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恐るべし「やり手のオーナーさん」との出会い【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第83話:ドンちゃん2~その1】

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ドラゴン広石コラム『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第83話
ドラゴン広石コラム『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第83話

ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』

■第83話 ドンちゃん2~その1

 その昔、新機種のデータ取りは新装期間中のホールで行うのが基本でした。もちろん、それは私が所属する「パチスロ必勝ガイド」のみならず、当時ライバル関係にあった「パチスロ攻略マガジン」さんや「必勝パチスロファン」さんも同じだったと思います。

 パチスロの面白さは「出玉」に左右される部分が非常に大きく、「いっぱい出た」あるいは「大勝ちした」という成功体験を元に当該機種を好きになる人が多いため、新機種の実戦データを採取するのは高設定の多投を見込める新装期間中が望ましく、場合によっては東京から離れて遠方の新装に突撃することもあったんです。

 今回はそんなエピソードをお届けしましょう。

 以下、本編。

■新装の前日に大阪へ

 時は平成12年(西暦2000年)の11月16日、アルゼの最新機種『ドンちゃん2』が全国設置に先駆けて大阪で先行導入されました。ガイド本誌の下版まで残り1週間もなく、都内に設置される翌週を待っていては締め切りに間に合わない(実戦データを掲載できない)という理由により、担当編集の岩佐君と担当ライターの私・広石の2人が、新装の前日に大阪に派遣されたところから今回のエピソードは始まります。

アルゼの4号機『ドンちゃん2』。7.77インチのワイド液晶画面を搭載した純Aタイプ機で(ミレニアム筐体)、全3種類ある液晶演出の中からプレイヤーの任意で好きな演出を選ぶことができた。また、前身機「ハナビ」と同じく技術介入性が非常に高く、ビッグ中は変則押しにより10枚役の提灯の一部をチェリーとの複合14枚役で取ることが可能だ(要ビタ押し)。ただし、左の目押しが1コマ早いと2枚役に格下げされる。(写真は「パチスロ大図鑑1964~2000/ガイドワークス刊」より)
アルゼの4号機『ドンちゃん2』。7.77インチのワイド液晶画面を搭載した純Aタイプ機で(ミレニアム筐体)、全3種類ある液晶演出の中からプレイヤーの任意で好きな演出を選ぶことができた。また、前身機「ハナビ」と同じく技術介入性が非常に高く、ビッグ中は変則押しにより10枚役の提灯の一部をチェリーとの複合14枚役で取ることが可能だ(要ビタ押し)。ただし、左の目押しが1コマ早いと2枚役に格下げされる。(写真は「パチスロ大図鑑1964~2000/ガイドワークス刊」より)

 実戦店はガイドの協力店だった国分寺の某ホールです。大阪に着いて早々、何はともあれお店のオーナーさんにご挨拶に伺ったところ、さすがは天下の大坂商人だなぁ…と妙に納得するような条件を提示されました。

「明日は取材用に新台を1台だけ確保しときます。それで…物は相談やけどね、設定6を投入する代わりに交換ナシでよろしいかな?」

 新装初日にデータ取りをさせて頂く見返りに誌面でお店を紹介する旨の約束は、すでに内池副編集長とオーナーさんの間で結ばれていましたが、要はそれに加えて「勝った場合にも出玉を交換するな」ということです。

 正直、見栄えの良い実戦データを採取できるならそれもアリかな…と私は思いましたが、担当編集の岩佐君が毅然とした態度で断りました。

「申し訳ありませんが、そういう条件は受け入れかねます。弊誌は創刊時から実戦至上主義を掲げており、ヤラセのデータを誌面に掲載するのは信条に反しますので…」

 うわぁ、岩佐君って凄くカッコいいな。

 その言葉の裏に「店のサクラをやらされるのは御免だ!」という、パチスロ雑誌の編集者としての良心があった…とは後になって本人から聞いた深イイ話だけど、オーナーさんと話し合いの末に「お店側が用意した台を閉店まで打ち切る&設定は店長に一任」という条件で決着しました。まぁ、無難な着地点でしょうね、ええ。

 閉店後、ドンちゃん2がシマに設置されるのを待って、それから朝まで岩佐君と2人で実機を試打しました。徹夜で試打データを採取した岩佐君はフラフラになりながら始発で東京に帰りましたが(編集部でページのサムネを作るため)、私にはまだホール実戦の仕事が残ってます。

 2時間だけホテルで仮眠して約束の時間にホールに到着。それから一般客が入場した後に「取材用」の紙が貼られたドン2の電源を店長さんがONにしました。さてさて、どんな結果になりますやら?

■高設定は期待できないと諦めていましたが…

 正直、昨夜の話の流れから、高設定は期待できないだろうと諦めていました。しかも、当時の大阪は7.6枚交換が主流であり、もちろんこのお店も例外ではありません。ドン2は等価ですらキツいのに、これでは誌面に掲載できる実戦データを採取することすら怪しいと思っていたんです。

 ところが、そんな心配なんてどこ吹く風とばかりに両ボーナスを連発して、少しずつ確実に出玉が増えていきます。

 そして、最終結果は以下の通り。

総ゲーム数 6782G
ビッグ 30回(1/226)
REG  15回(1/452)
投資  5000円
出玉  3293枚
収支 プラス38000円
(※注・複合14枚役奪取打法は不使用)

 な~んだ、結局は高設定を入れてくれたんだ。大負けしたらデータを誌面に掲載できないから不安だったけど、心配して損したよ。この時はそう思ったんですけどね…。

 閉店後、オーナーさんに今回の実戦取材のお礼を述べに行くと、満面の笑顔で「台の設定はいくつやったと思います?」と聞かれました。その言葉に「設定6だと思います」と正直に答えたところ、返ってきたのは…。

「ハッハッハ。設定3ですわ。お宅さんには負けて貰おうと思ってシマで唯一の設定3を入れたんやけど、見事に出されちゃいましたなぁ。一般客に比べてTY(ビッグボーナスの平均獲得枚数)も格段に高いし、これやったら設定1でも良かったんとちゃうかって、今しがた店長と話していたところですわ(笑)」

 いやはや、若きオーナーさん恐るべし。聞けば、他のドン2は全台が設定5or6だったとのこと。それにしても、記事にお店の名前が出る実戦データで低設定を投入するとは、さすが名より実を取る大坂商人ならではですね。

 ちなみに、このお店は今も健在です。やり手のオーナーさん、元気だったらいいなぁ…。

ドラゴン広石

ドラゴン広石

ドラゴン広石(昭和38年12月生まれ)
平成7年に白夜書房「パチンコ必勝ガイド」編集部の門を叩き、パチスロの知識と経験、目押し力を買われて「パチスロ必勝ガイド」のライターに採用された。リアルタイムで「パチスロ0号機」を遊技した経験を持つ、唯一のパチスロライターである。令和4年現在でライター歴は27年。代表作に「枠上人生」、「浮草家計簿」(連載中)、「回胴絶景」(連載中)など。1日の最大勝ち額~プラス41万3千円(クラブロデオT)、1日の最大負け額~マイナス12万9千円(初代・北斗の拳)。

Twitter:@dragon_hiroishi

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