてパチンコと同様の不利を被るわけですね。

 現在は「一物一価」が原則につき、このような例はありませんが、当時はパチとスロで交換率が異なることも普通にあったんです。なるほどね、だから新装3日目にして誰も打っていないんだ…。

 結局、私が「CRP花月伝説R」を打ったのはこの日だけ。この機種以降も2年間くらいはパロットの新機種が登場するという話を聞きましたが、私はどの機種も打つ機会がなかったどころか、ホールで見かけたことすらありません。

 文献によると、パロットは全部で7機種ほど制作されたらしいんですけどね。個人的にはそれぞれ全国で何台設置されたのか…が非常に気になる今日この頃なのです。

ドラゴン広石

ドラゴン広石

ドラゴン広石(昭和38年12月生まれ)
平成7年に白夜書房「パチンコ必勝ガイド」編集部の門を叩き、パチスロの知識と経験、目押し力を買われて「パチスロ必勝ガイド」のライターに採用された。リアルタイムで「パチスロ0号機」を遊技した経験を持つ、唯一のパチスロライターである。令和4年現在でライター歴は27年。代表作に「枠上人生」、「浮草家計簿」(連載中)、「回胴絶景」(連載中)など。1日の最大勝ち額~プラス41万3千円(クラブロデオT)、1日の最大負け額~マイナス12万9千円(初代・北斗の拳)。

Twitter:@dragon_hiroishi

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