パチスロ「高純増AT」との激闘……財布「カラ」の大ピンチから華麗なる逆転!?

「カ……カードを忘れてきた!!!」

　血の気が一気に引いた。普段の鞄から変更した際に、カードケースを移し忘れてしまったのである。

　部屋へ戻ることも考えたが、往復すれば1時間以上は掛かるだろう。友人に助けを求めようと思ったが、ココは地元との中間距離にある街。この地で遊技している友人がいるはずもなく、来てもらったとしても多大な時間を要することは間違いない。

　脳をフル回転して考えた。必死に「最善の策は何か」と……。近隣に住んでいる友人を思い浮かべたが、該当する者はいない。考えに考え……ようやく、1つの決断に至ったのである。

　それは「残っている1000円とメダルに全てを賭ける」というもの。「こんな時こそ自らのヒキを信じるべき」……それしか私には残されていないと悟ったのだ。

　当らなくてもいい。何とか96Gまで辿り着かせて欲しい。「頼むベル……リプレイでもいいから揃ってくれ」と祈りながら続ける遊技は、苦痛以外の何物でもなかった。

　提示された出目に一喜一憂。「よくやった！」「ありがとう!!」長くパチスロをやっているが、ここまでベルとリプレイに感謝したことはないだろう。冷や汗をかきながらの実戦は、本当に思い出したくはない。

「苦しい」「怖い」「逃げたい」。それでも……やめたくない！ 私は96Gまで到達することを願いながら、必死で打ち続けたのだった。