パチンコ店員を「1時間に数十回」呼び出し!? 「目押しサービス」フル活用の珍客エピソード
パチンコホールでは現在、スタッフによる目押し(ボーナスを揃える等)サービスが禁止されている。
それが始まったのは2010年代だと記憶しているが、それ以前は当たり前のように目押しサービスが行われていた。
その時代のホールには「ボーナス目押しを致します」「ボーナスが揃えられない時はお気軽にスタッフまで」などの貼り紙があったが、今では「法令によりスタッフによる目押しサービスは禁止とさせて頂きます」という貼り紙に変わってしまった。
ただ、1990年代のパチンコホールには“接客の概念“すらない店員も多く存在しており、なかには目押しサービス自体なかったところもあっただけに、時代が元に戻っただけともいえるだろう。
そんな目押しサービスに関して面白いエピソードがある。それは非常に厄介なお客さんの話だ。
その人は紫色の髪の毛が印象的だったAさん。目押しをスタッフに頼むお客さんの多くはジャグラー等の『Aタイプ』を遊技されている方が大半だと思うが、この人は違った。
Aさんが打つ機種は主にART機で、その中でもよく打っていたマシンはサミーの『北斗の拳 世紀末救世主伝説』。この北斗では小役を示唆するザコ演出が頻繫に出るのだが、そのたびにスタッフが呼ばれるのだから正直たまったものじゃない。
本機の小役確率は合成すれば数十分の1程度、ヘタすれば1時間に10回や20回呼ばれることも当たり前だった。もちろんパチンコホールはサービス業であり、それも“仕事の内”だというのは理解していたが……ちょっとウンザリしたというのが正直な感想である。
さすがにスタッフ達からも不満の声が上がり、Aさんには「通常時の小役は取りこぼしても問題ない」「数枚程度は損するが、遊技には影響が出ない」と説明しても聞く耳なし。「じゃあ、その損した分は補償してくれるのか?」とまで言われる始末だ。
それならば、少しでも目押しが出来るようにと、「せっかくだから自分で色々と揃えられるようになったらパチスロがもっと楽しくなりますよ」と伝えてレクチャーを試みるも、これっぽっちもやろうとしない。
当然だが通常時だけではなく、ART中にも小役が成立するときっちり呼び出されるので、パチスロコーナー担当のスタッフらはAさんが来店するたびに、ため息をついていた。
結局、目押しサービスが禁止となる2010年代までこの状況は続くのだった。
そのAさんは高齢者ではなく、極端に視力(動体視力)が悪い訳でもない。それなのに目押しをやりたがらないのだから、パチスロ好きな筆者としては不思議で仕方なかった。
多少なりとも練習してみて出来ないのであればやむを得ないが、そうでなければ「自ら揃えることが醍醐味だし、それがパチスロの面白いところなのにな」と思ったものである。
まぁ楽しみ方は“人それぞれ”だと言えばそれまでだが、出来ればもうこんなお客さんとは二度と遭遇したくないかな……。
(文=オーハナB)
<著者プロフィール>
元ホール店員、店長経験者。パチンコ店の裏側で起きた出来事や、人間関係を題材にしたコラムを担当している。過去に話題になった業界ネタなど、時代背景を感じる記事も作成中。自身の思い入れのあるシリーズの動向にも熱い視線を注ぐ。
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